表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刑事の俺と小人の君  作者: 颪金
小人編
68/76

電話

「君、随分、守内さんと会話が弾んでたな」

署へ向かう道中、車を運転する省吾が言った。

「え? そうだったかな。事件のことを話し合ってただけだよ」

「……まあ、そうだな」

あれ、何だろう、空気がぴりついている気がする。何か、まずいこと言ったかな……。


署に向かい、課長さんに報告すると、ため息をつかれた。

「あのねえ、あなた、捜査から外されたばかりなのわかる?」

「はい、これはお見舞いに行った先で、聞いた話です」

省吾は堂々と答えていた。

「……まあ、そういうことにしておくわ。樽見さん家族の所在、確認しとくわね」

話を終えて、デスクに座ると、隣に座っていた照井刑事が話しかけてきた。

「赤石さん、勇気ありますね」

「そうか? 間違ったことはしてないはずだが」

「そうかもしれませんけど……」

照井刑事の気持ちもわかる。正直、私もヒヤヒヤした。

……でも、こうなると、私のことを話した時、どうなるんだろう。

「あ、そうだ……赤石さん、ちょっといいですか」

照井刑事に呼び出され、使っていない会議室に移動した。

「これ、貰ってください」

差し出したのは、A5サイズの一冊の古いノートだった。

「以前父から、赤石さんの話を聞いたことある、と話したと思いますが……その時に、もし一緒に仕事をするようなことがあれば、これを渡したいと言っていたんです。ずっと赤石さんのことだとは知らず、渡すのが遅れてしまいました」

「倉光刑事が、これを俺に?」

受け取り、ページを捲ると、倉光刑事が過去に解決したと思われる事件の内容が、簡潔にまとめられていた。自分の捜査の仕方や、被害者へ聞き込みを行う際の注意点、違和感はすぐに調べろ、などなど……私から見ても、完璧なマニュアルだった。

「私も、同じの持ってるんです。コピーすればいいものを、わざわざ二冊分書いたんですよ」

照れくさそうに言った。

倉光刑事は、高校生だった省吾の言葉を信じていた。もしかしたら、途中で、警察官になる道を諦めていたかもしれないのに……。

「ありがとう、照井。大切にする」

嬉しそうに言った。

父親、かあ。お父さん何してるかな……。

「さて、守内さんも帰ってきましたし、私達は別の事件の捜査、行きますか」

「そうだな」

戻ろうとしたその時、照井刑事の携帯が鳴った。

電話だったのだが、相手を確認し、出ることなくフリーズした。

「どうした、出ないのか?」

「……すみません、捜査、行けないかもしれないです」

そして、画面をこちらに向けた。

「正希さんから電話が来ました」

画面には、確かに、金指正希と表示されていた。

「出てみてくれ。慎重にだぞ」

「はい。……もしもし」

少し話をした後、省吾に携帯を差し出した。

「赤石刑事に代われ、と」

「わかった」

携帯を受け取った。少しだけ、音が漏れて聞こえてきた――。


「赤石省吾さん? 守内さんのことは知ってるよね?」

軽快な話し方だった。金指刑事とよく似てるらしいけど、多分、中身は正反対だったのかもしれない。

「はい。昨日、救助しました」

「知ってる。テレビで見たし、何なら直接見てた」

直接ということは、あの時、工場にいたんだ……。

「どんな顔してた?」

「意識は無かったので、どんな顔と言われましても」

省吾が答えると、舌打ちが聞こえた。

「そうかよ、ビビって震えてるかと思ったのに」

「……正希さん、今どこにいるんですか」

「それ、答えると思う?」

ごもっともな返事だった。

「あんた達警察は真面目だよな、仲間のためなら全力出して捜査する。でも、兄貴の時はそうしてくれなかった、真犯人は今ものうのうと生きてるぞ」

「俺達は、あなたのお兄さんを殺害した真犯人を知ってます。恐らく、間違いないと思います」

「へえ、誰だよ」

「確証は無いので、まだ言えません」

「……」

正希さんは、きっとその真犯人に復讐するつもりだ。だから、省吾はその名前を伏せた。

「正希さん、もう罪を重ねるのは止めてください。お兄さんだって、そんなこと望んじゃいません」

そう言うと、電話口から乾いた笑いが聞こえた。

「兄貴が? 死んでるのに? 馬鹿なこと言うなよ、俺はな、兄貴の復讐のためにこんなことしてるんじゃないんだ、俺自身のためにやってるんだよ」

「……どういうことですか」

「あんたには関係ない。守内さんを助けられたからって終わりじゃないぞ、ターゲットはまだいる、真実を公表しろ、俺の要求はそれだけだ」

そう言って、通話が切れた。

「課長に報告しよう。正希さんは、まだ何か行動を起こす気だ」

急いで課長さんのところへ向かった。

俺自身のために、と正希さんは言っていた……嫌な予感がする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ