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第五期 第二話 「初めてのお友達」

挿絵(By みてみん)


四月。


 幼稚園へ通い始めて二週間。


 朝の支度も少しずつ慣れてきた。


「パパ、おはよう!」


 ひまりは制服姿で元気よくリビングへやって来る。


「おはよう。」


 ユウキは笑顔で迎えた。


「今日は何して遊ぶの?」


「おえかきと、おそと!」


「楽しみだね。」


 ミヤビがお弁当箱をバッグへ入れながら微笑む。


 登園すると、ひまりは先生へ元気にあいさつをする。


「おはようございます!」


「おはよう、ひまりちゃん。」


 先生も笑顔で迎えてくれた。


 教室へ入ると、一人の女の子が近づいてくる。


「ひまりちゃん。」


「いっしょに、おえかきしよう。」


 少し長い髪を結んだ女の子だった。


「いいよ!」


 二人は笑顔で手をつないで席へ向かう。


 その日の帰宅後。


「パパ!」


 玄関を開けるなり、ひまりが元気いっぱいに飛びついてきた。


「おかえり。」


 ユウキが抱き上げる。


「きょうね!」


「おともだち、できた!」


 目を輝かせながら話し始める。


「さくらちゃん!」


「さくらちゃん?」


 ミヤビが笑顔で尋ねる。


「うん!」


「おえかきしたの!」


「すべりだいもした!」


 ひまりは身振り手振りを交えながら、一生懸命話してくれた。


 夕食の時間。


「さくらちゃんね。」


「アニメ、すきなんだよ!」


 ひまりが嬉しそうに言う。


「そうなんだ。」


 ユウキは思わず笑った。


「どんなアニメ?」


「まほうのおひめさま!」


 ひまりは両手を広げて説明する。


「かわいいね。」


 ミヤビも微笑んだ。


「今度、一緒に見てみようか。」


「うん!」


 数日後。


 幼稚園のお迎えへ行くと、先生が声をかけてくれた。


「ひまりちゃん、とても楽しそうですよ。」


「最近は、さくらちゃんといつも一緒に遊んでいます。」


「ありがとうございます。」


 ユウキは安心したように笑う。


「最初は少し緊張していたんですが。」


「今ではすっかり園にも慣れています。」


 先生の言葉に、ミヤビもうれしそうにうなずいた。


 教室から出てきたひまりの隣には、さくらがいた。


「こんにちは。」


 さくらは少し照れながらあいさつをする。


「こんにちは。」


 ユウキとミヤビも笑顔で返した。


「また、あしたね!」


 ひまりが大きく手を振る。


「またね!」


 さくらも元気よく手を振り返した。


 その光景を見ながら、ユウキは小さくつぶやく。


「本当に友達になったんだな。」


 帰り道。


 ひまりは楽しそうに話し続ける。


「さくらちゃんね。」


「ピンク、すきなんだよ。」


「そうなんだ。」


「あとね。」


「おべんとう、おいしかったって!」


 ユウキとミヤビは笑いながら聞いていた。


 幼稚園での出来事を話す姿が、少しだけお姉さんに見えた。


 休日。


 家族三人で録画していたアニメを観ていると、ひまりが言った。


「これ。」


「さくらちゃんも、すきなんだよ!」


「じゃあ今度、一緒にお話できるね。」


 ミヤビが言う。


「うん!」


「いっぱい、おはなしする!」


 ひまりは満面の笑みを浮かべた。


 その夜。


 寝かしつけの前。


 ユウキが絵本を読んでいると、ひまりが小さな声で言った。


「パパ。」


「なあに?」


「おともだちって。」


「たのしいね。」


 ユウキは本を閉じ、優しく微笑んだ。


「うん。」


「友達って、一緒に笑ったり、遊んだり。」


「困った時に助け合える、大切な人なんだ。」


「さくらちゃん。」


「だいすき!」


 ひまりは安心したように目を閉じた。


 寝顔を見つめながら、ミヤビが静かにつぶやく。


「ひまりにも、大切な友達ができたね。」


「うん。」


 ユウキもうなずく。


「アニメがきっかけで出会った俺たちみたいに。」


「ひまりも、小さな出会いを大切にしている。」


 二人は顔を見合わせて笑った。


 人とのつながりは、人生を少しずつ豊かにしてくれる。


 それは、ユウキとミヤビが身をもって知っていることだった。


 だからこそ、ひまりにもたくさんの素敵な出会いがありますように。


 二人はそう願いながら、静かな春の夜を迎えるのだった。

次回予告 第五期 第三話「家族みんなでアニメ映画」


ひまりが「映画館でアニメを見たい!」と言い出し、家族三人で初めての映画館へ。ポップコーンを抱えながら笑って泣いて、大好きなアニメを楽しむ。親子三人の思い出がまた一つ増える心温まる物語。

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