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第三期 第二話 「両家顔合わせ」

挿絵(By みてみん)


三月。


 春の訪れを感じる穏やかな日曜日。


 今日は、ユウキとミヤビの両家が初めて顔を合わせる日だった。


 会場は大阪市内の落ち着いた和食店の個室。


 ユウキは店の前で深呼吸をしていた。


「緊張する?」


 隣でミヤビが優しく尋ねる。


「プレゼンより緊張してる。」


 ユウキが苦笑すると、ミヤビも思わず笑った。


「私も同じ。」


 二人は顔を見合わせ、小さくうなずく。


「一緒に入ろう。」


「うん。」


 個室には、それぞれの両親がすでに到着していた。


「本日はよろしくお願いいたします。」


 ユウキとミヤビはそろって頭を下げる。


「こちらこそ。」


 双方の父親と母親も笑顔であいさつを交わす。


 最初は少し緊張した空気だったが、料理が運ばれるにつれ、少しずつ会話が増えていった。


「ユウキさんのお仕事は営業なんですよね。」


 ミヤビの父が尋ねる。


「はい。」


「毎日勉強の連続です。」


「責任も大きいでしょう。」


「大変ですが、やりがいがあります。」


 その真面目な受け答えに、ミヤビの父は満足そうにうなずいた。


 一方、ユウキの母はミヤビへ優しく話しかける。


「資格試験に合格したって聞きました。」


「はい。」


「おめでとう。」


「ありがとうございます。」


 ミヤビは少し照れながら笑った。


 食事が進むうちに、緊張も少しずつほぐれていく。


「そういえば。」


 ユウキの父が笑いながら言った。


「二人はアニメがきっかけで知り合ったそうですね。」


「はい。」


 ユウキが答える。


「最初はアニソンバーで偶然隣の席になって。」


「そこから話が盛り上がって。」


 ミヤビの母が驚いたように目を丸くする。


「そんな出会いもあるのね。」


「まるでドラマみたい。」


 部屋に笑い声が広がる。


 すると、ユウキの母が思い出したように話し始めた。


「実はユウキ、小さい頃からアニメが大好きだったんです。」


「毎週テレビの前に正座して見てました。」


「母さん。」


 ユウキは照れたように止めようとする。


 しかしミヤビは楽しそうに笑っていた。


「なんだか想像できます。」


「今も新作アニメの日は、放送時間に合わせて予定を立てるくらいだから。」


「ミヤビ。」


 今度はミヤビの父が笑う。


「うちの娘も負けてないですよ。」


「録画予約を忘れた日は、一日中落ち込んでいました。」


「お父さん!」


 今度はミヤビが顔を赤くする番だった。


 部屋中が笑いに包まれる。


 食後、お茶を飲みながら将来の話になる。


「結婚後は大阪で暮らす予定なんですね。」


 ミヤビの母が尋ねる。


「はい。」


 ユウキが答える。


「お互い通勤しやすい場所で新居を探しています。」


「休日は二人で料理をしたり、映画を観たり。」


 ミヤビが続ける。


「変わらない毎日を大切にしたいです。」


 その言葉に、双方の両親は優しく微笑んだ。


 帰り際。


 店の前で、ユウキの父がミヤビの父へ頭を下げる。


「これから、どうぞよろしくお願いいたします。」


「こちらこそ。」


「二人を一緒に見守っていきましょう。」


 固い握手が交わされた。


 その様子を見ていたユウキとミヤビは、ほっと胸をなで下ろす。


 両親を見送ったあと。


 二人は近くの公園をゆっくり歩いた。


「終わったね。」


 ミヤビが大きく息を吐く。


「うん。」


「すごく緊張した。」


「でも。」


「みんな笑ってくれてよかった。」


 ユウキも笑顔でうなずく。


「家族同士が仲良くなってくれたのが、一番嬉しい。」


「私も。」


 ミヤビはユウキの手をそっと握る。


「今日、本当に結婚するんだって実感した。」


 ユウキも手を握り返した。


「俺も。」


「もう二人だけの話じゃない。」


「家族みんなで歩いていく未来なんだね。」


 春風がやさしく吹き抜け、桜の花びらが二人の間を舞っていく。


 新しい家族の絆が生まれたその日。


 ユウキとミヤビは、結婚へ向けてまた一歩、大切な階段を上った。

次回予告 第三期 第三話「新居探しの休日」


いよいよ本格的に新居探しを始めるユウキとミヤビ。理想の間取りや家具の配置を想像しながら、いくつもの部屋を見学する二人。「ここで朝ご飯を食べたいね」「この棚はアニメでいっぱいになりそう」。新しい生活への期待が膨らむ、幸せいっぱいの休日。

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