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ゴーレムの正しい作り方 〜俺のゴーレム、絶対おかしいと言われるんですが、なにか?〜  作者: 水無月 五色
スタンピード編

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第96話:最前線の行方 その1

「グォォォォォッ!!」


獣のような咆哮とともに、砂煙から現れた巨体。


大きく跳んだ俺のマッド・ゴーレムが拳を振り下ろした。


硬質化させた土塊の拳と、分厚い筋肉の塊が激突する。


凄まじい衝撃波。


周囲の空気をビリビリと震わせ、足元の小石を弾き飛ばした。


その巨体は、その拳を正面からガッチリと受け止めた。


「防ぐかよ!」


思わず俺は声を漏らした。


ステータスを60倍に強化した、圧倒的な質量を誇るマッド・ゴーレムの一撃。


今までの魔物なら、紙くずのように吹き飛んでいたはずだ。


だが、目の前にいる巨大なトロルは違った。


腕の筋肉を異常に膨張させ、ゴーレムの膂力に真っ向から対抗している。


特にやっかいなのはその再生能力だった。


ゴーレムの攻撃で裂けた皮膚や筋肉が、目に見える速度でグチュグチュと音を立てて再生していく。


「レギオンみたいなやつだな!」


そのトロルがタンク役となってゴーレムの動きを止める。


同時に両脇からハイ・オークの部隊が滑り込んできた。


手に持った無骨な大剣や戦斧を、ゴーレムの脚部へと的確に叩き込んでいく。


更に上からギガントロプスの強烈な一撃。


「で、でかいな!」


ゴーレムの背丈くらいある棍棒での一撃が、俺のゴーレムを削る。


同レベル帯の魔物たちとはいえ、これは一筋縄ではいかないぞ。


というか、どうして種類も生態も違う魔物たちが、冒険者パーティーのように役割分担をしてるんだよ!


「やっかいだな!」


マッド・ゴーレムの強化リソースは、「数の確保」のために分散している。


一部を極限まで尖らせ、ハイ・オークやトロルといった前線の強個体を打ち砕く特化型を作るべきか?


思案の末、すぐに首を振る。


ダメだ、悪手だ。


個体性能を引き上げるには、総数を削るしかない。


だが、現状の数でさえ、かなりの数のすり抜けが発生している。


これ以上防衛線を薄くすればどうなるかなんて、火を見るより明らかだ。


そのすり抜けた強個体が後方に雪崩れ込めば、あっちの戦線は崩壊する。


「やはり、壁として機能させるには、ある程度の数は必要だ」


俺は、全体の戦線を維持しつつ、ピンポイントで強敵に当たるゴーレムのステータス倍率をいじる。


あっちに50倍、こっちに60倍……。


まるで、落ちてくるブロックの隙間をひたすら埋め続けるパズルゲームのようだ。


少しずつ強化リソースを調整しながら、なんとか戦線を支えるしかない。


いっその事、俺自身も前に出て、直接戦闘に参加すべきか?


——いや、厳しい。


数千体のゴーレムの状況を把握しながら、リアルタイムでリソースを配分し続ける。


それだけで俺の【並列思考】のキャパシティはギリギリだ。


自分の戦闘に集中できないのに、あの敵陣に突っ込むのは無謀以外の何物でもない。


「俺が直接動くのは、もう少し後だ。今は前線を維持するのが最優先だ」


だが、次々と押し寄せる上位種の魔物たちを前に、俺のゴーレムの壁が少しずつ削られていく。


「ああもう!ままならないな!」


俺が現状のジレンマに苛立ちを覚えた、その時だった。


ドォォォォォンッ!!!


背後から、鼓膜が破れそうなほどの巨大な爆発音。


「な、なんだ!?」


慌てて後ろを振り向く。


壊れた防壁の大穴の奥から、直径数メートルはあろうかという巨大な岩塊が、まるで大砲の弾のように真っ直ぐに飛んできたのだ。


その大岩は、俺のゴーレムの壁を越えようとしていた魔物の密集地帯に、真正面から激突した。


ドパン!という凄惨な音とともに、魔物たちが血しぶきを上げて弾け飛ぶ。


強固な装甲を持つシージ・ライノさえも、風船のように破裂していった。


ズゥン……


最後に大地を揺るがす重い振動が響いた。


「砲弾?!いや、攻城兵器か!?ていうか、壁に穴が空いてるぞ!」


『落ち着いてください、マスター』


驚く俺の脳内に、アカシャの冷静な声が響く。


『ギルドマスター、ウルノラの魔法攻撃です。土属性の魔法による攻撃と推測されます』


「あれがギルマスの魔法かよ……」


大穴の向こうから出てくるギルマスの姿が見えた。


脇にいるのは……レーヴァさんだな。


しかし、ギルマスは力任せのゴリゴリなインファイターかと思ってたんだが……。


あんな遠距離魔法まで使えるとは!


しかも岩の魔法攻撃……あの豪快な風体に合っている。


「こんなデカい岩を、あの距離からぶち込んでくるとは……。第五階梯、いや第六階梯クラスの大魔術か?!」


俺は感嘆の声を漏らした。


「さすがはギルマス!第一線を張る冒険者は、魔法の階梯数も威力もダンチだな!」


『………』


ふと、脳内のアカシャが沈黙した。


「……なんだよ、アカシャ。何か言いたそうな感じがビンビン伝わってくるんだが?」


『……いえ、なんでもありません。今は目の前の敵に集中してください』


「お、おい」


俺は眉をひそめた。


なんだよ、その微妙な間は?


変なアカシャだな。


まあ、確かに、今は目の前の敵の対処が最優先だけどさ。


気を取り直して、再び戦場に意識を向けた。


ゴーレムたちと上位の魔物たちは、未だ一進一退の攻防を繰り広げていた。


ゴーレム一体に対して、三〜四体の魔物が的確に連携して対応してくる。


「やっぱりおかしい。力が強い個体同士、しかも違う魔物同士がここまで綺麗に連携するとか、ちょっと考えづらいんだけど」


ラマ・アガールの効果だけで、本当にこんな軍隊のような動きができるものなのか?


「アカシャ、あいつら、何かに魅了されて操られてないのか?」


『魅了状態ではないようですが、何かの精神干渉を受けているのは事実です』


「やっぱりラマ・アガールの影響か?」


『その影響も無いとは言えませんが、恐らく他の要因である可能性が高いです』


「だとすると……この大群を、後ろで統率している『指揮官』みたいなやつがいるってことか?」


『はい。かなり後方ですが、強力な魔力を有する個体が数体確認できます』


「え?数体も?」


俺は顔を引きつらせた。

ご一読いただきありがとうございます。


面白い、続きが気になる!と思っていただけましたら、気軽にブックマークや評価、応援していただけると継続の励みになります!


次回、第97話は【最前線の行方 その2】(※次の話の予定タイトル)を更新予定です。

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