第四期 第五話 「赤ちゃんを迎える準備」
七月。
青空が広がる休日。
ミヤビは安定期に入り、体調も落ち着いてきていた。
朝食を終えたあと、ユウキが笑顔で言う。
「今日は楽しみにしてた日だね。」
「うん。」
ミヤビも嬉しそうにうなずく。
「赤ちゃんのお買い物。」
二人は以前から予定していたベビー用品店へ向かった。
店内へ入ると、小さな服やベビーベッド、おもちゃが並んでいた。
「かわいい……。」
ミヤビは思わず足を止める。
手のひらほどの小さな靴下。
柔らかなガーゼ。
色とりどりのスタイ。
「全部小さい。」
ユウキも驚いたように笑う。
「こんなに小さい服を着るんだ。」
二人は顔を見合わせて微笑んだ。
まずはベビーベッドを見学する。
「木のぬくもりがあるね。」
ミヤビが触れながら言う。
「高さも調整できるみたい。」
ユウキは説明書きを読みながらうなずく。
「安全性も大事だな。」
スタッフから使い方や特徴を聞き、二人で相談しながら一台を選んだ。
「これなら長く使えそう。」
「うん。」
未来の赤ちゃんが眠る姿を想像し、自然と笑顔になる。
次はベビーカー。
店内で実際に押してみる。
「思ったより軽い。」
ユウキが感心する。
「折りたたみも簡単。」
ミヤビも操作しながら頷く。
「休日のお散歩が楽しみ。」
「公園にも行こう。」
「桜も見せてあげたいね。」
未来の予定が、また一つ増えていく。
ベビー服売り場では、二人の足が止まった。
「これ、かわいい。」
ミヤビが手に取ったのは、小さな動物の刺繍が入ったロンパースだった。
「似合いそう。」
ユウキも優しく笑う。
「まだ性別は分からないけど。」
「どっちでも着られるデザインだね。」
二人は相談しながら、何着か選んで買い物かごへ入れた。
買い物を終え、近くのカフェでひと休み。
テーブルの上には、今日もらったカタログや購入した小物が並ぶ。
「なんだか実感が湧いてきた。」
ユウキが言う。
「家に帰ったらベビーベッドを置く場所も考えよう。」
「リビングがいいかな。」
「最初は寝室の隣も安心かも。」
二人は間取り図を思い浮かべながら話し合う。
その時間さえ楽しかった。
夕方。
新居へ戻ると、大きな段ボールが届いていた。
「もう来た!」
ミヤビが嬉しそうに声を上げる。
二人で箱を開け、ベビーベッドを組み立て始める。
「説明書お願い。」
「はい。」
「ネジはこっち。」
「了解。」
新居へ引っ越した時のことを思い出しながら、息を合わせて作業を進める。
一時間ほどで完成した。
真新しいベビーベッドが部屋の一角に置かれる。
「完成!」
ユウキが満足そうに言う。
「かわいい。」
ミヤビはベッドを優しくなでた。
「ここで眠るんだね。」
まだ誰も寝ていない。
それでも、その小さなベッドには未来への期待が詰まっていた。
夜。
ソファに座りながら、二人はベビーベッドを眺める。
「家族が増えるんだね。」
ミヤビが静かにつぶやく。
「うん。」
ユウキもうなずく。
「恋人になって。」
「夫婦になって。」
「そして今度は、お父さんとお母さん。」
ミヤビはユウキの肩にそっと寄り添った。
「少し不安もある。」
「でも。」
「ユウキと一緒なら大丈夫。」
ユウキは優しく手を握る。
「俺も同じ。」
「分からないことは、一緒に学ぼう。」
「泣く日があっても。」
「笑う日がもっと増えるように。」
二人は笑顔で頷き合った。
眠る前。
寝室の隣に置かれた小さなベビーベッド。
その横には、以前買った絵本と小さなぬいぐるみが並んでいる。
「もうすぐ会えるね。」
ミヤビが優しく語りかける。
ユウキも静かに微笑んだ。
「みんなでアニメを観る日も、きっとすぐだ。」
新しい家族を迎える準備は、少しずつ、でも確実に進んでいた。
次回予告 第四期 第六話「初めての両親学級」
ユウキとミヤビは、病院で開かれる両親学級へ参加する。赤ちゃんの抱っこやおむつ替えを体験し、「親になる」という実感がさらに深まっていく。少しぎこちないユウキの抱っこに、ミヤビは思わず笑ってしまう。




