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集いし変態達の賛歌

 私達はセバスチャンさんのお姉さん、ニルヴィーナさんと一緒に作戦会議をすることになりました。

 なんだかわかんないけど、不安がいっぱいだ。だってこの人、みんなに呪いをかけたし。


「さて、サクサクと話を進めようじゃないか。ひとまずレベント王国と我々魔王軍の戦力を改めて確認しよう」

「ちょっと待ちなさい」


 ニルヴィーナさんが話を進めようとしていた時、ウィンディさんがその進行を止めた。


「おや、何かな?」

「なんであなたが仕切っているのかしら? 確かにあなたは軍師として呼ばれたけど、この中じゃあ一番の新人よ? パッと出なのよ! そんな奴が、この重要な会議を仕切れると思っているの?」


 なんだか正論のように聞こえる。ウィンディさんにしてはとてもまともな意見だし。


「ほう、確かに一理あるね。だが私はこの組織の一員だ。一方君は、客人じゃないか。この組織に所属しているならまだしも、外の人間がとやかくいう権利はないと思うが?」


 あ、ウィンディさんの旗色が悪い。ニルヴィーナさんの言っていることはごもっともだしなぁー。だけど協力してくれるんだから、もう少し妥協してくれてもいい気がするんだけど。


「なら、あなたの実力を見せてみなさいよ。そう、その魅力的な魅惑な身体で!」

「ならばお見せしよう。そしてあなたも見せてくれ。その魅力的な魅惑な身体を!」


 あれ? なんだかおかしな方向に進んでいるような気がする。

 って、なんで二人共脱ぎ始めたの!? 待って待って! 今はそんなことしている場合じゃないよ!


「はぁーい、みんなお久しぶり。私はファッションリーダーのダーカーよ。これから行うのは水着に関連するファッション対決ぅー。言っておくけど、この場にいるみんなが審査対象よ。ちなみぃ、棄権は認めないからね!」


 えー! なんでそんなことになるの!


「ちょっと待ってください!」


 お、さっそくリフィルさんが叫んだ。いいぞ、徹底的に拒絶しちゃって!


「あら、異議を唱えるつもり? ならこの際どい紐水着を着てもらうけど、いいかしら?」


 出されたのは大切な所なんて隠せない水着だった。

 私達はそれを見た途端、知ってしまう。拒絶する権利なんてない。これは、仕組まれたことなんだと。


「い、いやです! は、肌を露出するなんてー!」

「ちなみにぃ、これを装備すると男共が容赦なく群がってくる呪いがあるから気をつけてね」


 こんなのないよ!

 私達は紐水着を着ないためにも、参加することになった。


「わーい、水着だぁー」

「なんで私までやらないといけないんですか……」

「勇者がこんなことしないからな!」


 メイちゃんはノリノリだ。でもミーシャとジュリアちゃんはとても嫌そうにしている。


「うう、どうしてこんなことに」

「お祭りだと思ってやりましょう、メイド長」

「私も嫌ですー」

「なんか最近、水着ばっかの気がするな」


 メイド隊のみんなもどこか渋々といった感じがしている。


「水着って、あのハレンチな服かにゃ?」

「ニャニャ、たぶんアンタが想像しているのとは違うよ」

「私、これと着物しかないんだけど……」


 猫忍者隊のみんなはよくわかってないみたい。

 それにしても、女の子は強制的に参加だなんて。まあ、みんな紐水着が嫌だから参加するんだけど。

 それにしても、ファッションショーか。水着でそんなことをやって盛り上がるのかな?


『あれー? 何してるのみんなー?』


 ため息が零れている中で、精霊のカランさんがやってきた。

 あれ? どうしたんだろ? もしかしてスラート君に会いに来たのかな?


「あ、カランさん」

『こんにちは、スラート君。それよりもみんな何をしているの?』

「あー、実はですねー」


 スラート君がこれまでの経緯を説明している。するとカランさんは『なーるほどー』って言葉を零していた。


『そんなことになっていたのね』

「はい。だらか早く退散したほうが」

『うーん、そうしたいんだけどちょっと用事があってね』


 そう言ってカランさんは私に近づいてきた。もしかして私に用事があるのかな?


『こんにちは、魔王さま』

「こんにちは。どうしたの?」

『実はね、精霊の滝でこんなものを見つけちゃって。それで届けに来たの』


 渡されたのは一つのビン。何だろって思って見つめていると、何もなかった中で何かが組み上がり始めた。

 それは船と呼べばいいのかな? 羽根が生えたそれは、ビンの中で静かに佇んでいた。


「おぉー」


 なんだかすごいなぁー。でもこれなんだろ?


『あー、なるほど。だからかー』

「あの、これは?」

『魔法のビン。特別な魔力を持っている存在が持つと、ビンに記録されている物質が組み上がるってものなの。たぶんこれは、方舟が記録されていたのかな?』

「へぇー」

『使う場合はビンを壊せばいいから。そうすれば中身は元の大きさになって、使えるようになるわ』


 なんだか便利なアイテムだなぁー


「あっ」


 そっか、これを使えばもしかすると。

 ならこんなことしている場合じゃないかも。


「ありがとう、カランさん! おかげでいいことを思いついたよ!」

『え? ど、どういたしまして』


 これさえあれば、どうにかなるかも。

 よーし、ならさっさとファッションショーを切り上げさせなくちゃ。


何かを思いついたマオちゃん。

だが、それをやるためにはファッションショーをどうにかしなければ。


ところで作戦会議は?

不毛なお祭りごとが続いていくぞ!

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