ハレンチ!? 神様ゲーム
みんながみんな、戦々恐々する中で私はポカーンとしたまま立ち尽くしていた。
そもそもウィンディさんが始めた神様ゲームって、何?
「さあさあ、始めるわよー。仕切りはそうねぇ、オクトーパン様にしてもらおうかしら?」
『よいぞー。むふふ、これは楽しみだのぉ』
「あ、あのー」
恐る恐る手を上げてみる。するとウィンディさんが私に近寄って、神様ゲームについて説明をしてくれた。
「うふふ、神様って一般的にはどんな存在だと思う?」
「え? えっと、困っている時には助けてくれたり、あとはお祈りしたり、かな?」
「ふふふ、確かにそんな感じね。でも神様って絶対的な存在でしょ? 王様より偉いってイメージがない?」
「確かにそうですね。それで、神様ゲームって何なんですか?」
「もー、察しが悪いわねぇ。神様は王様より偉い。そんな神様は時として試練を与える。これはそれをモチーフにしたゲームなの」
つまり、オクトーパン様が与えた試練をクリアしないといけないゲームなんだ。
なんだぁー、ただそれだけなんだ。
「試練をクリアすれば神様からご褒美がもらえるわ。でもクリアできなければ天罰として身ぐるみを剥がされる。そうねぇ、今の私達だと水着を脱がされるってことかしら?」
「えっ?」
水着が剥がされる? それって、それって……
「裸になるの!?」
そ、そんな。だからみんなあんなに焦っていたんだ。
や、やだよ。こんな朝っぱらから裸になるだなんてぇー!
「ふふ。試練をクリアすればいいのよ。どんな手を使ってでもね。それに失敗してもご褒美をもらっていれば脱ぐ必要はない。もらったご褒美を返せばノーカンよノーカン」
すごく不安なんですけど。
うう、逃げたい。まさかこんなことになるなんて。というか、私はそんなにスタイルよくないんだけど……
『ぬふふ、どんな試練を出してやろうかのぉー?』
うわ、邪神さまが鼻の下をとんでもなく伸ばしているよ。とんでもなくやる気満々だし、逃げられそうにないよぉー
「いやです! 神様ゲームなんてやりたくないです!」
「ハレンチはいやですー! まだ私はー!」
「こんなことになるなら来るんじゃなかった……。くそがー!」
みんながみんな騒いでいる中、ウィンディさんはウットリとした顔をしていた。何を想像しているんだろう? よくわからないけど、たぶんあまりいいものじゃないと思う。
「わ、私、ちょっと用事を思い出しましたー」
「あ、ニィ! 一人だけずるいよ!」
「待ちやがれ! あたしたちを置いていくな!」
あまりの恐ろしさにニィちゃんは逃げだした。でも、ドアノブをどんなに回しても扉は開かない。
「あ、あれー? あれー?」
「ダメよ逃げちゃ。ま、そうなってもいいように結界を張っておいたから。ちなみに出ることはできないけど、入ることはできる優れものよ」
「そ、そんなー」
力なく崩れ落ちるニィちゃん。その気持ちは、痛いほどわかった。
ああ、私達は裸にならずにいられるのかな?
『ぬひょひょひょひょ。なぁに、そんなに難しい試練は出さんよ。代わりにちょっと恥ずかしいものは出すがのぉ』
邪神さまはもはやエロ親父になっていた。この状況の中、私はそんな邪神さまにとんでもない恐ろしさを感じてしまう。
「それで、ルールはどうします?」
『そうだのぉ、二回連続成功でクリアとしてやろう。わしはわしで渡したいものがあったしのぉ』
「あら、そんな程度でいいのですか?」
『よいぞよいぞ。ちょうどいい暇つぶしにもなるしの』
と、とにかく二回連続で成功すればいいんだ。そうすれば邪神さまからご褒美ももらえて万々歳だし!
「じゃあ、順番を決めましょうか」
そう言ってウィンディさんはあるものを召喚した。それはちょっと変わった羅針盤だ。赤、青、黄、白、黒って感じで色分けがされていた。
「少し特殊な細工をした羅針盤よ。あ、一応言っておくけど、不正なことはしてないわ」
ホントかな? とても信じられないんだけど……
「さ、好きな色を選びなさい。順番は羅針盤の針が刺した順でオクトーパン様の試練を受けていく。いいわね?」
みんな、覚悟を決めたのか静かに頷いていた。
「それじゃあ、私は黄色で」
「じゃああたしは赤だ」
「わ、私は白でー……」
シィちゃんは黄色、ミィちゃんは赤、ニィちゃんは白か。
じゃあ私は青かな?
「残り物には福がある。ということで私は黒ね」
色が決まったところで、ウィンディさんが邪神さまに羅針盤を持っていく。
「公平を喫するために、回すのお願いします」
『わかったのぉ』
邪神さまは羅針盤を勢いよく回し始めた。グルグルと回転していく羅針盤は、私達の運命を乗せて勢いを弱らせていく。
「えー?」
羅針盤は止まった。針は、白を刺していたんだ。
つまり、最初はニィちゃんってことになる。
「そ、そんなー」
ああ、ニィちゃん。そんなに悲しい顔をしないで。試練を一回でもクリアすれば裸になる必要はないから。
「あら、次は青じゃない」
「えぇー!」
って、人の心配をしている場合じゃなかった! 二番目は私なの!?
そ、そんなぁー
戦々恐々とする中、神様ゲームが始まる!
みんなはこのハレンチな試練を乗り越えられるのか!?
次回は明日の午前10時に更新予定です。




