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第二期 第七話 「一緒に暮らす未来」

挿絵(By みてみん)


七月。


 梅雨が明け、大阪の空には夏の日差しが降り注いでいた。


 休日の午後。


 ユウキとミヤビは難波の街を並んで歩いていた。


「今日も暑いね。」


 ユウキがペットボトルのお茶を飲みながら言う。


「もう夏だね。」


 ミヤビは日傘を差し、優しく微笑んだ。


 昼食を終え、いつものように街を散策していると、一軒の不動産会社の前で足が止まる。


 ガラス越しには「新築マンション モデルルーム公開中」という文字が見えた。


「モデルルームだ。」


 ミヤビが興味深そうに眺める。


「入ったことある?」


「いや、一度も。」


「私も。」


 二人は顔を見合わせる。


「……見るだけなら。」


 ユウキが言うと、


「うん、見るだけ。」


 ミヤビも笑顔で頷いた。


 受付を済ませ、案内されたモデルルーム。


 ドアが開いた瞬間、二人は同時に声を上げた。


「すごい……。」


 明るいリビング。


 大きな窓。


 木目調のフローリング。


 開放感のある対面キッチン。


「こんな家、憧れるね。」


 ミヤビがゆっくり部屋を見渡す。


「リビング広いな。」


 ユウキも感心したように頷いた。


 ソファに腰掛けてみる。


「座り心地いい。」


「ここで映画を観たら楽しそう。」


「アニメもね。」


「もちろん。」


 二人は笑う。


「休日は朝からアニメを一気見して。」


「お昼は一緒に料理して。」


「夜は新作をリアルタイムで観る。」


「最高だね。」


 自然とそんな未来を語り合っていた。


 続いてキッチンへ。


「広い。」


 ミヤビは嬉しそうにカウンターへ立つ。


「二人でも料理しやすそう。」


「また肉じゃが作ってくれる?」


「今度はユウキもちゃんと作るんだよ?」


「先生がいるなら安心。」


 二人は笑い合う。


 初めて一緒に料理をした日のことが、懐かしく思い出された。


 寝室も見学する。


 落ち着いた色合いの部屋に、大きなベッド。


「ゆっくり休めそう。」


 ミヤビがつぶやく。


「仕事で疲れて帰っても、こんな部屋なら癒やされるな。」


「うん。」


 少しだけ静かな時間が流れる。


 お互いに、同じ未来を思い浮かべていた。


 見学を終え、近くのカフェへ入る。


 アイスコーヒーを飲みながら、ミヤビが静かに言った。


「今日ね。」


「うん?」


「少し想像しちゃった。」


「何を?」


「もし、本当に一緒に暮らしたらって。」


 ユウキも小さく笑う。


「俺も。」


「朝、一緒に朝ご飯を食べて。」


「仕事へ行って。」


「夜は『おかえり』って迎えて。」


「休日はアニメを観る。」


「それだけでも幸せだと思う。」


 ミヤビは優しく頷いた。


「私も。」


 店を出たあと、公園の木陰で少し休憩する。


 蝉の声が夏の空に響いていた。


「ユウキ。」


「うん。」


「焦るつもりはないよ。」


「でも。」


「いつか、本当に一緒に暮らせたらいいな。」


 その言葉を聞いたユウキは、ゆっくりと頷く。


「俺も同じ気持ち。」


「今はお互い仕事もあるし、準備も必要だ。」


「だから一歩ずつ。」


「ちゃんと未来へ進もう。」


 ミヤビは安心したように微笑んだ。


「うん。」


 帰り道。


 二人は夕焼けに染まる街を歩く。


 信号待ちで、自然と手をつなぐ。


 もう照れはほとんどなかった。


 隣にいることが当たり前になり、その当たり前が何より大切だった。


「今日は『見るだけ』のはずだったね。」


 ミヤビが笑う。


「そうだった。」


「でも。」


「未来まで見えちゃった。」


 ユウキの言葉に、ミヤビはくすっと笑った。


「その未来、楽しみ。」


「俺も。」


 二人は同じ歩幅で歩き続ける。


 恋人として積み重ねてきた日々は、少しずつ「一緒に人生を歩む」という未来へと形を変え始めていた。

次回予告 第二期 第八話「初めての記念日」


ユウキとミヤビが出会って一年。二人は初めて会ったアニソンバー「Sirius」で記念日を祝うことにする。懐かしい思い出を語り合う中、ユウキはミヤビへ「これからも毎年、この日を一緒に迎えよう」と約束する。二人にとって忘れられない、特別な一日が始まる。

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