ご機嫌ジュリアちゃん
結局セバスチャンさんの反対にあって、パールをヴァルガンさんに預けられなかったなぁー
このままじゃお仕事が進まないし、いい人を探さないと。
「おい、魔王」
「あ、ジュリアちゃん」
なんだろ? ジュリアちゃんから声をかけてくるなんて珍しいなぁー
あれ、どこか嬉しそうに微笑んでる。何かいいことがあったのかな?
「よくやった!」
「はい?」
なんだかわからないけど、両肩をポンって叩かれた。一体私は何をしたんだろ?
「まさかこんな日が来るとはな。私はお前の友達でよかった!」
「は、はぁー……」
ぜんっぜん話が見えてこない。一体何でよろこんでるんだろ?
「なぜそんなにポカンとしている? 私が珍しくお前を褒め称えているんだぞ!」
「えっと、何で私は褒め称えられているの? 教えてくれない?」
「チッ、これだから魔王は!」
なんだかわからないけど、蔑まされた。
え? 何? 私、そんなに鈍感なの?
「いいか、お前は昨日、にゃんこくのいちを仲間にしたんだろ?」
「ああ、猫忍者のみんなだね。それがどうしたの?」
「私はそれを褒めているんだ! ったく、どこまで鈍いんだ」
え、えっと、ジュリアちゃんはあの三人を仲間にしたことに喜んでいるのかな?
なーんだ、そんなことか。って、どうして喜んでいるんだろ?
「ふふふ、あの耳にあの尻尾。特に白い奴はなかなかに綺麗じゃないか。ああ、ひざまずかせてニャンニャン言わせてやりたい」
な、なんだかとても危ないオーラが醸し出されているよ。
ハァハァって、とても怖い息遣いをしているし。
もしかして、ジュリアちゃんって猫が大好きなのかな? しかも白い猫が。
「魔王! あの白い奴はどこだ!? 私にもふもふさせろ!」
「えー」
猫獣人でこうなんだから、本物の猫を見せたらとんでもないことになるかも。絶対にパールを預けさせられないよ。
ま、まあ、それはいいとして、どうやってジュリアちゃんを落ち着かせようかな?
「私を呼んだかしら?」
ああ、呼んでいないのにシヴィちゃんが来ちゃったよ。天井からぶらーんってなっているけど、その体勢は大丈夫なのかな?
「おお、見つけたぜ、マイハニー!」
「私はあなたのハニーではないけど?」
シヴィちゃんが綺麗に一回転して着地する。
艶のある白い耳に、白い髪。長くてスラリとした白い尻尾を揺らして、ジュリアちゃんを引いたような目で見つめていた。
「どうやらその様子だと、特に用はないみたいね」
「私はそうなんだけど……」
「く、クーックックッ。ここで会ったら一〇〇年目! お前の耳を、尻尾を、触らせろ!」
ちょ、ちょっとジュリアちゃん!? なんで腰にかけていた剣を抜くの!?
「嫌よ。ここは敏感なところだし」
「ならば力づくで触ってやる!」
「最初からそのつもりじゃないの?」
ジュリアちゃんが突撃していく。だけどシヴィちゃんはその突撃を簡単に受け流していた。
もー、お城の中で暴れないでよ。ここはトラップだらけなんだよ? 下手なことをしたら、また変なトラップが発動するかもしれないし。
「のぉー! 黙ってもふられろ!」
「いーや!」
二人共容赦なく戦っているし。私知らないよ。
――ポチッ。
あれ? 足に何か違和感が……
ゆっくりと退かしてみる。するとそこに、真っ黒なボタンがあった。
すっごく嫌な予感がする。真っ黒って、今まで見たことがない色のボタンだし。
「うおっ!?」
「きゃあっ!?」
戦っている二人から悲鳴が零れた。慌てて顔を向けると、二人はウネウネした何かに身体を巻きつかれている。
「な、なんだこれ!?」
「ちょ、尻尾は、らめぇ」
う、うわぁー。二人がウネウネの犠牲に。なんだかすごくえっちぃ感じになっているし。
って、立ち尽くしている場合じゃないよ。このままじゃ私も巻き込まれ――
「ひゃあ!」
いきなり逆さまになったぁー!
ちょ、ちょっと待って! スカートの中身が見えちゃうよ!
あ、ダメ! 胸に巻きつかないで!
「うう、なんだこれは……」
「やぁ、そんなにぃ、こすられたらぁ」
「だめぇー、だめだからぁー」
ふえぇー、変なネバネバがかけられたよぉー
あれ? わたし、なにしてたっけ? ぽーっとしてきて、なにもかんがえられないよぉー
そういえばまえにもこんなことがあったような……
「おっひさー! 私だよ、ショークンだよ! 実はこのトラップ、私の体液が出るようになっているのだよ! だから女の子は力が抜けて、何も考えられなくなっちゃうの! これで私はイタズラし放題なのだ!」
ふえぇー。なんだかなつかしいまものがいるよぉー
って、あれ? うねうねがたくさんちかづいてくる。なんだかやばいきがするよぉー
「ふっふっふっ、いつぞやのリベンジをしようか。魔王さま。あなたを、至極の世界へ連れていってあげるよ!」
ふえぇー、だれかたすけてぇー
――ポチッ。
「はて? 足に何か変な感触が――、ふぉー!」
まぶしいっ! な、なに? とつぜんまっしろなひかりがあふれたんだけど。
あれ? まきついていたうねうねが、ひかりのあわになってきえていく。
「か、身体が浄化されていく! そんな、まだ私はちょっとしか楽しんでないのにー!」
なつかしい何かは「こんなオチ、ありなのー!?」って叫んで消えていった。なんだかわからないけど、とってもひどい目にあったよ。
あーあ、服がベトベトだ。
なつかしい何かが登場! でもすぐに退場した!
前途多難なマオちゃんは、無事にパールの遊び相手を見つけられるのか?




