そりゃそうだと誰もが頷く
今日も今日とて暇な俺はギルドの酒場で酒を飲む。酒はエールしかないのでちょっと不満。ワインとウィスキーとか欲しいよ。ウィスキーはバーボンが良いね。別に高いのじゃなくていい。ジャックダニエルなんかをストレートのダブルで二杯決めると大抵のことは許したくなる。そう、なんだか俺の目の前に堂々と座っているゼティのことさえね。
「なんか用でもあるわけ?」
ゼルティウスは邪神である俺の使徒であり、つまりは手下だ。
ちょっとぞんざいな態度になっても許されるだろう。
「いいや、貴様を監視しているだけだ。近頃、あちこちで悪さをしていると聞いてな」
そいつはどうも。俺を品行方正に保ってくれてありがとうございます。風紀委員様。
こいつ根がクソ真面目だから困るんだよなぁ。そのくせ、やらかすときは滅茶苦茶やらかすし。
「とりあえず一杯飲もうぜ」
「昼間から酒は感心しないな」
「酔っぱらってなきゃ退屈すぎる世界が悪いの」
俺が悪いわけじゃないとウェイトレスの女の子に声をかけようとした矢先だった。
どたどたと騒がしい音が冒険者ギルドに乗り込んできたのは──
「アスラカーズはいるか!」
大声で叫んだのは衛兵隊である。
俺は「はぁい」と気の抜けた返事で手を上げ立ち上がる。
衛兵隊の男たちが武器を構えて俺を取り囲んだ。
なになに、俺なんか悪いことやった? 悪いことしかしてねぇけどさ。
「モレー男爵、殺害の容疑で貴様を逮捕する」
「おいおい、そいつはおかしいって。俺はそんなこと──」
してないまで言い切ることはできなかった。なぜなら、背後からゼルティウスの剣が俺を貫いていたからだ。
「てめ──」
俺が言葉を発するよりも早くゼルティウスは俺を剣で突き刺したまま壁に向かって突進し、俺をギルドの壁に剣で縫い付けた。
この野郎、背骨をぶち抜いて下半身の感覚を切断しやがった。これ、剣が抜けるまでまともに動けねぇ。
「うわっ」
あまりにも素早いゼルティウスの手際に衛兵隊たちがドン引きするが、ゼティは無視して衛兵隊たちに行動を促す。
「犯罪者なのだろう。さっさと捕まえてくれ」
「ゼティ、後で覚えてろよ」
「ああ、次は処刑台でな」
クソが。悪態をつく暇もなく俺は簀巻きにされて衛兵隊の詰め所に連行された。
さて、その後はお決まりのパターンである。まぁ、要するに拷問だ。
「貴様が男爵を殺したのだろう」
棒でぶん殴られるがノーダメージ。内力で自分を強化してるので俺の体は鋼以上に頑強だ。
「さぁ、死体を見たら、俺が殺したか思い出すかもね」
俺がそう言ったら、衛兵たちは言葉を詰まらせる。
「死体見つかってねぇんだろ。態度でばれてるぜ、三流」
鞭で打たれたがノーダメージ。何やっても無駄だって。ゼティの剣くらいじゃなきゃ、俺に傷は負わせらんねぇよ。
何時間か無駄な拷問に付き合わされたが、俺が犯人だという証言は得られず衛兵隊は仕方なく、俺を牢屋に入れることにした。
ふむ、屋根のあるところで眠るのは久しぶりだぜ。今までは屋根の上で寝てたからな。衛生環境が悪いのはまぁ、屋根付きってことで許してやろう。
さて、何の物音もない牢獄というのは今の俺にとっては少しありがたい状況だった。
俺はこの機会に精神を集中して俺の僕であるデストラ・デクストラに連絡を取ることを試すのだった。
この作品について面白いと思う場面などあれば、評価・ブックマーク・感想をよろしくお願いします。
また、たまに活動報告などもご覧いただけるとありがたいです。




