第四期 第十二話 「初めてのお正月」
一月。
新しい一年が始まった。
窓の外には、冬の澄んだ青空が広がっている。
ユウキはリビングのカーテンを開け、大きく伸びをした。
「明けましておめでとう。」
その声に、キッチンからミヤビが振り返る。
「明けましておめでとう。」
二人は笑顔を交わした。
そしてベビーベッドをのぞき込む。
「ひまりも。」
「明けましておめでとう。」
ひまりは二人の声に気づいたように、小さく「あー」と声を出した。
「今年もよろしくね。」
ユウキは優しく頭をなでた。
朝食は、おせち料理。
「今年は少しだけ手作りしてみたよ。」
ミヤビが重箱を開ける。
「すごい。」
ユウキが目を輝かせる。
「黒豆も伊達巻もある。」
「全部じゃないけどね。」
「十分すごい。」
二人は「いただきます」と手を合わせた。
ひまりはベビーチェアから興味深そうに二人を見つめている。
「来年は一緒に食べられるかな。」
ミヤビが微笑む。
「きっと食べられるよ。」
ユウキも楽しそうに答えた。
昼前。
三人は暖かく着込んで近くの神社へ初詣に出かけた。
境内には家族連れが多く訪れている。
ユウキはベビーカーをゆっくり押しながら歩く。
「寒くない?」
「大丈夫そう。」
ミヤビはひまりの毛布をそっと整えた。
参拝の列に並び、二人は静かに手を合わせる。
(家族みんなが健康でありますように。)
(ひまりが元気に育ちますように。)
願いは同じだった。
参拝を終えると、おみくじを引く。
「俺は吉。」
「私は大吉。」
ミヤビが嬉しそうに笑う。
「ひまりの分も、大吉ってことにしよう。」
「賛成。」
二人は笑い合った。
帰り道。
甘酒や焼き餅の屋台から、香ばしい香りが漂ってくる。
「懐かしいね。」
ユウキが言う。
「子どもの頃、お父さんと毎年来てた。」
「私も。」
ミヤビが頷く。
「今度は私たちが、ひまりを連れて来る番なんだね。」
「来年は歩いてるかもしれない。」
「走り回ってるかも。」
未来を想像しながら、二人は笑顔になる。
午後。
両家の両親が新居へ遊びに来た。
「明けましておめでとう。」
部屋は一気ににぎやかになる。
「ひまり、大きくなったね。」
祖父母に抱っこされ、ひまりは嬉しそうに手足を動かした。
「今日は、お年玉もあるのよ。」
ユウキの母が小さなぽち袋を差し出す。
「まだ使えないけどね。」
みんなで笑った。
「大切に貯金しておこう。」
ユウキが受け取り、頭を下げる。
夕方。
両親を見送ったあと、部屋は再び静かになる。
リビングには、お年玉のぽち袋が並んでいた。
「ひまり、人気者だね。」
ユウキが笑う。
「みんなに愛されてる。」
ミヤビも優しく微笑む。
「本当に幸せだね。」
夜。
三人でソファに座り、テレビでお正月特番を眺める。
ひまりはユウキの腕の中で安心したように眠っていた。
「今年は。」
ユウキが静かに話し始める。
「ひまりの成長を、一日一日大切に見守っていきたい。」
ミヤビはゆっくりとうなずく。
「私も。」
「初めて寝返りした日。」
「初めてハイハイした日。」
「全部覚えていたい。」
「写真も動画も、いっぱい残そう。」
「うん。」
二人は笑顔で約束した。
窓の外には、冬の澄んだ夜空。
部屋の中には、家族三人の穏やかな時間。
恋人として始まった物語は、夫婦となり、そして父と母になった。
新しい一年もまた、たくさんの「初めて」が待っている。
その一つひとつを大切に積み重ねながら、三人は笑顔あふれる毎日を歩んでいく。
次回予告 第四期 最終話「はじめての『パパ』『ママ』」
第四期、感動の最終回。少しずつ言葉を覚え始めたひまりが、ある日初めて「パパ」「ママ」と呼ぶ。その一言に涙するユウキとミヤビ。家族三人で歩んだ一年を振り返りながら、新たな未来へ向かって歩き出す。




