8月③
「…〈絶対陣〉って言うんだ」
「先生、アレ強いんですか?」
上から青波の戦いを見ている3人
「もちろん…ですが発動までに30秒掛かるのが欠点です」
(しかし…前はもっと掛かってたはず。ですが…)
「人の進化とは、やはり面白いですね」
いきなりそんなことを言い出した小早川に
「へっ?」
と返事をしてしまった信。こっちの話ですと小早川。視線を彼の生徒に向ける、そして今は彼(青波)が勝つことしか考えていない。
――――
「さて…どう仕掛けるか」
何とか更木を見つけたものの、〈絶対陣〉の構えに入られている。
〈絶対陣〉
APPO東本部Ⅰ―Ⅵ更木隊の更木斬哲が編み出した反撃技。発動方法は、まず剣を剣道で言う脇構え状態にする。このまま30秒間の間、気を集中。そして30秒経過後は相手の繰り出す技の高さに合わせて変わる。
首より上の上段の攻撃には〈斬星剣〉
首から腰までの中段の攻撃には〈斬月剣〉
腰から下までの下段の攻撃には〈斬流剣〉
以上の3種が己の意志で発動可能となる。
「…近寄れね~」
「…」
どうやってもカウンターされる未来が想像できる青波。突破口がないわけではない
「あれで行くか…」
策を実行に移す時が来た。
「?。あれは…」
枝の部分を地に突け、槍を回し始める青波。回転速度がどんどん上がっていき小さな竜巻が発生している。
「おっしゃ~。喰らえ!名付けて〈回転爆槍〉‼」
その回転を殺さずそのまま突きをしてくる青波。
『反撃起動。中段の高さからの攻撃を確認:〈絶対陣〉発動』
「〈斬月剣〉‼」
〈回転爆槍〉と〈斬月剣〉がぶつかり合った…
――――
「凄いな、07のアイツ」
「槍使い同士で解る所があるんですか?曽宇屋先輩」
髪を後ろで縛っている若者とメガネ少年がルーム07の戦いを見ている
「まぁ~…勝つのは青波って方だな…うん」
「…直感ですか?」
「まっ、そうだな」
あっけらかんに返答する。
「ほら、終わったみたいだぞ。古谷。賭けは俺の勝ちかもな~」
「まだ、わかりませんよ…」
――――
二人の技は周辺に爆風を発生させるほど強力なものだった…立っているのは青波。
「…去年の借りを返したぞ」
「くっ…」
『ルーム07:合格者 青波激波』
ルーム内に響く合格の合図。
「さ~て。俺の勝ちだ。さっさと三次でも何でも行かせろ」
「…三次はありませんよ」
「やっぱか。と言うか、誰の差し金だよ。俺にお前を当てるのは」
始まった時に感じていたこの疑問。
「碧角さんの指示です」
「あの人が…珍しいな」
「『少し見てみたい』と言っていました…」
「はぁ~…まっ、いいか」
やれやれと頭をかきながら出ていく青波。
――――
「お疲れ~。これで先ず、4人は合格だな~」
「4人てことは、紫花はどうすんすか?」
途中から離脱していた紫花を少し探していた信。笑いながら、青波は
「し~ん配すんな。今は紫花はオペレーター試験を受けてるだろう」
「確かに、心配ないですね」
「では、しばらく下で待ちますか?」
小早川の考えに4人全員が賛成した。
――――
「適当に時間を潰していください」
「…ジュースでも買ってきます」
「お~、行って来い」
ジュースを買いに行く信。
「…自販機の前だといつも悩む」
コーラを買うか、あえて茶にするか…悩んでいる時
「あっ、さっき試験を受けてた人だ!」
「あ~、居たな」
髪が茶色っぽくクルクルの少年と髪の毛を前で二つ分けにしている若者が近づいてきた。
「ん?…お二人は本部の方ですか?」
ここで立ち話もなんだから…と言うことでラウンジに向かうことになった3人。
「戻ってき…増えてる」
「確かに…」
1人から3人成っていたことに気付いた翼とドラゴ。
「「げっ‼激波さん」」
信以外の2人が急に声を上げた
「お~。駿羽。公平」
「他己紹介する。こっちのクルクル頭が力河駿羽」
「どもです。駿羽で呼んでください、12で短剣士です」
ホントに12か!と突っ込みたくなる信。
「で、こっちの髪を分けているのは岡村公平」
「あ~。岡村でも、公平でも呼んでください。弾丸射手で15です」
「勝負しよ~ぜ。あ~、公平?」
「「「な‼」」」
いきなり信が発した言葉に驚く一同。初対面にいきなり勝負を申し入れた信。
「いいですね…え~と」
「信、でいいぜ」
そのままルームに向かった信と公平。
中距離戦が始まる
――――
「あれ?激波君。赤柱君は」
「ん」
画面を指し示す青波。
「…岡村君とですか。ですが紫花さんが」
「あ~。来てないんすよね…翼を向かわせました。」
「すぐ、彼女も来ますよ…」
「ですよね」
激波~さん、始まりますよ~。おう、今行く~。
――――
大量の弾丸が宙を舞っている。これは二人の物だが…約8割以上は岡村の弾丸。
「あ~…ヤバい」
弾が多すぎる‼と言いたくなるほどの弾幕。
「よ~し、弾数で押し切れる。通常弾×125発。連射‼」
飛んでくるのは直線的な弾丸。避けれないものでは無いのだが、
「変化弾×100発。連射‼」
になると、もう避けきれない。弾道は見えるが避けられるコースが見えない、そのまま被弾し戦線離脱。
『5本勝負。0-2。岡村、リード』
「…どうしたもんだか」
のんびりしている暇はない、あと数秒ですぐ3本目が始まるからだ。
「全部落とせば」
と簡単に言う翼に、お前が受けろや‼と反論したくなるが飛ばされる信。
『3本目。開始』
「…よ~し。行くぜ。爆発弾×125発。弾壁」
「なんだ、あれ」
弾丸が停滞し壁を作っている。
「邪魔だ、撃ち落とす‼」
連射で壁に攻撃するが、弾が弾に触れた瞬間に爆発。それが付近の爆発弾を誘爆する。近くにいた銃手(信)はそのまま被害を受ける。飛んだのは右足。
「くっそ~…」
「隙あり。通常弾×1。全開」
高速かつ高威力の弾丸が信を撃ち抜く。
「がっ…こんにゃろ!」
相撃ちを狙い、岡村の頭部を射撃。
『『戦線離脱』』
飛んでいく2人。
『5本勝負。0-2。1引き分け。岡村リード』
「何か考え無いのか」
「逆に聞きたいわ‼正面で撃ち合いができないんだよ‼」
そのまま飛ばされる信。
『4本目開始』
動こうとしたとき
『死角から殴れ』
と翼の声が入る。
「理由は?」
『今までの見た限り、向こうはお前の動きで弾丸の種類を変えている』
翼が言うには、
撃ち合いなら、通常弾。
こっちが突っ込んで来たら、爆発弾。
こっちが逃げたり隠れたりしたら、変化弾。
と言う具合らしい。
「それなら…引っかければいい」
『意味が解らない』
「だ~から。上手い具合に引き合いをする、見てろよ」
一気に岡村に近付き距離を詰める信。
「通常弾×100。最速」
高速で直線的な弾幕が張られるが、それは想定内の攻撃。故に、避けられる距離で避ける。
「避けた!?、岡村先輩の弾幕を!」
「ほほ~。公平の弾幕を避けるとは」
驚くのは力河。信の作戦に感心しているのは青波。
「一撃を避けただけで、残り全部避けられると思うなよ‼」
両掌に開いた孔から弾丸を飛ばしまくる。
「変化弾。乱射」
滅茶苦茶な軌道で飛んでくるため、今までより速度が遅い。そして弾幕の隙間から射撃、そのまま岡村の胸を貫通する弾丸。
「マジか」
「しゃ~」
『5本勝負。1-2。1引分け。岡村リード』
そのまま最終の5本目。もう作戦がばれてた為、技術と弾数で押し切られ信の負け。
『5本勝負終了。1-3。1引分け。勝者:岡村公平』
――――
「くぁ~…これが現実か」
作戦室で悔しがる信。
「お疲れ~」
何時から来たのか、紫花が近くにいた。
「惜しかったな~。まぁ、悪くはなかったぞ」
信の健闘をたたえる青波。
「さて…と、そんじゃ作戦室から出るぞ」
青波の指示で外に出る信達、そこに岡村達がいた。
「お~。岡村~」
「いい勝負でしたね~。信さん」
「次は勝つ…覚悟してろよ~」
「次も勝ちます」
笑いながらも、見えない火花が散っていたことを知っていたのは、青波と力河しか分からなかった。
――――
「さ~て、帰るんですか?先生」
と聞くと、珍しく微笑みながら小早川は
「いや、ここ残り6日はここに泊まるんですよ」
と言うと
「はぁ‼?」「おいおい…」「…」「やっぱり」
相も変わらず、変わったことに驚く者や沈黙する者。
「部屋は2人で一つですので…男子はクジ引きで行きますか。紫花さんは地図の通り向かってください」
「了解です…じゃ、また~明日~」
紫花が部屋に向かった後、クジ引きでこの様にになった。
信&青波。翼&ドラゴとなった…
「何でこうなった…」
かなり残念がっている信に青波は
「まぁ~仕方ないな…諦めろよ~」
と笑いながら言う。
「…色々聞かせてもらいますよ~だ」
「いいぞ。先輩が何でも答えてやろう!」
陽気に答えながら、明日行われるであろう行事に考えを巡らせた。
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