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第四期 第四話 「小さな命のぬくもり」

挿絵(By みてみん)


六月。


 梅雨の雨が静かに降る休日。


 ミヤビのお腹は少しずつふくらみ始めていた。


「前より大きくなったね。」


 ユウキが優しく微笑む。


「最近、服のサイズも少し変わってきたの。」


 ミヤビはお腹にそっと手を添えた。


「赤ちゃんが元気に育ってる証拠だね。」


「うん。」


 二人は笑顔を交わした。


 その日、二人は定期健診のため病院を訪れていた。


 診察室で医師がエコーを確認する。


「順調に成長していますよ。」


「よかった……。」


 ミヤビはほっと胸をなで下ろす。


「今日は手や足もよく動いていますね。」


 モニターには、小さな体を一生懸命動かす赤ちゃんの姿が映っていた。


「動いてる。」


 ユウキは目を輝かせる。


「元気いっぱいだ。」


 二人は自然と笑顔になった。


 診察を終えた帰り道。


 病院の近くにある公園へ立ち寄る。


 雨上がりの紫陽花が色鮮やかに咲いていた。


「赤ちゃんも、この景色を見られる日が来るんだね。」


 ミヤビが静かにつぶやく。


「来年の今頃は。」


 ユウキが続ける。


「ベビーカーを押して、この公園を散歩してるかもしれない。」


 その未来を想像すると、二人とも自然と笑みがこぼれた。


 夕方。


 新居へ戻ると、宅配便が届いていた。


「何か頼んでた?」


 ミヤビが尋ねる。


「少し早いけど。」


 ユウキは照れながら箱を開ける。


 中には、小さな絵本が数冊入っていた。


「えっ。」


 ミヤビが目を丸くする。


「寝る前に読んであげられるように。」


「まだ生まれてないけどね。」


 ユウキは少し恥ずかしそうに笑う。


「気が早いかな。」


「そんなことない。」


 ミヤビは絵本を大切そうに抱きしめた。


「すごく嬉しい。」


 夜。


 夕食を終え、ソファでくつろいでいると、ミヤビが小さく声を上げた。


「あっ。」


「どうした?」


 ユウキが心配そうに身を乗り出す。


「今……。」


「動いた気がする。」


「本当に?」


 ユウキは驚いた表情になる。


「もう一回あるかな。」


 二人は静かに待った。


 数秒後。


「……!」


 ミヤビが微笑む。


「また。」


「赤ちゃん、動いてる。」


 ユウキはゆっくりとミヤビの許可を得て、お腹にそっと手を添えた。


 しばらくすると、小さな動きが手のひらに伝わる。


「……すごい。」


 ユウキは思わず息をのむ。


「今、感じた。」


 その小さな動きは、確かに新しい命の存在を教えてくれていた。


 ミヤビの目には、うっすら涙が浮かんでいた。


「元気に育ってくれてる。」


「うん。」


 ユウキも優しくうなずく。


「会える日が、ますます楽しみになった。」


 二人は笑顔でお腹を見つめた。


 まだ姿は見えない。


 それでも、小さな命は毎日少しずつ成長し、家族の時間を育ててくれている。


 寝る前。


 ベッドサイドには、先日飾ったエコー写真と今日届いた絵本が並んでいた。


「いつか。」


 ミヤビが微笑む。


「この絵本を読んであげようね。」


「もちろん。」


 ユウキは優しく答える。


「三人で笑いながら。」


 二人は静かに寄り添う。


 赤ちゃんの小さなぬくもりを感じたこの日は、父と母になる実感が、また一つ大きくなった特別な一日となった。

次回予告 第四期 第五話「赤ちゃんを迎える準備」


安定期を迎えたミヤビ。ユウキと一緒にベビーベッドやベビーカーを見に行き、赤ちゃんを迎える準備が本格的に始まる。小さなベビー用品に囲まれながら、二人は「もうすぐ会えるね」と期待を膨らませる。

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