ピンチはチャンス
多分、内臓にはカスリもしていないだろう。だが出血が問題だ。まだ敵は3人もいる。更にその中に、空手家がいるのも敗北の拍車をかけた。
「おい、1人は車持ってきてくれ。死なない程度に、気絶させるぞ。」
多分俺を拉致して人質にするのだろう。男として、組には迷惑をかけられない。だが1人、車をとりに行った。チャンスは今しかない。
「妙な動きをしてみろ。次は3発じゃすまないぜ。」
「そしたら…俺死ぬかもしれないだろ。」
俺を殺さないために、もう銃は使わないだろう。だが暴れでもしたら流石に使うだろう。
「お前ら!全力で抑えろ!」
最後の悪あがきを警戒しての指示だろう。地面に押さえつけられる形にされた。
「そろそろ車が来る頃かな。」
抑えてるヤツだけなら持ってける。だがその後に空手家と戦える力が残っているはずがない。身動きも取れず、何も起こらないまま待っていると、後ろからエンジン音が聞こえてきた。
せめて、拉致だけは避けたい。
「来たか。どうやら、お前はここまでのようだな。」
そして抑えられたまま立ち上がり、車へ向かう途中足を掛け、相手を下にし地面に叩きつけた。その間、ピストルの射線に、俺は入らず、海星組のヤツを跨ぐようにして動いた。
だが、相手の仲間を盾にするのもあまり効果はない。
空手家は自分の仲間にあたってもお構い無しに、2発撃ってきた。2発とも、仲間の腹に命中した。空手家は仲間のせいでこちらを見えない。
「あたったか?」
鳩一が隠れているであろう、仲間の後ろ側を覗くと、鳩一の姿は、影ひとつ残されていなかった。
「どうやって逃げた!」
辺りを見渡そうとした瞬間、後ろから首を絞められた。
「逃げねぇよ。お前は殺さねぇとだからな。」
空手家は必死に堪えているがそろそろ限界が来そうだ。気絶間際、空手家が前を見てみろと震える指で合図を送った。
その方向を見ると、空手家を迎えに来た車、そして海星組員、それに、捕まっている、下田がいた。




