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第二期 第十一話 「未来への決意」

挿絵(By みてみん)


十一月。


 木々が赤や黄色に色づき始めた大阪。


 穏やかな日曜日の朝、ユウキのスマートフォンに一通のメッセージが届いた。


ミヤビ


「合格しました!」


 その文字を見た瞬間、ユウキはソファから立ち上がった。


「やった!」


 思わず声が出る。


 すぐに電話をかけると、数回の呼び出し音のあと、ミヤビの明るい声が聞こえた。


「ユウキ!」


「おめでとう!」


「ありがとう!」


 電話越しでも、ミヤビが笑顔なのが伝わってくる。


「本当に頑張ったもんな。」


「ユウキが応援してくれたから。」


「いや、努力したのはミヤビだよ。」


 二人はしばらく笑い合った。


 その日の夕方。


 二人は小さなレストランで合格祝いを開いた。


「改めて、おめでとう。」


 ユウキがグラスを掲げる。


「ありがとう。」


 ミヤビも嬉しそうに笑う。


「資格が取れたら、一番にユウキへ報告したかった。」


「それを聞けて嬉しい。」


 料理を楽しみながら、これまでの苦労話に花が咲く。


「問題集、何冊やったっけ?」


「四冊。」


「すごい。」


「途中で何度も心が折れそうだったけど。」


「ユウキの『大丈夫』を思い出して頑張れた。」


 ユウキは少し照れながら笑った。


 食事を終え、二人は夜の街を歩く。


 イルミネーションの準備が始まった通りは、少し早い冬の気配を感じさせた。


 ふと、一軒のジュエリーショップの前でユウキの足が止まる。


 ショーウィンドウには、いくつもの指輪が並んでいた。


「綺麗だね。」


 ミヤビがガラス越しに眺める。


「うん。」


 ユウキは静かに頷く。


 店内に視線を向けながら、心の中でつぶやく。


(まだ少し早いかもしれない。)


(でも、いつかは。)


 そんな思いが胸の中に芽生えていた。


 店を離れ、公園のベンチに腰掛ける。


 冷たい風が木々を揺らす。


「ミヤビ。」


「うん?」


「最近、よく考えるんだ。」


「何を?」


「これから先のこと。」


 ミヤビは静かに耳を傾ける。


「仕事も少しずつ安定してきた。」


「ミヤビも資格を取って。」


「お互い、一歩ずつ前へ進んでる。」


「だから。」


 一呼吸置いて続ける。


「もっと先の未来も考えたくなった。」


 ミヤビは少し驚いたように目を見開いた。


 そして、優しく微笑む。


「私も。」


「え?」


「最近ね。」


「将来どんな家具を置こうとか。」


「休日はどんなご飯を作ろうとか。」


「そんなことを考えるようになった。」


 二人は顔を見合わせ、照れ笑いを浮かべた。


 帰り道。


 駅へ向かう途中、ユウキは静かに言う。


「焦るつもりはない。」


「でも。」


「これからも、同じ未来を見て歩いていきたい。」


 ミヤビはその言葉を噛みしめるように頷いた。


「うん。」


「私も。」


「どんなことがあっても。」


「ユウキの隣を歩いていたい。」


 二人は自然と手をつなぐ。


 指先から伝わる温もりが、言葉以上に気持ちを伝えてくれていた。


 その夜。


 帰宅したユウキは、机の引き出しを開ける。


 中には、去年ミヤビからもらった手紙や、一緒に撮った写真が大切にしまわれていた。


 その隣に、小さなメモ帳を置く。


 一ページ目に、ゆっくりと文字を書いた。


「ミヤビを幸せにする。」


 短い言葉だった。


 でも、それはユウキが自分自身に誓った約束だった。


 一方、ミヤビも部屋で今日撮った写真を見返していた。


 ユウキと並んで笑う一枚。


「これからも。」


「ずっと一緒に。」


 小さくつぶやき、優しく写真を胸に抱きしめた。


 冬の訪れとともに、二人の未来は少しずつ、確かな形になり始めていた。

次回予告 第二期 第十二話「クリスマスに誓うこと」


二人で迎える二度目のクリスマス。去年とは違い、恋人として過ごす特別な夜。イルミネーションの下でユウキはミヤビへ「来年も、その先も、一緒にクリスマスを過ごそう」と約束する。そして胸の奥では、さらに大きな決意が静かに育ち始めていた。

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