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転生者 エルジン・マクベイン(3)

 マクベインは自分がウィスタルム魔導学院の生徒だと聞いていたので、素直に学校に行くことにした。もしかしたら、学校でアスラカーズが待ち構えている可能性もあると思ったのも理由の一つであるが、それよりも学生生活というのを久々にやってみたかったというのが大きい。


「クソ楽しみ」


 そう思って寮の自室から出て学院に向かうマクベインだが、登校中は注目の的だった。まぁ、それも当然、昨日まで普通の格好をしていた生徒が一晩で刺青まみれになっていたら、生徒たちが噂をしないわけがない。


「おい、クソども。噂じゃなくデカい声で言え。俺の刺青がクソイかすってな」


 話しかけるなり、生徒たちは慌てて散っていった。


「クソカスどもが、くだらねぇぜ」


 さて、ここで問題が生じる。

 マクベインはティル・アーミッドがどこの教室で授業を受けていたか知らないのだ。

 しかし、途方に暮れていたところに救いの手が差し伸べられる。


「アーミッド君、無事だったんだね」


 爽やかな顔をした少年がマクベインに親しげに話しかけてきた。


「俺はマクベインだ、クソが」


「あぁ、聞いてるよ記憶が無いんだってね。教室はこっちだよ」


 おい、俺の話を聞いているかと問う間もなくマクベインは少年に腕を引っ張られ教室の前までたどり着いた。


「ここが僕たちの教室だよ」


 少年がドアを開けて、マクベインに入るように促す。

 さて、どんな挨拶をして入ろうかと考えた、その時だった──ガッと尻を蹴られマクベインは突き飛ばされ、転がりながら教室に入ることになった。


「はははははははは」


 教室内に一斉に笑い声が響き渡る。それは嘲笑を含んだ笑い声で、明らかにマクベインを馬鹿にしたものだった。


「おいこら、クソども」


 先ほどまで親しげだった少年が顔をゆがめ、マクベインを足蹴にする。


「おい、ティル、おまえ何また学院に来てんの?」


「おい落ちこぼれ、頭撃ってやったのに随分と元気じゃねぇか」


 教室の中にいた生徒の一人が煽るような口調で言うと教室内に笑い声が響く。


「おいこら、クソども」


 笑い声にかき消され、マクベインの声は誰にも聞こえない。


「記憶喪失になったって? そんなんで逃げられるわけねーだろ」


 別の生徒がマクベインのもとまで来て、腹のあたりを蹴る。


「おいこら、クソども」


「なにその刺青、そんなんで俺らがビビるとでも? イタイ奴だぜ、ほんとさぁ、魔導学院始まって以来の落ちこぼれってだけあるわ」


「まじだせぇ」


 教室内に嘲笑が響き渡る。

 なるほどなるほどとマクベインは状況を理解した。つまり、ティル・アーミッドはいじめられていたと。でもって、昨日見た傷はいじめの傷だと。

 ──で、魔術で頭に打撃をくらい、ティル・アーミッドは意識不明。いや、おそらく死んだんだろう。で、その肉体に自分が入ったのだと、マクベインは理解した。


「よし、クソども。死ね」


「はぁ、何を──」


 マクベインは立ち上がると同時に指を教室の生徒たちに向けて『魔弾』を連射した。もっとも、即死する箇所は狙わないし、後遺症が残るような傷も与えない。制御は改造した眼で行い対象の捕捉・照準・弾丸の誘導も眼で行う。


「いでぇ! 折れた、折れた!」


「鼻、私の鼻が──」


「ぴぃぴぃ泣くんじゃねぇよ。クソども。ちょっと魔力弾が当たっただけだろ。本気だったら脳味噌飛び散ってるわクソが」


 イジメの主犯っぽい生徒がうずくまりながら、マクベインを睨み付ける。


「ティルじゃねぇよ。俺はエルジン・マクベインだ。何度言えば分かるんだクソカス?」


 主犯らしき生徒が掌に火の玉を集めて投げつけてくる。だが、その程度ではマクベインには届かない。


「魔眼発動・制御・分解」


 マクベインの改造した眼が火の玉を捉えた瞬間、火の玉は霧散していった。


「そんな、落ちこぼれのティルが、こんな──」


「だから、エルジン・マクベインだって言ってるだろうが、テメェらの頭の中は脳味噌の代わりにクソでもつまってんのか」


 マクベインはオリジナルの魔術を発動する『虚ろの手(ホロウハンズ)』。マクベインの背中から不可視の腕が無数に数えきれないほど伸び、教室内の生徒の首を掴んで持ち上げる。


「一応、体を借りてる身だから、代わりに復讐してやるのが筋ってもんだと思わねぇかクソども!」


 ホロウハンズに持ち上げられた生徒たちは首にかかる力に抵抗できず、窒息寸前だった。だが、絞め殺す前にマクベインは手を離した。


「とはいえ、殺すまでいくのはな。俺はお前らがどういうクソか知らんし、これで許してやる」


 ホロウハンズ──見えない腕が一斉に動き出し、教室内にいた生徒たちを滅多打ちにする。


「ま、これで俺は許してやるよクソども」


 教室内は血と呻き声に溢れており、地獄のような有様だった。

 まぁ、マクベインからすれば地獄なんてこんなものではないと言うだろうが。


 さて、ここで忘れてはいけない存在がいる。

 ここは学院であるなので、当然、教師という存在がいる。


「っ!? いったいこれはどういうことだ!」


「いじめっ子どもを俺がぶちのめしたんだよ。見て分かんねぇか、クソ教師」



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