魅惑のぱにっくパラダイス!
「待てー!」
「待つのですー!」
「おとなしくエサになりやがれ!」
ひぃー! まだ追いかけてくるよぉー!
このままじゃあ何をされるかわかんない。と、とにかく逃げ切らなくちゃ。
「くっ、意外と足が速いですね」
「さすが魔王さまですー」
「こうなればプランBに変更だ」
ひぃ、ひぃ、ひぃ! にげ、逃げなくちゃ。
ひとまずどこかに隠れれば――
「にゃ。にゃにしているにゃ? 魔王」
「ニャニャちゃん! えっと、えっと、とにかく匿って!」
「にゃ?」
ひとまずニャニャちゃんに匿ってもらう。
ドキドキしながら三人が走り去るのを待つ。うう、見つかりませんように。
「あ、猫さん。マオ様を見ませんでしたか?」
「知らないにゃ。そういえばそれらしいのをあっちで見かけたにゃ」
「足が速いですねー」
「ひとまず追いかけるぞ。ありがとな」
「にゃん。頑張ってにゃー」
どこかへと走り去っていく三人。ふぅー、よかった。これで変なことに巻き込まれなくて済んだっと。
「助かったよ。ありがとね、ニャニャちゃん」
「お礼はいらないにゃ。にゃんせこれから魔王さまに復讐をするからにゃ」
え? 今なんて言いましたか?
復讐って言いましたよね? それって、とても嫌な言葉の響きなんですけど。
「ふふふ、つーかまーえた」
肩を叩かれる。思わずビクッと震えてしまった。振り返ると、とても怖い目をしたシヴィちゃんがいた。
「くくく、もう逃がさないよー」
怪しく笑うサチコちゃんが目の前に立っている。
こ、これはまずい。このまま捕まっちゃったら、何をされるのか全くわからないよ。
「え、えっと、話し合いを」
「する訳にゃいにゃー!」
「この前の恨み、晴らさせてもらうわ!」
「覚悟しろー!」
きゃあー! 誰か助けてぇー!
あっという間に私は手足を縛られてしまった。うう、これじゃあ逃げられないよぉー
「にゃにゃにゃ、魔王の生け捕り完了にゃ!」
「ふふふ、これであの時の復讐ができるわ」
「いい気味だよ、魔王さま」
シクシクと泣いていると、何かが近づいてくる足音が耳に入ってくる。目を向けると、とても怪しく笑っているしたっぱメイド隊のみんなが立っていた。
「クーックックッ。見つけましたよ、マオ様」
「いい感じに縛られているじゃないですかー」
「エサとしては十分な体勢だな」
みんなが怖いよぉー。え? 私、そんなに悪いことしたの?
な、何にしても早く逃げなくちゃ。もう這いつくばってでも――
「おっと、逃がさないにゃ魔王!」
「あなたは触手の餌食になるのよ!」
「私達の恨みを味わえー!」
や、やだぁー! それだけは絶対に、いやだぁー!
た、助けてしたっぱメイド隊! このままじゃあのウネウネにぃー
「あ、それ私達もやろうとしてました」
「何だか仲良くなれそうですー」
「アンタらとは気が合いそうだな」
やめて! そんなことで意気投合しないで!
ダメだ。もうどっちも敵と認識するしかない。あれ? じゃあ捕まっちゃった私って、もう逃げられない?
「ふふふ、覚悟するのですマオ様!」
「潔く餌食になってくださいー」
「私達のためにも、メイド長のためにもな」
「にゃー達の恨みを受け止めるのにゃ」
「そして、みだらに乱れるのよ」
「その小さな身体でねー」
私は察知した。もうここには味方はいないと。
私は知った。泣いても許してくれないんだと。
私は覚悟した。大きな何かを失うんだと。
「「「「「「そーれ」」」」」」
「きゃあぁあああぁぁあああぁぁぁ!」
私は暇そうにしているショクションに放り投げられた。ショクションはそれを見るや、そのウネウネを伸ばしてくる。
ああ、ごめんねお母さん。私、あなたの望むような人生を送れなかったよ。
ミーシャもごめんね。こんなお姉ちゃんで。もっとしっかり生きればよかった。
メイちゃん、もしかすると私はあなたを絶望させるかも。
「って、そんなことさせませんから!」
「お母さん、しっかりしてー!」
気がつけばショクションは倒されていた。誰かに受け止められた私は、少しホッとする。
「おや、気がつかれましたか」
セバスチャンさんがいつものように笑っていた。ああ、私にはまだ味方をしてくれる人がいたんだ。
「よくもお姉ちゃんを!」
「六人共、許さないんだから!」
怒っているミーシャとメイちゃん。それに六人は少したじたじだ。
「ちょっとまずいですね」
「さすがにあの二人とはやり合いたくないですー」
「同感だ」
「ここは逃げるにゃ」
「ほとぼり冷めるまで隠れるわよ」
「さんせーい」
蜘蛛の子を散らすように逃げ出す六人。だけど、それを許さない人がいた。
「どこに行こうとしているのですか?」
その最強のメイドさんは笑っていた。振り返った六人が凍りつくような笑みを浮かべていたんだ。
「お仕置き、受けなさい」
一瞬だけ逃げるのが遅れた六人は、瞬く間にリフィルさんに縛り上げられてしまった。
それぞれが「助けて」「もうしませんー」「後生を」と叫んでいる中、リフィルさんが残酷な決断をする。
「邪神さま、今夜はこの六人が相手をするそうですよ?」
『本当かの!? うひょうひょうひょ!』
顔が青ざめていく六人。助けを求めて顔を向けるけど、私はプイと顔を逸らした。
あんなことをしてくれたんだもん。助けてあげないんだもん。
『さあ、楽しもうかのぉ』
こうして六人は引きずられて邪神さまの部屋に連れていかれる。私は泣いているその姿を、笑顔で見送ったのだった。
なんやかんや魔王になりつつあるマオちゃん。
六人はどうなってしまうのだろうか?
もう作戦会議なんでどうでもいいやー
次で16日目最終話だよ!




