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第二期 第五話 「未来を語る夜」

挿絵(By みてみん)


五月。


 新緑がまぶしい季節になった。


 ミヤビの両親へ挨拶をしてから数週間。


 ユウキとミヤビは以前と変わらず、休日になると一緒に過ごしていた。


 その日は、二人でお気に入りになったカフェへ来ていた。


 窓際の席からは、やわらかな夕日が街を照らしている。


「このカフェも、すっかり定番になったね。」


 ユウキがコーヒーカップを手に笑う。


「うん。」


 ミヤビも頷く。


「最初は少し緊張してたのに。」


「今は落ち着く場所になった。」


 二人は顔を見合わせて笑った。


 しばらく他愛ない話をしたあと、ミヤビが静かに口を開く。


「ユウキ。」


「うん?」


「この前、お父さんがね。」


「『二人とも本当に仲がいいね』って言ってた。」


 ユウキは少し照れながら笑う。


「そう見えてたのかな。」


「うん。」


「それで……。」


 ミヤビは少しだけ視線を落とした。


「将来のこと、少し考えちゃって。」


 その言葉に、ユウキも真剣な表情になる。


 店を出た二人は、夕暮れの川沿いをゆっくり歩く。


 心地よい風が吹き、川面が夕日に輝いていた。


「将来か。」


 ユウキが小さくつぶやく。


「うん。」


「もし……。」


「本当にもしだけど。」


「一緒に暮らすことになったら。」


 ミヤビは少し恥ずかしそうに笑う。


「どんな家がいい?」


 ユウキは少し考えて答えた。


「広すぎなくていい。」


「帰ってきたら『おかえり』って言える家がいい。」


 その言葉に、ミヤビは優しく微笑む。


「私も。」


「あとね。」


「リビングは少し広めがいいな。」


「どうして?」


「一緒にアニメを見るスペースを作りたいから。」


「ははっ。」


 ユウキは思わず笑った。


「それ最高だね。」


 話題は自然と未来へ広がっていく。


「子どもは好き?」


 ミヤビが尋ねる。


「好きだよ。」


「姪っ子と遊ぶのも楽しいし。」


「ミヤビは?」


「私も。」


 少し照れながら続ける。


「もし子どもができたら。」


「家族みんなでアニメ映画を観に行きたい。」


「いいね。」


「休日は公園へ行って。」


「夜は一緒にご飯を食べて。」


 ユウキも笑顔で頷く。


「きっとにぎやかだ。」


 二人はベンチへ腰掛ける。


 少し沈黙が流れる。


 その静かな時間も心地よかった。


「ユウキ。」


「うん。」


「私ね。」


「幸せって、特別なことじゃないと思うの。」


 ユウキは耳を傾ける。


「今日みたいに。」


「一緒にご飯を食べて。」


「他愛ない話をして。」


「笑って帰る。」


「そんな毎日が続いたら、それだけで幸せ。」


 ユウキはゆっくり頷いた。


「俺も同じだよ。」


「仕事で疲れて帰っても。」


「ミヤビが『おかえり』って言ってくれたら。」


「それだけで頑張れる気がする。」


 ミヤビの目が少し潤んだ。


「そんなこと言われたら……。」


「私、毎日言う。」


 二人は思わず笑い合う。


 夜になり、街の明かりが灯り始める。


 歩きながら、ユウキは静かに言った。


「実は最近、少し考えてることがある。」


「何?」


「仕事も順調だし。」


「将来を考える年齢でもある。」


「だから。」


 一度立ち止まり、ミヤビを見つめる。


「もっと真剣に、これからのことを考えたい。」


 ミヤビは驚いたあと、小さく頷いた。


「私も。」


「焦らなくていい。」


「でも。」


「同じ未来を見て歩いていきたい。」


 その言葉に、ユウキは優しく微笑んだ。


「ありがとう。」


 駅へ向かう途中。


 夕暮れから夜へ変わる空を見上げながら、二人は自然と手をつないだ。


 恋人になって数か月。


 楽しいデートだけではなく、お互いの将来についても語り合える関係になっていた。


 まだ結婚の約束をしたわけではない。


 それでも、二人が見つめる未来は、少しずつ重なり始めている。


 その歩幅はゆっくりでも、確かに同じ方向を向いていた。

次回予告 第二期 第六話「ユウキの実家へ」


今度はユウキの実家を訪れることになったミヤビ。初めて会うユウキの両親を前に緊張するミヤビだったが、温かく迎え入れられる。そしてユウキの幼い頃のアルバムを見ながら、思わず笑ってしまう意外な一面が明らかになる。

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