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成り行き英雄建国記 ~辺境から成り上がる異種族国家~  作者: てぬてぬ丸
第十四章 真相の章

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黒光(ヴィセリエ)

誤字報告ありがとうございました。

「ふぅ、驚いた……」


 アデルは安堵のため息をつく。


 アデルたちはヴィセリエの防壁の外側で、兵士に用意させたテーブルのセットに座っていた。千羽犬、彩ティアマ、破魔妖狐も一緒だ。


 アデルとイルアーナの間では、地面に伏せた千羽犬がカリカリとニンジンを齧っている。尻尾がご機嫌に揺れていた。その背中をイルアーナがファサファサと撫でる。ポチもニンジンをかじりながら、千羽犬を枕代わりにして横になっていた。


 ロレンファーゼ、ヒミコも椅子に座り、お茶を飲んでいる。ラズエルはロレンファーゼの後ろに、クロースはアデルの後ろにそれぞれ控えていた。


「しかし驚いたティマ……まさか神竜とは」


 椅子に座った彩ティアマが言う。彩ティアマは雑食のようで、葉巻のようにニンジンを持ってときどき齧っていた。


「本当ですわ」


 同じく椅子に座った破魔妖狐が言った。彼女はダイエット中という理由でニンジンの葉っぱの方を食べている。


(……変わった人間ですこと)


 パリパリと葉っぱを食みながら破魔妖狐はアデルを見つめる。


(私や彩ティアマを見ても全く動じないどころか、群魔を見ても平然としていました。エルフやダークエルフ、神竜までが彼に付き従っている……普通の人間には見えませんけど、何者なのかしら?)


 破魔妖狐はアデルを下から上まで観察するが、人間との違いは見つけられなかった。


「ところで、みなさんはお一人なんですか?」


 アデルが破魔妖狐たちに尋ねる。


「ふん、情報を聞き出して皆殺しにするつもりティマか?」


 彩ティアマが鼻で笑いながら言った。


「そ、そんなことしませんよ! いや、あなた方が敵対するならそうするかもしれませんけど……」


「え?」


 彩ティアマが固まる。彩ティアマはヒミコの力を見て敵わないと悟り大人しくしており、アデルたちがその気になれば他の彩ティアマも簡単に殺されてしまうとわかっていた。


「い、言わんティマ! 仲間を差し出すようなことはしないティマ!」


「い、いや、そうじゃなくてですね! こちらを襲わないのであれば手出しはしませんし、もし良ければ協力していただけないかと」


「協力?」


 彩ティアマは首をかしげる。


「ええ。ちょっといま戦争中でして……」


「お前たちが苦戦するほどの相手ティマ?」


「そうなんです。ラーベル教会っていう、古代魔法文明の復活を企んでいそうな相手なんです」


「古代魔法文明ティマ!?」


 彩ティアマは椅子から勢い良く立ち上がる。


「奴らは許せんティマ! ティマたちを全滅させた、憎き相手ティマ!」


(一人称は「ティマ」なんだ……)


 アデルはどうでもいいところに引っかかった。


「我々はもともと百人を超える部族であり、この平原を支配していたティマ! だが古代の人間たちに狩られ、もと居た地を追い出され、今では五人しかいなくなってしまったティマ……」


「平原の一部を支配していただけですけどね」


 悔し気に言う彩ティアマに破魔妖狐が言う。


「我々も神竜たちも古代魔法文明とは戦った身だ。先祖の復讐をしたいなら、我々に手を貸せ」


 イルアーナがお座りした千羽犬と眠そうに正座したポチを抱きしめながら言った。彩ティアマは無言で一同を見回しながら、少し考え込む。そして口を開いた。


「……温泉ティマ」


「え?」


 彩ティアマの呟きにアデルが聞き返す。


「温泉のある土地をよこすティマ。それと鹿とか馬の群れ。そうしたら協力してやるティマ」


「温泉ですか?」


 彩ティアマの要求にアデルは首を傾げた。


「あらあら、それは危ないかもしれませんね。彩ティアマは温泉で魔力を回復する種族。ちゃんと手綱を握れないなら危険ですわよ」


 破魔妖狐がアデルに警告する。


(もしかして……身体が黒いのって温泉卵的なやつ?)


 アデルは彩ティアマの黒い鱗を見つめた。


「う~ん、温泉ですか。どっかにありますか?」


 アデルは背後に控えていたクロースに尋ねる。


「どうでしょう? 私も大きな町周辺しか存じ上げておりませんので……ですがすぐに調べさせ、見つけてご覧に入れます!」


 クロースは活躍のチャンスと思ったのか、急にやる気のスイッチが入る。


「ヒミコならわかるんじゃない?」


 だがそこにポチがやる気の無さそうな声で割って入った。


「ええ。確かに温泉のありそうな場所ならわかりますが……でも温泉を掘るのは少し大変ですよ」


 ヒミコが困惑したように言う。


「あ、それならこの辺にいるっていうムラビットさんたちにお願いしましょう! ムラビットさんたちならきっと協力してくれるでしょうし」


 算段が付いたアデルは笑顔で言った。その後でやる気の行き所を失ったクロースはバツの悪そうな顔をしていた。

お読みいただきありがとうございました。

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