海のゴミ拾い 第3話
サンゴの丘に向かうとリーネが到着していた。
「おまたせー!」
と手を振りながらリーネに近づく。
「セレナ!」
リーネはこっち、こっちと手招きしていた。
ふと首元に目がいくと一粒貝のネックレスをしていた。
「どうしたの?これ?きれーい!」
「帰る途中でヒトデを探している時に見つけたの。みてこれ」
とセレナに貝を見せたそこには人間の文字でリーネの頭文字のRが刻まれていた。
それを見たセレナは目を輝かせ
「私も同じことしたの!ブレスレットに名前彫ったんだ」
二人は顔を見合わせプっと笑い出した。
「やだ、もうセレナったら」
「リーネだって!」
セレナは笑い転げながら言った。
そこへ、遠くから元気な声が響く。
「おーい、おまたせー!」
スプラッシュが泡を巻き上げながら勢いよくやって来た。
「もー遅いよ。スプラッシュー!」
セレナはワザとほほを膨らませていた。
「張本人なんだからね」
リーネはちょっとお姉さんぶった口調で、でも楽しそうに言った。
「ごめん、ごめん。母ちゃんに話したら、しこたま怒られたんだ」
とスプラッシュが自分の母を真似た口調で
「あんたは、いつもいたずらばかりして!今度やったらマレアルス様の裁きをうけさせるわよっ!」
顔の表情を大きく動かし、身振り手振りを交えてみせると、セレナとリーネはまた笑い出した。
一頻り笑ったところで
「そろそろ、海の掃除はじめようか」
リーネが率先してゴミを拾い始めた。
空きビンや木の箱らしきもの、網が破れた破片など一つ一つ拾いあげていく。
それに続くセレナとスプラッシュ。
「こっちにも、いっぱいゴミがあるよ」
「本当だ!じゃ私あっちに行ってみるね」
「俺はこっち!」
とみんなで手分けをしてゴミを集めていく。
夜の海に広がる発光プランクトンの光が、彼らの動きをやさしく包んでいた。
「もう、これだけ集めれば十分でしょ」
リーネがゴミの塊をみて言った。
「ふぅ・・・あと、もう二日あるんだよね」
セレナは疲れきった表情で、浮かんだ泡を指で弾いた。
「これだけ集めれば、少しは亀様も機嫌が直るといいけど・・・」
口をとがらせプクプクと泡を作りながら言う。
「これを海底のゴミ屋にもっていくか!」
スプラッシュはリーネからゴミの塊を受け取り、泡を弾きなからゴミ屋へと向かう。
それを追うセレナとリーネ。
ゴミ屋に到着すると、使いの亀様が待っていた。
「なんで、こんな所に!?」
リーネがいち早く気付き驚きの声をあげる。
「亀様なんでここに?」
セレナも思わず声を張り上げる
一際大きな声で叫んだのはスプラッシュ
「いるなんて聞いてない〜〜〜!」
亀様はニヤリと得意げに笑った。
「ここにおれば、そなたらがちゃんとゴミを拾ってきたかこの目で見てわかるじゃろう」
すっかり行動を見透かされたような気がして、セレナたちは顔を見合わせた。
「ほれ、ゴミを出したらどうじゃ?」
と亀様に促され三人は大事に運んで来たゴミの袋を差し出した。
ゴミ屋の店主はそれを受け取りながら目を細める。
「小憎たち良く集めたな」
一番近くにいたスプラッシュが店主に頭をグリぐりと撫でまわされる。
「みんなで集めたんだ!」
スプラッシュが胸を張って言うと、店主はふっと笑って言った。
「ああ、仲間っていいもんだろう?これからも大事にするんだぞ」
と3人の人魚にそれぞれ金貨を一枚ずつ手渡していく。
「お駄賃もらっていいの?」
セレナが金貨を手のひらに載せたまま目を丸くする。
「ああ、労働には対価が支払われるんだ」
店主の言葉に、セレナは金貨をそっと見つめ、ちょっとくすぐったそうに笑って
「私たち、誰かの役に立ったのかな」
とつぶやいた。
「なったわよ。きっと!亀様も、店主も喜んでくれたし」
親指と人差し指でコインを摘んでマジマジみるリーネ。
「最初はめんどくさいなって、思ったけどやって良かったな」
スプラッシュは照れ笑いをしながら二人の肩に腕を回した。
「張本人がそれ言う〜?」
リーネはスプラッシュを茶化したように横目でチラリと見た。
そんな事はお構いなしにスプラッシュが続けて言った
「じゃあ、明日もこの調子でやろうぜ。」
「明日もサンゴの丘で待ち合わせね!」
セレナは満面の笑みで2人に言った。
「あと、2日頑張ろうね!」
リーネはワクワクした気持ちを抑えられない様子だった。
「よーし!やる気になって来た!」
スプラッシュはいつもの明るい笑顔でハイタッチのポーズをした。
セレナとリーネは両手をあげ3人でハイタッチ。
ぱちんっ!
手と手が弾きあった音がその場に響き、一層明るい雰囲気となった。




