戦の準備
あれから何ヶ月経ったのだろう。組員は若頭がいないながらも、資金を貯め続け、ようやく雲星組を味方に付けられるほどの資金が溜まった。
組に雲星組の人達が全員では無いがきた。どうやら雲星組の間でも助太刀するか意見が分かれているらしく、助けたい人だけ助太刀するという形になった。
それから、我々、恩星組は喧嘩のような事はあまりしないタイプの組だったので、好戦的な雲星組の人から、戦の準備のため全員で格闘技を習うことになった。
「ちゅうもーく!我々雲星組で、格闘技が一番上手い男と言えば、間違いなく彼でしょう!そう!このお方!槍間 南天!」
「聞いた事ないな。」
「僕も」
「私も」
「ワシも」
皆が黙り込んでいると、南天がようやく喋りだした。
「俺はあだ名の方がよく知られている。あだ名のせいであまり名前を覚えてくれなかったほどにな。俺のあだ名は、ナーマだ。南をな、天をあまという読み方をして、ナーマだ。多分だかな。」
それでも分からない人が大半だった。
「ワシ何十年生きとるけど聞いたことないわい。」
「だよな。」
花の顔色が明らかに青くなっていた。
「どうしたんだ花いつもならあいつを茶化したりするのに今日は妙に静かだな」
「だって…ナーマって…高校生でヤクザの組をひとつ潰したって…」
「それはすごいな。」
「あと俺の入ってた、暴力団の初代総長…」
「それは…すごいのか?」
「すごいに決まってるだろ!総員600人だぞ!600人でヤクザ事務所突撃したらどうなる?1人も欠けることなくヤクザ全滅だ…」
「おいそこのヤツら、うるせえな」
「あ…あと、結構怒りっぽい。」
「うるせぇぞゴルァ!なんのため来たと思ってんだゴルァ!」
「うるせぇのはお前だよ。知られてなかったことの八つ当たりか?」
「あぁ?生意気な野郎だなぁ。じゃあお前が最初の相手だ、来いや」
「おう。」
「お、おい、まて、お前、いくら20人相手できるって言っても相手はそれ以上だぜ?今は漢を閉まってやめときな」
「大丈夫だ。あの時は少ししか技を使ってねぇ」
「技?」
ナーマの前に立つとナーマは荒々しい鼻息を吹いていた。いつ殴られてもおかしくない。3秒後か、今か、
最初に仕掛けたのはナーマだった。右足で相手の左足を狙い一気に足掛けをしようとした。だが足は掛かったものの、微動だにしない。必死に転ばせようともがいていると、気づいた時には足は掛かっておらず、背中からアームロックを決められていた。足を掛けている時、鳩一の返しを警戒していたし、相手が動く隙などなかった。ほんの一瞬の隙をついてとか、柔道のように力の流れを逆手にとってとか、そんなものではなく、鳩一が一瞬見えなくなり、気づいたら後ろにいるような感じだった。それは、格闘技の技術などとうに超越したものだった。
「どっちが強いか理解したか。」
「俺が足を掛けただけで終わる男とでも思ってんのかぁ!」
そう叫ぶと一気に後ろに倒れ、鳩一を素早く関節技、腕ひしぎ十字固めを決めた。
「完璧に決まったこれは、どうやっても抜け出せないぜ。今負けを認めるなら、折るだけにしてやるぜ!」
「薄影状態になってもいいが、それだとさっきみたいに、圧倒的な差を理解してくれないからな。仕方ない。」
「…?」
そう言うと鳩一は決められている左腕を、思いっきり頭を何回も地面に叩きつけた。ヤクザの中でもガタイのいい方のナーマを軽々持ち上げ、地面に叩きつける姿はまるでカートゥーンのような光景だった。
20回ほど叩き潰したあと、ナーマの関節技が外れスポッと空高く飛び転がった。
「おい、生きてるか?」
「………」
みんな死んでると思った。あれを食らうならダンプに3回、撥ねられる方がまだマシだ
「これはぁ、重症確定じゃの。最悪死んどる。いやはや、ちとやりすぎじゃなぁ。頭ハンマーでフルスイングされるような強さじゃったわい。」
「……………隙ありじゃあああ!」
当然鳩一に隙など無く、また顔面を叩き潰された。
「まさか起きてくるとは…」
「総長気絶しながらでも、身体だけで動けるんスよ。」
「すごいのぉ、じゃが鳩一はもっとすごいのぅ。お前より強いの見た事ないのお。流石じゃ、これからは鳩一が格闘技を教えてくれるそうじゃ。」
「え?」
「あと言っとらんかったが、戦は7日後の午前じゃ。」
「え?」




