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刑事の俺と小人の君  作者: 颪金
刑事編 第六「運ばれた遺体」
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時間の謎

部屋に戻ると、りまはもう風呂から出て、あのワンピースを着ていた。

「りま、俺も風呂に入ってくるが……戻ったら、話がある」

「うん」

一言断りを入れ、準備を済ませて風呂に向かった。

早々に風呂を済ませ、りまのところへ戻った。

「すまない、待たせた。それで、話なんだが――」

「ちょっと待って」

だが、りまに止められてしまった。

「その話、明日でもいいかな? 調べたいことがあって……携帯貸してくれる?」

「え……わ、わかった」

突然の頼みに、言われるがまま、携帯を貸した。

「ありがとう。えっと……」

両手を使って丁寧にタップし、何かを調べている。

一体どうしたんだ? さっきのこと、気にしてたんじゃなかったのか……?


「あった、これ! これだよ!」

りまが声を上げた。見ると、穣平川の近辺で行われていたイベントの情報だった。

「これが、どうかしたのか?」

そう訊くと、キョトンとした顔で俺を見上げた。

「どうかしたのか、って……省吾、気付かなかった? 皆木さんが持ってた映像、色々おかしかったよね?」

「……」

そうだったか? と考えていると、りまが不安そうに言った。

「もしかして、守内刑事のことで、集中力切れちゃった?」

「そ、そうだな……」

確かに、守内刑事のことで頭がいっぱいになっていた。今は事件に集中しないといけないのに……。

小さく深呼吸をして、改めて考えた。

皆木さんが持ってた映像というのは、田岡さんと会っていたあの映像だろう。そこにあった、おかしな点……。


夕方、羽場さんから住所を聞き、皆木さんの自宅へ向かった時のことを思い出した。

コンビニから少し離れたマンションの一室。管理人に鍵を開けてもらい、中に入ると、テーブルの上に、作りかけと思われる衣服が散らばっていた。寝室には、アニメやゲームキャラクターのコスチュームが大量に並んでいる。ウォークインクローゼット代わりにしていたのだろう。

「赤石刑事、見てください」

照井が俺を呼んだ。見ると、部屋の隅のデスクにあるパソコンの電源が、ついたままになっていた。

画面には、開いたままのフォルダが表示されている。

「動画が保存してあるな……」

中を確認すると、田岡さんと会った、例の動画が入っていた。

「アプリで、携帯と連携していたようですね」

動画ファイルのプロパティを開くと、作成日時は今日の午前七時三十分だった――。




「……時間か」

ポツリと呟いた。皆木さんが田岡さんと会ってから、死亡推定時刻である午前九時まで、空白の時間がある。

「コンビニに出勤した田岡さんは、皆木さんと会って、携帯を処分してから出勤したんだと思ってた。データを完全に消すのは、物理的にも、時間がかかるだろうし……だとしても、時間が空きすぎてるよ。移動に三十分くらいかかるとして……大体、二時間三十分くらい?」

「田岡さんが、大石さんのドライブレコーダーの映像に映っていたのは、十時四十分頃だから、それくらいだな」

「田岡さんが出勤する前に何をしていたのかは、事情聴取とかでわかると思うけど……あの映像の後、皆木さんが何をしていたのかも、気になるの。殺された時間は午前九時から十時三十分の間だから、こっちは一時間三十分くらい空きがある」

「それで、これか」

俺の携帯に表示されている、穣平川の近辺で行われていたイベントの情報。よく見ると、ゴミ拾いのボランティア活動らしい。日時と持参してほしい物、適した服装などが書いてある。

「これに参加してたと言いたいのか?」

「そういうことじゃなくて……まず、皆木さんは、田岡さんと話が終わってからすぐに、携帯を奪われてる。普通、携帯なんて個人情報の塊みたいなものを奪われたら、取り返そうとするか、警察に行くよね?」

「皆木さんは襲われた直後に気絶してるはずだ。「息をしているのを確認した」と田岡さんは言っていた。すぐに行動を起こすのは難しかったかもしれないな」

「じゃあ警察かな。でも、あの近くに交番なんてあった?」

「無かったはずだな」

地図アプリで川沿いを調べるが、交番や警察署は無い。

「となると、自分で通報するしかないけど……私の記憶が正しければ、あの付近に公衆電話なんて無かったよ。と、いうことは?」

電話が無い状況、ボランティア活動……俺の中で何かが繋がった。

「近くでやっていたボランティアの集団に、携帯を借りに行ったのか」

「そう。その時間がいつかがわかれば、少なくとも、皆木さんがいつまで生きていたのか、殺されるまで何をしていたのかは、わかるよね?」

「確かに……」

そこまで考えていたのか、と思わず感心した。

「じゃあ、明日、このボランティアの主催に話を聞いてみるか」

「うん……」

りまは、何か引っかかることでもあるのか、生返事をしながら、携帯で更に何かを調べている。

「まだ、何か気になるのか?」

「場所と時間だよ。どうして皆木さん、話をするのに穣平川を選んだんだろう。それも、七時三十分なんて早い時間に」

まだその謎が残っていた。確かに、穣平川は皆木さんの自宅からも、コンビニからも遠い。わざわざ場所に指定するのは変だ。

「近くに別の用事があって、そのついで……とは、考えられないか?」

「うーん」

納得していないようだった。

「ねえ、明日の朝、ちょっと早めに出てもらえる?」

「なるほど、七時三十分の穣平川を見たい、ということだな? それなら、早く寝てしまおう」

「うん、ありがとう」

寝る準備を済ませ、ベッドに潜り込んだ。

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