第五期 第十一話 「親子で観るアニメ」
一月。
冬休み最後の日曜日。
朝から冷たい風が吹いていたが、ユウキの家のリビングは暖房が効いていて暖かかった。
「パパ!」
ひまりがクッションを抱えながら走ってくる。
「きょうね。」
「アニメみたい!」
ユウキは新聞をたたみ、笑顔で答えた。
「もちろん。」
「今日は何を観ようか?」
ひまりは少し考えてから、目を輝かせた。
「あれ!」
「パパが、すきなやつ!」
ユウキは少し驚く。
「パパが好きな作品?」
「うん!」
「いっしょにみたい!」
テレビの前に三人で並んで座る。
ユウキは配信サービスで、お気に入りだった作品を再生した。
「これ、パパが大人になってから何度も観た作品なんだ。」
「そうなんだ。」
ミヤビも懐かしそうに笑う。
「私もユウキと一緒に観て好きになったよね。」
「うん。」
「あの頃は毎週放送日が楽しみだった。」
二人は顔を見合わせて笑った。
オープニング曲が流れる。
ひまりは自然と体を揺らし始める。
「このうた、すき!」
「覚えたの?」
ミヤビが驚く。
「うん!」
サビだけを元気いっぱいに歌う。
その姿に、ユウキは目を細めた。
「親子だなあ。」
物語が進む。
主人公が仲間を助ける場面では、ひまりが真剣な表情になる。
「がんばれ!」
思わず声が出る。
楽しい場面では声を出して笑い、
感動的な場面では静かに見入っていた。
エンディングが流れる頃には、ひまりは満足そうに拍手をした。
「おもしろかった!」
「どこが一番好きだった?」
ユウキが尋ねる。
「みんなで。」
「たすけあうところ!」
ひまりは元気よく答えた。
「ひとりじゃなかった!」
ユウキはうれしそうにうなずく。
「そうだね。」
「仲間がいるから強くなれる。」
ミヤビも微笑む。
「家族も、同じだね。」
昼食のあと。
三人はお気に入りの場面を真似して遊び始める。
ひまりは主人公になりきって、
「いくよー!」
と元気いっぱいにポーズを決める。
ユウキも悪役役になって応戦する。
「やられたー!」
大げさに倒れると、ひまりは大笑いした。
「パパ、まけた!」
「今日はひまりの勝ちだ。」
リビングは笑い声でいっぱいになる。
夕方。
ひまりはクレヨンを取り出し、今日観た主人公たちの絵を描いていた。
その横には、三人の家族も描かれている。
「これは?」
ミヤビが尋ねる。
「パパ。」
「ママ。」
「ひまり。」
「みんな、なかま!」
その言葉に、ユウキは優しく笑った。
「そうだね。」
「家族は、一番近くにいる仲間だ。」
夜。
寝る前の読み聞かせを終えると、ひまりが布団の中から小さく言った。
「パパ。」
「なあに?」
「おおきくなっても。」
「いっしょにアニメみようね。」
ユウキは少し目を潤ませながら微笑んだ。
「もちろん。」
「何歳になっても。」
「一緒に観よう。」
ミヤビもそっと続ける。
「今度はひまりがおすすめの作品を教えてね。」
「うん!」
ひまりは安心したように目を閉じた。
リビングへ戻ると、ユウキは静かにつぶやいた。
「十年前。」
「一人でアニメを観っていた頃は、こんな未来は想像できなかった。」
ミヤビは隣に座り、そっと肩を寄せる。
「でも。」
「アニメが私たちを出会わせてくれた。」
「そして今は。」
「家族三人で笑い合ってる。」
ユウキは深くうなずいた。
「好きなものを共有できるって、本当に幸せだね。」
窓の外には、冬の星空。
部屋の中には、テレビの余韻と家族の笑顔。
あの日、一人で過ごしていた休日は、今では三人で笑い合う宝物の時間へと変わっていた。
次回予告 第五期 第十二話「それぞれのありがとう」
ひまりの成長を見守る中で、ユウキはミヤビへ、ミヤビはユウキへ、そしてひまりは二人へ、それぞれの「ありがとう」を伝える。家族の絆が改めて描かれる、最終回直前の感動エピソード。




