勘違い系
魔物を乱獲し、魔石をルイナスに食べさせ続け。そうして無事『偽装工作』のスキルを獲得させることに成功したのだった。
「いやお嬢様。『無事』じゃないんすわ。ルイナス様が魔石の食べ過ぎで苦しんでいるじゃないっすか」
ははは、ご飯を食べ過ぎて苦しくなるなんて腕白だなぁルイナスはー。
「…………」
フィナさんから白い目で見られてしまった。まことに申し訳ございません。
「ふぃ、フィナさん……お姉様も僕のことを思ってやってくれているのですから……」
いかにも苦しげな様子なのに、それでも私を庇ってくれるルイナスだった。ほんとごめんなさい。
「そうやって甘やかすからお嬢様も調子に乗るんですけどねー」
ふひー、っと鼻から息を吐くフィナさんだった。
ま、まぁとにかく、ルイナスのスキルは『暴食』だとごまかせそうだし、ここは計画を実行するときが来たのではないかな!?
「そんなうまく行くっすかねぇ……?」
あまり乗り気じゃないフィナさんだった。ふふふ、まぁ見ていてくださいよ!
◇
お仕事から帰って来たお爺さまにさっそく詐称――じゃなかった、説明開始である。
「お爺さま! 実は私には鑑定眼のスキルがあるのです!」
「な、なにぃいいいい!? 鑑定眼まで!? やはり儂の孫は天才だったかぁあああ!?」
あ、これいけるな。
「そして鑑定眼でルイナスを鑑定した結果! この子には暴食というスキルがあるのです!」
「ぐ、ぐら!? そんなスキルは聞いたことがないぞ!? どんなスキルなのだ!?」
ノリノリなお爺さまに説明開始。かくかくしかじか。
「……むぅ、そのようなスキルは聞いたことがないが……あるいは稟質魔法ならばあり得るか?」
「りたっと?」
「うむ。固有魔法とも呼ばれるものでな。適性があれば誰でも使える属性魔法ではなく、その個人にしか使えぬ魔法だ」
「へー」
属性魔法ってのは火魔法とか雷魔法のことかな?
「ともかくですね、ルイナスが周囲の魔力を吸ってしまうのはスキルの影響でして。これを鍛えればいずれスキルを自在に操れるようになり、誰彼構わず魔力を吸ってしまうこともなくなるかと」
「スキルを鍛えるか……。おそらくは前例のないスキルだが、できるのか?」
「えぇ。私はルイナスに魔力を吸われても平気ですし。私が側にいて鍛えるのを手伝えば大丈夫かと」
「……リーナが魔力を吸われても平気と、断言できる理由は何だね?」
おっと急に目つきが鋭くなったね? これはもしかしてアレかな? 泳がされた? 私が調子に乗って色々喋るのを期待して、孫バカを演じた系かな? ふっ、さすが宰相閣下。中身not幼女の私を騙すとは中々やりますね?
『みゃー……』
お前ほど騙しやすい人間はいないだろ、みたいな声を上げるミャーだった。失敬な。
しかしまぁ、ここまで来たらもう誤魔化しは不要! そして! この私をここまで追い詰めたことへのご褒美をあげようではないですか!
『みゃー……』
なんだそのキャラ……みたいな感じで呆れられてしまった。なぜだ、こんなにも格好いいのに……。
「ごほん。実を言いますと――私は自動魔力回復のスキルを持っているのです!」
じゃじゃーん! と驚きの情報を開示する私だった。
「ふむ、やはりか」
あれー? あっさり受け入れられたー? 全然驚いてないぞーぅ? まさか予想していたとかー?
「しかしリーナよ。なぜ自分にそのようなスキルがあると知っているのだ?」
「え? (ステータス画面を)見れば分かるでしょう?」
「……なるほど。(鑑定眼で自らを)見れば分かるか……」
これまたあっさりと受け入れるお爺さまだった。話が早くて助かるけど、なんだかなー。




