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ゴーレムの正しい作り方 〜俺のゴーレム、絶対おかしいと言われるんですが、なにか?〜  作者: 水無月 五色
スタンピード編

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第97話:最前線の行方 その2

ただでさえ数千のスタンピードで手一杯なのに、まだ奥にボス格が数体も控えているのか。


俺の脳裏に、かつて遭遇した絶望的な存在がフラッシュバックする。


「おいおい!その中にもしあのスライムがいたら……倒すのは無理だぞ!」


『スライム・アバドンではありません』


「そうか!マジで良かったわ!」


俺は心底ホッとして胸を撫で下ろした。


あいつに勝てるイメージが、いまだに全く湧かないんだよな……。


「じゃあ、他のプリムスクラス(支配者階級)って事か?」


『いえ、そこまでの圧倒的な魔力ではありません。ただ……少し、妙な感じはします』


「妙な感じ?」


『はい。ラマ・アガールの影響でステータスが底上げされているからかもしれませんが……正しい解析ができない状態です』


「ノリアみたいに妨害されてるのか?」


『いえ、そうではないのですが…』


アカシャにしては珍しく、歯切れが悪い。


俺の【危険察知】には、まだそこまで強い警報は鳴っていない。


つまり、その「指揮官」とやらはまだ遠くにいる。


すぐにどうこうなる問題ではないということだ。


「とにかく、今は目の前の敵を片付けることに集中、でいいか?」


『今はそれで問題ありません』


アカシャらしくない曖昧な返事だが、わからない事を今ここで考えていても仕方がない。


できるだけ多くの魔物を倒す。


しかも強力なやつから優先してここで食い止める!


「アカシャ、念のため防壁の周りに俺を監視しているようなやつらはいないか?」


『現在、マスターの周囲で怪しい動きをしている者は確認できません』


「よし!」


俺はマッド・ゴーレムの錬成と強化に回していたリソースを、少しだけ手元に引き戻した。


そして、あのトラウマウサギを屠った最強のゴーレムを錬成する。


透明な死神——【ナイトロ・ゴーレム(窒素ゴーレム)】だ。


俺は数十体のナイトロ・ゴーレムを同時に生み出し、魔物たちの頭へと覆い被らせた。


同時に、空気で作った【タクティカル・シェル】を出現させる。


魔物たちの頭は潜水ヘルメットを被ったようになった。


透明な密閉された空間。


その中で、張り付いていたナイトロ・ゴーレムを一斉に解除する。


純度100%の窒素が充満する。


酸素を含まない、純粋な窒素だけの吸入。


それによって起こるのが、『酸素の逆流』現象だ。


一呼吸、二呼吸。


それだけで脳への酸素供給が完全に絶たれ、苦しむ隙すら与えずに意識を刈り取る。


呼吸をする生物にとっては、毒以上の即効性を持つ、『サイレント・ハグ(静かなる抱擁)』との応用コンボだ。


バタッ……ドサッ……!


前線でゴーレムを押し込んでいたハイ・オークやトロル、ギガントロプスたち。


それらが、まるで糸の切れた操り人形のように、次々と地面に崩れ落ちていった。


ゴーレムの攻撃で魔物たちがバタバタと倒れていく——


仮に防壁の上にいる冒険者たちが見たとしても、そうとしか見えないはずだ。


念の為、アリバイ作りにゴーレムパンチを落としておくか。


「ははっ、相変わらず呼吸をする魔物には効果絶大だな!」


強靭な肉体も、異常な再生力も、脳が停止してしまえば意味がない。


これが使える今なら、一匹たりともここを通さないぜ!


調子に乗って次々と前線の強敵を沈黙させていた、その時だった。


『上空より、飛行する魔物が多数接近しています!』


「いけね!そうだった!飛行系もいるんだった!」


俺は慌てて上空を見上げた。


土煙の向こう。


地平線の彼方から、無数の黒い影が編隊を組んでこちらに向かってきているのが見える。


どうする?


上空の敵にもサイレント・ハグでいけるか!?


『スピードや数から、全部にタクティカル・シェルで頭を覆うのは不可能です』


だよな。リソースも足りなそうだし。


かなりの数を通過させてしまう可能性が高い。


かといって、エア・ゴーレムでは攻撃ができないしな……。


どうやって迎撃すべきか……。


思考を猛烈に回転させていた、まさにその瞬間。


——パァァ。


体が、急に軽くなった。


疲労が嘘のように吹き飛び、体の内側から爆発的な力が湧き上がってくる。


細胞の一つ一つが歓喜の声を上げるような、圧倒的な全能感。


『マスター』


「ああ!わかってる!」


先ほどから上位種の魔物を大量に屠り続けた結果だ。


今、俺はレベルが上がった。


『新スキル【オーナーシップ・トランスファー】および【リム・アームズ】が使用可能になりました』


「リム・アームズ……!」


確か、全身ではなく『ゴーレムで身体の一部分のみを作り出すスキル』だったはず。


「………良い事思いついたぜ!」


俺の口角が自然と吊り上がる。


これなら、空中の敵も迎撃できるはずだ!


俺は迫り来る上空の黒い影を睨みつけながら、新スキルリム・アームズを発動させた。

ご一読いただきありがとうございます。


面白い、続きが気になる!と思っていただけましたら、気軽にブックマークや評価、応援していただけると継続の励みになります!


次回、第98話は【対空砲付きゴーレム爆誕】(※次の話の予定タイトル)を更新予定です。

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