事務所にて
花、宮子、鳩一が不広へ向かい、事務所には、親分、下田、新田の3人だけになってしまった。
「いよいよ、海星組の奴らが攻めてきましたね。」
「そうじゃの、だが良い新入りが入ってきたからの、後は雲星組が協力してくれれば勝利は目の前じゃ。」
「ですがなぜ雲星組を仲間に…?」
「武器を結構持っとるらしいからの。人も欲しいが狙いは武器じゃな。」
「なるほど…」
「てか、なんでテーブルこんなへこんでおるんじゃ」
「どうせ新入りがやったんでしょう。花とか」
武器、ピストルや爆発物、持っていれば大きなアドバンテージだ。だが相手は手段を選ばない海星組だ。それ以上のものを使ってくるのは間違いない。
「わ、私お茶ついできます。」
そこから5分ほど経っただろうか、親分と新入りについて話していると、ガラスが割れる音と「キャーーー!」と下田の叫び声が台所の方から聞こえた。
「な、何事じゃ!」
「私が見てきます!」
急いで台所へ向かうと仰向けに下田が気絶するように倒れていた。
「大丈夫か!腕に刺し傷があるな…誰にやられた!起きてくれ!」
そうするとさっきまでいたダイニングから何かが倒れる音が聞こえた。音がした方に向かってみると案の定親分がテーブルにぐったり横たわっていた。その背中からドボドボと血が流れている。
「親分!すごい出血量だ!大丈夫ですか!」
親分を必死に起こそうとしていると台所から下田が苦しそうに怪我を押さえながら出てきた。
「起きたのか!怪我は大丈夫か!何があったんだ!」
「お、男が窓を割って中に入ってきました…その時窓ガラスの破片に当たって怪我をしました…」
「そうか、すまないが親分を止血してやってくれ!その男は何処にいる!」
「その男は分かりません…ですが魂に干渉できる人です」
「魂に干渉…?どのように干渉したのだ?」
下田は痛みに耐えながらも詳しく説明してくれた。
潜入してきた男は魂を半分に切り取ることができること。
その半分の片割れを物に移すことが出来ること。
私は付喪師だから自分の肉体に魂を移し戻せたこと。
聞いている時も唯一の逃げ道の割れた窓からは目を離さなかった。
「なら親分の魂が入った物を取り戻せば親分はまた目覚めるのだな。」
敵はどこかに隠れている。それを割り出し親分を必ず取り返す!
「ちょ、ちょっと待ってください!ヤツが魂を半分に切り取るには血液が必要です!怪我を負わされないように気を付けて下さい!」
「ああ、気をつける、下田は親分を連れてそこの窓から避難してくれ。30分して戻らなかったら誰かほかの組員と一緒に入ってきてくれ。」
「は、はい!ですが必ず生きて下さい!」
窓から無事に出たのを確認したあと、もう一度事務所の中を見てみた。
人の気配はない。もしかして他の所からもう出ていってしまったのか?
台所を確認している途中、洗面所の方からガタッと物音がした。洗面所、隠れられる場所と言ったら風呂とかだろうか。武器となるような物はフライパンぐらいしかない。
仕方なくフライパンと洗剤を持ち洗面所に入った。
やはり敵はいない風呂の中だろうか、慎重に風呂場へ向かい、扉を閉め、洗剤を手に取った。その間、風呂には蓋がされていたが、ガタガタと小さく音が漏れ出ていた。
「おい、そこにいるのは分かっている。もうじき仲間が駆けつけるだろう。10数えるうちに親分の魂の入った物だけ出せそしたら、命だけは助けてやろう。」
「わっ分かった。出すからよう。真ん前にはいねぇでくれ、出来れば風呂場から出てくれ。結構危ねえもんに魂入れちゃったからよう。」
「もう出ている。だが妙な真似はするな。出すのはあくまで物だけだ。いいな?」
「ああ」
そして蓋が少し開き、物が少し出てきた。扉越しだったが、ヤクザになってから嫌という程よく見たピストルだった。そしてダァン!ダァン!と激しい銃撃音が聞こえた。そして蓋が勢いよく開き男が出てきた。
「ワハハハハ!動くんじゃねぇ!動いたらお前らの大切な親分の魂が入ったこのアイスピックをぶち抜いてやっからよぉ!ワハハァ!」




