嫌な奴ほど頭がキレる
「司教君に相談なんだけどさ」
「はい、なんでしょうか」
お、聞いてくれんの嬉しいなぁ。
「俺個人の考えなんだけど、四大元素、地水火風の中で闇の属性に一番近いのって地の属性だと思うんだよね。地獄ってのは地の底ってイメージもあるし、土葬のイメージもある。他の属性に比べて地の属性ってのは死を連想させやすいと思うんだ。そこらへんどう思う?」
「地の属性には豊穣や堅固のイメージもあるかと思われます。我々が信仰する黄神様も地を司り、大地を富ませ耕す偉大なる神であらせられます」
あ、やっぱり、黄神って土の属性か。
じゃあ、俺の予想は100%当たりだな、きっと。
「地を耕すのは蚯蚓とかの見苦しい虫だし、肥料になるのは枯れて死んだ葉とか虫だよね。土を富ませる過程でも死とは縁が切れないのが土の属性なんじゃない?」
「それは……」
「ぶっちゃけ、アンデッドを蘇らせる術に長けてるのは闇の術師と同じく土の術師もだと思ってんのよね、俺」
司教君のまなじりが吊り上がる。
つまんねぇ、こいつとじゃ勝負にもならねぇわ。
「私がアンデッドを蘇らせたとでも言いたいのですか」
「うん、そう」
俺は気負いなく頷いた。だって、そうとしか思えないもん。
「白神教の宣教師がって言ったけど、白から連想できる属性とアンデッドはあまりにかけはなれている。そいつらより、アンタの方がアンデッドに近い感じがするぜ?」
そもそも、白神教の宣教師が嫌がらせでそんなことをするか疑問。
イクサスの町では必要なことしかしていない連中だ。わざわざ、自分たちの利益にならない行動をするだろうか。
「そもそも、俺としては白神教の宣教師が布教活動をしていたのかさえ疑問なんだよね」
奴ら、イクサスの町では魔増薬と俺の召喚の儀式、イズヴァルトを鍛えることしかしてないしさ。
「布教活動をされていたってのは、キミの被害妄想なんじゃない?」
そんなことないっていうなら、そんなことないって言っていいんだよ。
「俺の直感だと、キミが白神教の宣教師に勝手に危機感を抱いたのが実情。でもって、アンデッドを使い住民の不安を煽り、頼りになるのは黄神教だって印象付けようとしてたりしない?」
「なぜ、そのように思うのですか」
「すべてのタイミングが良すぎるから。タイミングが揃いすぎている時は誰かの作為を疑うの癖になってのよ、俺。今回はキミの作為かな」
おや、沈黙?
黙ってるとつまらんよ。
「あと、予想としては白神教の宣教師連中まだ町を出ていないだろう。おそらく聖遺物のところにいるんじゃない? それを知っているから、キミは信仰を集めて聖遺物を強化しようとしたんじゃないかな」
「……いいえ、それは違います」
「ああそう、じゃあ、いるのは黄神そのものかな?」
ハッとした表情で俺を見る司教君。
悪いね。俺って実は大抵のことがよくわかるの。頭がいいからさ。
まぁ、気が狂ってるからあんまり役に立たないんだけどね。
「なぜ、それを」
「なんだよ、全部なんとなくで言ったのに大当たり? ばっかみてぇ、俺はキミの反応を見て話をしてただけなのにさぁ」
司教君の表情が一瞬で真っ赤になる。
直感で魔術の発動を予測した俺は司教君の顔面を蹴っ飛ばした。
「はい、隙あり。何から何まで駄目だね、キミ」
さて、話をしている間にゼティは先に行ってしまっただろう。俺も後を追わないとね。




