残された二人
仲西さんと二人きりになり、とても気まずい空気が漂っていた。
お互いに一言も話さず、黙ってデスクに座っている。課長は席を外していて、他に人はいなかった。
そもそもどうしてこうなったかと言えば、怪我をしている赤石さんや仲西さんのために、運転などを代行しようとしたが仲西さんに拒否されて……ということは、私は悪くないということ?
いや、そういうことじゃない、私は後輩として、仲西さんをサポートする必要があった。拒否されたからって張り合うんじゃなくって、違う言い方をして……でも、それでも拒否される気がする。仲西さんの今の状態では、運転なんてとてもさせられないし……。
「照井さん」
悶々としていると、仲西さんが声をかけてきた。
「すみませんでした」
そして、頭を下げた。
「僕は、自分の状態も、照井さんの気持ちも、わかってませんでした。自分のやりたいことばかり優先して……先輩や二宮さんにも迷惑をかけました。言い訳をすると、焦っていたんです。本当に、申し訳ありませんでした」
「……私の方こそ、意地になってました。申し訳ありません」
私も頭を下げた。
「それで、その……車の運転、私に任せてもらっても?」
「はい、勿論です、お願いします」
とりあえず、和解はできた。
「先輩への連絡、します?」
「今は聞き込み中かもしれないので、後にしましょう……ところで、どうして、仲西さんは、赤石さんを先輩と呼んでいるんですか?」
「え、だって、先輩じゃないですか」
先輩だから。それだけらしい……あまり突くのは止めておこう。
「照井さんにとっても先輩のはずですよ、先輩って呼ばないんですか?」
「私はちょっと……名字呼びでいいです」
「そうですか」
その時、私の携帯が鳴った。相手は赤石さんだった。
「はい、照井です」
「照井、犯人逮捕できたぞ」
「そうなんですか? では、こちらに戻って来るんですね」
「ああ、そうだが……スピーカーにしてくれるか? 仲西にも訊きたいことがある」
「はい」
仲西さんを呼び、スピーカーモードにした。
「先輩、仲西です」
「その様子だと、和解できたみたいだな。こちらも犯人を逮捕できた。それで、訊きたいことなんだが……」
悩んでいたのか、少し間を置いて言った。
「君達、次という漢字の部首を知っているか?」




