怪しい連中
ゼティを追ってきたら喧嘩の真っ只中に乱入できた。
「俺も混ぜて」
白神教の宣教師の二人にお願いするが、ゴリラ顔はキョトンとしていて、キツネ顔は肩を竦めるだけだった。
「おいおい、仲間外れかよ。そういうのは良くないんだぜ?」
キツネ顔がヤベェな。こいつは半端じゃない。めっちゃ良い相手だ。
ゴリラ顔はまぁまぁ。ゼティに相手させよう。正直、つまんなそうだし。
「いやぁ、アスラカーズ様の御期待には応えたいところなんですが、僕らも仕事がありましてね」
「仕事と俺、どっちが大事なの?」
「そりゃまぁ仕事です」
あっそう、じゃあいいや。
仕事して頂戴。その後でぶん殴ってやるから。
「おい、アスラ!」
いいよ、放っておこうぜゼティ。どうせ大した結果にはならねぇ。
そう思って眺めていると大地が揺れ始めた。
「さぁ、偉大なる黄神の復活です!」
キツネ顔が揚々と声を上げると地面が揺れ、巨大な蛇の化け物が姿を現す。
「なるほど、蛇を地の化身として祀っていたのか」
もっとも、ただの蛇じゃない。全長は50mを優に超し、人間と同じ両手を持ち、巨大な翼を有する蛇だ。
「余裕ですか?」
キツネ顔が俺に聞く。
「余裕かな」
テメェもだろ。と言いたかったが、俺が口を開くよりも先にキツネ顔はゴリラ顔を抱え、黄神から距離を取る。
「本来の予定では僕らが倒すはずでしたが、代わりによろしくお願いします」
「えぇ、なんか悪事の片棒を担がされてる感じ」
「まぁ、実際そうなんですが。でも、放っておくと襲ってきますよ?」
黄神が魔術なのか神の権能なのか分からないが、土の塊を飛ばしてきたので、跳躍して回避する。
「それに、このままだと大穴の外に出て被害が拡大しますし、そういうのは好きじゃないでしょ?」
「まぁ、好きじゃないなぁ。俺は人が死ぬのはあんまり好きじゃないしなぁ」
ってことは俺が頑張るしかないか。めんどくせ。強くても神の相手は面白くねぇんだよなぁ。
「別に逃げても構わねぇけど、一応名前だけは教えてけよ、宣教師ども」
そういうと、キツネ顔はゴリラ顔を肩に抱えたまま居住まいを正し──
「僕の名前はラ゠ギィです。で、こっちの先輩がラ゠ゴゥ」
「OK、覚えた。次会ったときはぶん殴るからな」
「どうぞ御自由に。殴れるものなら」
俺にそんな舐めた口を聞けんのはそこらの神じゃ無理だぜラ゠ギィよ。
テメェ、名前覚えたかんな。
「どうする?」
ゼティが聞いてくる。
どうするって言われてもねぇ。神の相手は俺一人で十分だし──
「あの宣教師どもを追え。キツネ顔は無理でもゴリラ顔は殺せるなら殺していいぜ」
そう指示を出すとゼティは大穴の壁面を駆け上がる、宣教師たちを追って走り出した。
そんでもって、俺は蛇の化け物退治か。
「ま、神様同士。軽くやろうや」
とはいえ、キミと俺には絶対的な格の差があるんだけどね。




