第四期 第十一話 「初めてのクリスマス」
十二月。
街は色とりどりのイルミネーションに包まれ、クリスマスソングがあちこちから聞こえてくる季節になった。
今年のクリスマスは、ユウキとミヤビにとって特別だった。
ひまりにとって、生まれて初めて迎えるクリスマスだからだ。
休日の朝。
リビングでは、小さなクリスマスツリーの飾り付けが始まっていた。
「このオーナメント、ここでいいかな?」
ユウキが枝に星形の飾りをつける。
「もう少し上かな。」
ミヤビが笑顔で手直しする。
その様子を、ベビーベッドの中のひまりがじっと見つめていた。
「ひまりも参加してるね。」
「監督さんかな。」
二人は笑い合った。
飾り付けが終わると、ミヤビが小さな箱を持ってきた。
「じゃーん。」
「届いたよ。」
中に入っていたのは、小さな赤いサンタクロースのロンパースだった。
「かわいい!」
ユウキが思わず声を上げる。
「こんなに小さいサンタさんがいるなんて。」
ミヤビは優しくひまりに着せてあげる。
帽子までかぶると、本当に小さなサンタクロースのようだった。
「似合ってる。」
ユウキは思わず何枚も写真を撮る。
「こっち向いて。」
カシャ。
「いい笑顔!」
カシャ。
「今日はカメラマンが忙しいね。」
ミヤビが笑う。
「今日は専属カメラマンだから。」
昼食のあと。
三人で近所の公園まで散歩に出かける。
クリスマス仕様のイルミネーションが昼間でもきれいに飾られていた。
ベビーカーの中のひまりは、きょろきょろと辺りを見回している。
「いろんなものが気になるんだね。」
ミヤビが優しく話しかける。
「来年は歩きながら見られるかな。」
ユウキも微笑んだ。
「その頃には一緒に写真も撮れるね。」
夕方。
二人はキッチンでクリスマスディナーの準備を始める。
「ローストチキン完成。」
ユウキがオーブンから取り出す。
「スープもできたよ。」
ミヤビがテーブルへ運ぶ。
ひまりはベビーチェアに座り、二人をじっと見つめている。
「今日は三人でクリスマスだね。」
「うん。」
「家族が増えると、こんなににぎやかなんだ。」
食後。
ツリーの下には、小さなプレゼントが一つ置かれていた。
「ひまりへ。」
ユウキが包みを開ける。
中から出てきたのは、布でできた優しい手触りの絵本だった。
「まだ読めないけど。」
ミヤビが笑う。
「今日から読み聞かせを始めよう。」
「賛成。」
ユウキはひまりを膝の上に抱き、ゆっくりとページをめくる。
優しい声で物語を読む。
ひまりは声を聞きながら、安心したように目を細めていた。
夜。
窓の外では雪がちらちらと舞い始めていた。
三人でソファに並んで座り、ツリーの灯りを眺める。
「去年は二人だったね。」
ミヤビが静かに言う。
「今年は三人。」
ユウキもうなずく。
「来年は。」
「ひまりもプレゼントを開けられるかな。」
「きっと。」
「その頃には『パパ』『ママ』って呼んでくれるかもしれない。」
二人は未来を想像して笑い合う。
ベビーベッドへ寝かせる前。
ミヤビが優しくひまりへ話しかける。
「メリークリスマス。」
「ひまり。」
ユウキも隣で微笑む。
「これから毎年。」
「家族みんなでクリスマスを迎えよう。」
ひまりは小さく「あー」と声を出し、にこっと笑った。
「返事してくれた。」
ユウキが嬉しそうに言う。
「サンタさんも喜んでるね。」
ミヤビは優しく笑った。
その夜。
ツリーの優しい灯りが、静かなリビングを照らしていた。
恋人として過ごしたクリスマス。
夫婦として迎えたクリスマス。
そして今年は、父と母として迎えた初めてのクリスマス。
季節は巡り、家族の形も少しずつ変わっていく。
けれど変わらないものが一つあった。
それは、この家にあふれる笑顔と、互いを思いやる温かな気持ちだった。
次回予告 第四期 第十二話「初めてのお正月」
新しい年を迎えたユウキ、ミヤビ、ひまり。初詣やおせち料理、お年玉と、日本のお正月を家族三人でゆっくり楽しむ。ひまりの健やかな成長を願いながら、新しい一年が始まる。




