七つの大罪・|暴食《グラトゥニー》
ルイナスはビクンビクンとしていた。
愛する弟が苦しんでいるのは心苦しかったけど、これを乗り越えないと対毒スキルは獲得できないからね。心を鬼にする私だった。
もちろん回復魔法は全力全開だ。なるべくルイナスの苦しみが和らぐようフルパワーだよお姉ちゃんは。
「……なぁんか、あたしの時よりやり方が丁寧じゃないっすか……?」
フィナさんからジトーッとした目で見られてしまった。ははは、気のせいでござるよ?
「――お? ビクンビクンが終わった」
「その言い方もどうなんすか?」
フィナさんのツッコミをスルーしつつ、ルイナスを鑑定する。……よしよし、ちゃんと隠蔽工作のスキルを獲得できたみたいだね。
先ほどまで狩っていた魔石はルイナスに全て食べさせてしまったので、今度はアリスの分を狩らないとね。
「お、お姉様……今度は僕がやってみます」
覚悟を決めた目で見てくるルイナスだった。
「ルイナスが魔物を狩るってこと?」
「はい。僕も『七つの大罪・暴食』を鍛えなきゃいけないみたいですし」
「んー」
まぁ可愛い子には旅をさせろと言うし? 可愛い弟には魔物退治をさせるべきかな? いざとなれば私が守ればいいのだし。隠蔽工作の魔石を持っている魔物は大して強くないもの。
「じゃあ、ルイナスにお願いしてみようかな?」
「はい!」
元気いっぱいに返事をしたルイナスが、近くにあった岩に登った。
スキルの使用方法とかは説明していないし、鑑定しただけでは私にも分からないのだけど……自分のスキルの使い方は自分でよく分かっているのかルイナスに迷った様子はない。
姿を隠す魔物とコンビを組んでいる(?)テッポウユリ系の狙撃植物がルイナスを狙っていたけれど、そちらは私が探知して攻撃魔法で排除する。
そして、ルイナスが岩の上で右手を掲げた。
「――七つの大罪・暴食」
お?
おお?
ルイナスの手の先に、魔力が渦巻いているね? かなり膨大な魔力が。そしてそれが続々とルイナスの体内に収まっていく。
……正確に言えば、この階層にいる魔物たちから根こそぎ魔力を奪っているのだ。うわー、こわー……。私とアリス、フィナさんはドラゴンの血を浴びてなかったら一瞬で干涸らびていたのでは? なんだこの超範囲攻撃……。しかもMP吸収系……。他の人からしたら冗談じゃなく『魔王』だね……。




