退屈なパール
今日はザーザーな雨。とーっても暗くて、雷もゴロゴロしているから何だか憂鬱。
といっても、私の仕事は基本デスクワークだから外の天気なんて関係ないんだけどね。
「にゃー」
でも、パールは違うみたい。お外に出られないから、とっても退屈そうにしているよ。どこか遊んでほしそうにしているけど、私には書類処理がたくさん残っているし。
「遊ぶのは仕事が片付いてからですよ」
セバスチャンさんにも釘を刺されちゃったし。
ごめんね、パール。あなたとはまだまだ遊べないよ。
「にゃー」
そんなにじゃれつかれても。あー、書類の上に乗っちゃった。
ゴロゴロと鳴きながら転がってるぅー。なんだかかわいくてしゃーないよぉー
「こら、パール。マオ様の邪魔をしちゃいけませんよ」
「にゃー」
セバスチャンさんがひょいとパールを持ち上げる。せっかくかわいい姿を拝んでいたのだけど、やっぱりお預けみたい。
でもパールのことをどうにかしてあげたいなぁー。退屈みたいだし、このままだと仕事が進まないし。
「よーし」
こうなったら探すしかない。パールの遊び相手を!
「お母さーん。まだ仕事をしているのぉー?」
あ、ちょうどいい時にメイちゃんがやって来た。メイちゃんならいい遊び相手だろうし、パールも退屈しないかな。
「しゃー!」
ってあれ? パールが威嚇してる!
見たことがないくらい毛を逆立てているよ!
「な、何? この猫さん、何に怒っているの?」
返事に困るよ。なんだかわからないけど、すっごく怒っているし。
何かしたのかな? でもメイちゃん、身に覚えがなさそうだし。
「ああ、おそらくですがメイはパールの尻尾を思いっきり握ってしまったかもしれませんね」
「え? そんなことをしたの?」
「メイもパールも、よくマオ様のベッドに忍び込みますからね。その時に、間違ってやってしまったと思います」
えっと、予測でしかないんだよね? だけどパールの様子だと、メイちゃんに何かしらやられちゃった感じがするよ。
「怖いよぉー。お母さん、何とかしてぇー」
う、うーん。こればかりはどうにも……
「しゃー」
この様子じゃあメイちゃんと遊ぶのは無理か。
はぁー、いい遊び相手だと思ったのになぁー。仕方ない、違う人にパールを任せよう。
だけど、どんな人がいいかな? したっぱメイド隊のみんなは忙しいだろうし、リフィルさんなんてもってのほかだろうし。
うーん……
「少々失礼」
考えていると部屋の扉がノックされた。顔を向けるとそこにはヴァルガンさんの姿がある。
どうしたんだろ? 何か困りごとかな?
「どうしたの? ヴァルガンさん」
「先日、あなたの妹君にデートを申し込まれてね。それで少し困っていまして」
あー、そういえばそんな相談を受けたなぁー
まあ、困っちゃうよね。ヴァルガンさんには違う大切な人がいるし。
「おや、おめでたい話ですね。聞くだけでもうんざりしますよ、モテ男さん」
「何の嫌味だ? こう見えても私にはフィアンセがいるんだ」
「ますますうんざりしますよ。このモテモテ」
うわっ、セバスチャンさんとヴァルガンさんが火花を散らしてる。この二人って、結構相性が悪いのかな?
「にゃー」
「ん? この鳴き声は猫か?」
「おや、パール。どうしました?」
「にゃー」
あれ? さっきまで上がってたボルテージが一気に下がったよ。もしかして、パールがいいタイミングで割り込んだからかな?
なんだかケンカしないでって言っているみたいだし。
あ、そうだ。どうせだからヴァルガンさんにパールの相手をしてもらおうかな?
「ヴァルガンさん、頼みたいことがあるんだけどいいかな?」
「どういった用件でしょう?」
「この子の相手をしてくれる? 今日は天気が悪くて、とっても退屈みたいだし」
私は何となくそんなことを頼んでみる。すると思いもしない方向から言葉が放たれた。
「マオ様、何をお考えですか!? こんなくそったれヴァンパイアに大切なパールを預けてはいけません!」
なんてことを言うの、セバスチャンさん!
確かにヴァルガンさんはちょっと危険な臭いがするけど、でも絶好のいい遊び相手だと思うよ?
「ほう、それが貴様の本音か」
ああ、ヴァルガンさんが怒ってる!
まずいよ。セバスチャンさんはセバスチャンさんで臨戦態勢だし。というか、こんな所でケンカしないでよ!
「にゃー」
パールがまた鳴く。すると緊張の糸が張っていた空間が、一気に緩んだ。
「すまないにゃー。ケンカはしないにゃー」
「ええ、私達は仲良しですよー」
なんだか二人共言葉遣いがおかしいけど、でもよかった。
こんな所でケンカされちゃったら大切な書類がとんでもないことになっちゃってたし。
それにしても、パールの遊び相手をどうにかしたいなぁー
天気が悪くて外に出られないパール。
そんなパールのために遊び相手を探すマオちゃん。でもそれは前途多難?




