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刑事の俺と小人の君  作者: 颪金
刑事編 第六「運ばれた遺体」
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後輩の目線

「おはようございます」

朝になり、署に向かうと、課長以外は出払っていた。

「おはよう、照井ちゃん」

課長の挨拶に会釈で返す。小柄なためか、苗字にちゃん付けが定着している。嫌じゃないわけでは無い。でも、もう慣れてしまった。

「あれ、赤石さんは?」

「まだ来てないわ。ここに来る前に、穣平川に寄るって連絡があって……聞いてない?」

「いえ、何も」

「そう……仲西君の時からそうだったのよねえ、一人で行動して、困らせて……」

そろそろ説教が必要かしら、と話す課長。赤石さんに心の中で同情しつつ、自分のデスクに荷物を置いた。

「あの、ちなみに、守内刑事は?」

そう訊くと、頬杖をついて答えた。

「それがねえ、彼も穣平川に寄ってから来るって言ってるのよ」

「えっ」

あの犬猿の仲の二人が、よりによって一緒の場所に。

「大丈夫なんでしょうか」

「心配ではあるけど、二人ともある程度大人だし、守内君も捜査に加わったって、赤石君も知ってるから……何とかなるんじゃない?」

楽観的に捉えているようだが、かなり不安だ。




赤石さんに初めに会った時の印象は、正直言うと「こんな人が刑事なのか」だった。

凄みのある顔、百八十は超えてると思われる身長にガッシリとした体格、髪型はオールバック。極道映画から出てきたと言われても信じてしまう風貌だった。

だが、彼はそれでも刑事だった。私が無実の人間を犯人と決めつけてしまっても、冷静に判断し、真犯人を見つけた。……後にそれは、りまさんのおかげだとわかったが。

りまさんに対しては、まるで小動物を愛でるような――というと、間違いなく怒られてしまうが、とても大切にしているし、信頼しているようだった。

そんな赤石さんが唯一敵対しているのが、守内さんだった。

敵対、というのは、私が外から見て判断したものだ。

守内さんの名前を出すと、空気がひりつく。まるで凶悪犯と相対した時のような状況になる。それくらい、赤石さんは守内さんを憎んでいる。

何故か……理由も経緯もわからないが、二人が以前組んでいたのは、調べがついている。

あの二人が、と思ってしまうが、むしろ、そこで何かあったからこその、あの態度なのかもしれない。

赤石は、時々視野が狭くなる、と守内さんは言っていた。

視野が狭い、とは、私のように、十分な証拠がないまま、状況だけで判断してしまうこと……ではないようだった。

赤石さんには、恐らく、人として大切な何かが欠けている――守内さんはそれを言いたいのかもしれない。




考えていると、課長のデスクの電話が鳴った。

「はい、捜査一課。……赤石君? え、犯人逮捕したの? 守内君と?」

課長の言葉に、思わず席を立った。

「……わかったわ、気をつけて帰ってきてね」

通話を終えた課長が、ため息をついた。

「後でちゃんと報告してもらわないと、ですね」

「そうね……」

こめかみを押さえる課長にも、心の中で同情した。

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