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真打登場! リフィルさん

『うひょひょひょ! 今夜は楽しみだのぉ!』


 ショクションに絡め取られてしまったジュリアちゃん。その顔は普段と違っていて、なんだかとてもだらしない。


「ジュリアー! 戻ってこーい!」


 そんなジュリアちゃんを呼び戻そうとするティザーさんの姿があった。でもジュリアちゃんは反応を示さない。


『うひょひょひょ! 無駄だぞ、小僧。この小娘はもはやわしのものだの』

「認めない、認めないぞ! 絶対にお前からジュリアを取り戻してやる!」


 堕落したジュリアちゃんを救うために立ち上がるティザーさん。邪神さまはそんな親戚のお兄ちゃんを見下ろして笑っていた。

 って、あれ? 私達って何をしていたんだっけ?


「さあ、熱いバトルが始まろうとしているけどこっちもどんどん進めていくわよー」


 裏で始まる魔法合戦をよそに、ダーカーさんは水着コレクションを進め始めた。

 次は一体誰が呼ばれるのか? ちょっとドキドキするなぁー


「エントリーナンバー二番、メイド長リフィル!」

「って、私ですかー!」


 ああ、よりによってリフィルさんが。ま、まあ、リフィルさんなら誰が来ても平気だと思うけど。


「い、いやです! こんな大衆の前でこの姿で出るなんて!」

「何を言っているんですか、メイド長!」

「とても羨ましい身体をしているのですから、堂々と見せつけてくださいー」

「そうだそうだ。それに行かないと何されるかわからないぞ?」


 したっぱメイド隊のみんなに背中を押されて、渋々入口の前に立つリフィルさん。でも不安なのか、こっちに振り返っていた。

 その目は寂しがり屋のウサギみたいな感じがして、普段の聡明なリフィルさんとか全く違う印象を受ける。


「さあさあ、行った行った」

「拍手喝采ですー」

「堂々と胸を張って」


 なんだかかわいいなぁー。ちょっと意地悪したくなっちゃう感じに怯えているし。


「うう、行けばいいんでしょ行けば!」


 覚悟を決めたリフィルさんはステージへと立つ。途端に「おおー」という大歓声が上がっていた。

 ちょっと恥ずかしいのか、リフィルさんの顔が赤く染まっている。でも懸命にまっすぐ歩いて、しっかりとしたポージングを取った。


「さすがだ。俺が認めた女だけはある」


 ゴブタさんは腕を組みながら頷いていた。セバスチャンさんもまた、同調するようにうんうんと首を縦に振っている。


「しかし、これはなかなかですね」

「今もあの地獄のメニューをこなしているんだろう。歳を取った俺には無理だな」

「ほう、地獄のメニューですか」


 なんだか気になるなぁー。どんな特訓内容なんだろ?


「まあ、簡単に言えば通常の千倍の重力化の中でスクワットやら腕立てやらといった特訓をするんだ。あれはなかなか身体にくるぜー?」

「それはまた、遠慮したい特訓ですね……」

「といってもあいつも歳だ。やっているとしても体型維持ができる程度だろうよ」


 怖い。なんだかわからないけど、リフィルさんの恐ろしさを改めて知ったよ。

 さて、なんやかんやで後は戻ってくるだけだ。リフィルさんの顔が若干引きつっているけど、まあ何事もなくてよかった。


『おのれ、たかが人間のくせに!』

「ニワトリのてめぇなんざに言われたくないわ! ジュリアは返してもらうぜ!」

『ククク、無駄なことだ。そやつの心はもはやわしのものだの!』


 あっちはあっちでクライマックスを迎えているみたい。ジュリアちゃん、大丈夫かなぁー?

 あ、ショクションがとても暇そうにしてる。出番が終わっちゃったのかな?

 こっちを見た。お、リフィルさんに興味津々みたいだ。


「あの魔物、メイド長をずっと見てますね」

「そうですねー。なんだか色目を使っているように見えますー」

「ふーん、魔物がねー」


 したっぱメイド隊の三人もショクションのことに気づいたみたい。一緒にショクションを見つめていると、ミィちゃんが突然「あ」と声を上げた。


「面白いイタズラ思いついちゃった」


 聞いた瞬間に私は嫌な予感がした。だけど他の二人はそれを聞いてニヤニヤと笑っている。


「実は私もだよ」

「私もですー。メイド長に日頃の恨みを晴らすチャンスですー」

「じゃあ、一丁やるか」


 ま、巻き込まれないように逃げようっと。


「おっと、どこに行こうとしているのですか?」

「魔王さまも一緒にやるんですー」

「そうだな、エサとして頑張ってもらうぜ」

「エ、エサ!?」


 やばい。本格的にやばいよ。

 どうにかこうにかして逃げないと、ホントにまずいかも。


「え、えへへへ。あ、鳥だ!」

「そんな古典的なことに引っかかりませんよ!」

「観念するですー!」

「おとなしくエサになりな!」


 いやー! 誰か助けてー!

 私は全力で逃げ出した。だけどしたっぱメイド隊のみんなは許してくれない。どうしてこんな目に合わなきゃいけないの? というかそもそも、水着なんて着る必要があったのかな?

 いろんな疑問を改めて感じながら逃げる私。もー、なんでこんなことに……

したっぱメイド隊が仕掛けるイタズラに巻き込まれようとしているマオちゃん。

一体どんなイタズラに使われようとしているのだろうか?


というか作戦会議はしなくていいのか!?

もう、そんなこと私が知る由もない!

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