契約
「お前は!?あの時の!」
「こじょー、よふわかっはじゃねへか」
「?…なんて言ってんだ?」
どうやら歯が何本か欠け、包帯ぐるぐる巻きにだから喋りにくいらしい
「おい、知り合いなのか?」
「あぁ、昨日会ったヤクザだ」
「ふーん、ヤクザさんはどうしてそんなことに?」
「福菜だ。これはおまへのおやじにやはれた」
そう言うと親父を睨み付け、そのまま目を閉じ寝てしまった。
「親父は大丈夫か?」
兄貴と親父の会話はあまり聞いたことがなかった。ましてや、大丈夫?という優しい言葉など聞いたことがなかった。
「大丈夫だよ、お前こそ部活はどうした?サボったのか?」
「少しは普通に接してみろや」
怒った顔をしながらそう言うと、親父を睨みつけて、部屋を出ていってしまった。
これは親父が悪い。
「おいおい病院で喧嘩はやめろ、治りが遅くなる」
福菜と運転手の見舞いに来ていた親分が至極真っ当なことをいいながら入ってきた。
親父がヤクザに正論を言われている所を見て少し恥ずかしくなった。
「どっちも怪我は大丈夫か?」
福菜は寝ていて、親父は無視を決め込んだため、誰も返してくれる者はいなかった。少し不機嫌な顔をしながらこちらを向き話しかけてきた
「こんな奴が親父で大変だろ?」
「俺はあんたとはもう関わりたくない」
「鎖を渡さない限り、それは無理な話だ。」
「え、鎖はあげるって。」
「今日のところはもういいと言ったんだ。」
「返さなかったらどうなる?」
「早とちりするな。別に返せと言ってるわけじゃない。その代わり契約をしよう。」
「契約、?」
どんな契約だ?もしかしたらとんでもないものを要求してくるかもしれない。
「そうだ。契約はその鎖にもう1人の魂を入れさせてもらう。」
ピンと来なかった。それは果たして難しいことなのだろうか。
「誰の魂を入れるんだ?」
「聞いても、ここにいる殆どのやつは分からねぇよ。だが、教えてやる。ターゲットの名前は、下田 焼斗だ。」
やはり誰だか分からない。だが1人だけ反応した者がいた。それはベッドで横たわっている、親父だった。
「お前らなら簡単に入れれるだろ?そもそも俺の息子に何やらせようとしてんだ?」
「お前が関わることじゃねぇ、息子に言ってんだ、で名前はなんつーんだ」
「鳩次、鳩に次で鳩次」
「きゅーじか、兄貴の名前は?」
「鷹次」
そう言うと親分は親父を見た。そして親父は首を横に振った。
「そうかそうか鳩次くんね。君にしてもらいたい事は1つだけだ。君のクラスに下田 照美と付き合え」
「は?」




