発散
「おおー」
ルイナスのスキルとレベルがどんどん上がっていくね。まぁこの階層の魔物をほぼ全部倒したのだからしょうがないか。
これ、ルイナスにどんどん魔物を倒してもらって、魔石を回収すればどんどんスキルをゲット&スキルレベルを上げられるよね……。チートだ……チートキャラだ……範囲殲滅系……。
しかし、現実はそう上手くは行かないみたいで。
「うぅ……」
ルイナスが立ちくらみを起こしてその場にしゃがみ込んでしまった。少し顔が青いね? 貧血? あるいは暴食で魔力を使いすぎたとか?
「あ、そうか」
こういうときこそ鑑定眼を使うべきだよね。回復魔法を掛けるにしても原因が分かってからの方がいいし。みょーん、みょーん、みょーん……。
『みゃー』
何だその妙ちくりんな効果音は、みたいなツッコミを受けつつ鑑定完了。
「……魔力過剰症?」
魔力欠乏症の逆バージョン?
あれかな? ご飯食べすぎてお腹パンパンみたいな?
『みゃー……』
例えが雑ぅ、みたいな以下略。
どうやら魔力が多すぎて逆に体調不良になっちゃったみたい。魔力を貯め込みやすい体質とか、魔力濃度が高い場所で長時間活動するとか、そういう人が陥りやすい症状らしい。
特にルイナスは(今のところ)魔力の吸収を制御できないし、このまま放っておいたら死んでしまうかもしれない。
解決方法は単純明快。多すぎる魔力を使ってしまえばいいのだ。
こういうときの定番は攻撃魔法だよね。
「ルイナスは攻撃魔法について学んだことはある?」
「いえ……まだ6歳なので……まだですね……それに家庭教師の先生も僕には近づけませんし……」
「なるほど。まぁ私だって初めてやって出来たのだから、ルイナスにも出来るんじゃないのかな? 魔力はそれこそ売るほどあるのだし」
『みゃー』
これだから天才は、みたいな目を向けられてしまった。なんで?
「魔法の教本は……お爺さまに回収されたままか。じゃあ私の後に続いて呪文詠唱してみようか」
「はい……」
ルイナスが頷いたので呪文詠唱開始。もちろん私は呪文を唱えるだけで、魔力を注ぎ込んだりはしない。
「――神々よ、今こそ我が矛となろう」
「神々よ、今こそ我が矛となろう」
「神威象りたるは天の光。森羅万象焼き尽くしたるは天上の業火。雷鳴は世界を揺らし、閃光は地平を駆け抜ける――」
「神威象りたるは――」
ルイナスが私の後に続いて最上級雷魔法の呪文を唱える。
『みゃ、みゃ――』
なぜかミャーが慌てたところで、呪文詠唱完了。
「――神雷よ、世界を救え!」
「――神雷よ、世界を救え!」
ぴっしゃーん、っと。
世界が光に包まれて、
「みぎゃー!?」
「ぎゃー!?」
「きゃー!?」
「わー!?」
あまりの眩しさに目をやられ、ゴロゴロと地面を転がる私たちであった。ぬぐぉおおおぉおお……。




