表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成り行き英雄建国記 ~辺境から成り上がる異種族国家~  作者: てぬてぬ丸
第十四章 真相の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

931/947

関東風(旧エターニア領)

誤字報告ありがとうございました。


※更新が大変遅れて申し訳ありません!

 千羽犬のイバ、彩ティアマのイルマー、破魔妖狐のアオバからの情報提供により、旧エターニア領内の魔物、異種族たちの居場所が良く使えられていた。特に空を飛べるイバからの情報は多く、特にアデルが一番欲していたムラビットの居場所の情報が得られた。


「ここからそう遠くないですね……行ってみましょうか」


「そうだな」


 アデルの言葉にイルアーナが同意する。


「アデル王、我々もご一緒してもよろしいですか?」


 ラズエルを連れたロレンファーゼが尋ねる。


「え? か、かまいませんけど……」


 アデルは少し戸惑いつつ了承した。森の外の世界と関わることに消極的なエルフたちが、こういう事を言ってくるのは意外だったのだ。


(カワイイものが好きなのかな? イルアーナさんみたいに) 


 アデルは心の中で納得しつつ、兵に馬を用意させる。


 同行するメンバーはムラビットを怖がらせないように少数だけだった。イルアーナにポチ、ヒミコ、そしてロレンファーゼとラズエルだ。少数ながら戦闘力や対応力はずば抜けたメンバーである。


「どうもどうも」


 兵士から馬の手綱を頭を下げながら受け取り、アデルは馬の背に跨った。ポチが馬の背までジャンプしてきてアデルの前に座る。


「では出発しましょうか」


 アデルはそう言うと、馬を走らせ始めた。


 ムラビットがいるという場所は、通常であれば馬を走らせても一日以上かかる場所だ。だがアデルたちは治癒魔法を用い、定期的に馬の疲労を取ることで数時間で辿り着くことが出来た。


 そこは少しデコボコとした起伏が続く平原だった。木や茂みがまばらに生えている。地面はかなり固く、農耕にも放牧にも適さない場所だった。そのせいもありあまり人間が近づかなかったのであろう。


「あっ」


 アデルは遠くに白いモコモコとした生き物がいるのを見つけた。しかしアデルたちに気付いたのか、彼らは地面に隠れてしまう。


「近付いてみましょう」


 アデルたちは馬を降り、ムラビットが消えた辺りへと近づいた。地面へと潜ってるうえ、あまり強くないムラビットは気配で探すのが難しい。


「この辺にいるっぽい」


 ポチがボソッと呟き、地面を指さす。


「そうなんだ。声かけたら聞こえるかな? すいませーん!」


 アデルは地面に向かって呼びかける。何度か呼び掛けてみた時、急に地面に穴が開いた。


「な、なんなんですか、あなたたち!」


 地面から恐る恐る顔を出したムラビットが言う。


「あ、驚かしてしまったらごめんなさい」


 アデルはそのムラビットに向けて頭を下げた。


「ちょっとお話してみたくて……」


「そちらの都合で押し掛けるなんて迷惑じゃありませんか。私たちが何かしたというのですか?」


 ムラビットは怯えつつも、アデルを責める。


(ムラビットさんたちの多様性はすごいな。こっちは……関東風なのかな?)


 アデルは申し訳なさそうな顔をしながら心の中で思う。


「妙だな。彼らの言葉は理解できる」


 イルアーナが眉をひそめる。関西弁のムラビットの言葉はわかりづらかったが、ここのムラビットの言葉はイルアーナでも理解できるようだ。


「ダークエルフ……! そちらはエルフですか?」


 ムラビットはアデル後ろにいるイルアーナたちを見て驚愕する。


「大丈夫ですよ。危害を加えるつもりはないので……」


「つ、つまり意図的ではなく危害を及ぼす可能性はあるということですか!?」


「い、いや、そんなことしませんよ」


「あ、あなた方が危害を加えないという保証がどこにありますか? そもそもあなたたち人間は、私たちの同意も得ないまま土地を……」


「うるさい」


「ひぃっ!」


 イルアーナが剣を引き抜くと、ムラビットは恐怖に押し黙った。


「イ、イルアーナさん! 駄目ですよ!」


 アデルが慌ててイルアーナの剣を下げさせる。


「なんて暴力的なんだ! う、訴えてやる!」


「いけませんな、イルアーナ殿。やるならちゃんと息の根を止めないと」


 ラズエルが素早く近づき、ムラビットの首に剣を押し当てる。


「ひゃぁぁっ!」


 ムラビットは顔を青くして悲鳴を上げた。


「ま、待ってください! 僕たちは話合いに来ただけで……」


「力づくで彼らを支配するつもりはないということですか?」


「も、もちろんです!」


 問いかけるラズエルにアデルはコクコクと首を縦に振る。


「ふむ、そうなのですか。何万、いや何十万の兵を持ち、ドラゴンや異種族たちを従えるアデル王なら、力づくで彼らを従えた方が早いと思うのですが……あくまでも話合いで、平和的に彼らの協力を得るおつもりなのですな?」


 ラズエルはやたら説明的にアデルに尋ねる。もちろんそれはアデルにではなく、ムラビットに聞かせる目的であった。


「あ、当たり前ですよ。もちろん協力いただけるなら対価もお支払いしますし。あ、他のムラビットさんたちにも協力していただいてるんですよ。他の方たちはキャベツとかを好きみたいです」


「わ、わかりました! 族長に報告させていただきます!」


 アデルはラズエルに目配せする。ラズエルは剣を引き、ムラビットを行かせた。穴に引っ込んだムラビットはしばらくして一人の老ムラビットを連れて来る。彼らはかなり大きなムラビットのコミュニティで、五百人ほどのムラビットがいるそうだ。


 そしてしばらくの話し合いの後、交渉はまとまりアデルはこのムラビットたちの協力を取りつけることに成功した。

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
かなり人間不信なムラビットだなぁ〜
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ