↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴーレムの正しい作り方 〜俺のゴーレム、絶対おかしいと言われるんですが、なにか?〜  作者: 水無月 五色
スタンピード編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/113

第90話:防壁の上からの戦い その2

たきびのゴーレムの壁をすり抜け、町に向かう魔物たち。


壁の上から、キーニル達が攻撃を開始した。


増え続ける的に、キーニルの魔法が炸裂する。

「イグラ・フリア。アエトラ・ゾル・リミタ・トランセンド、ルベア・ヴォラサ!(大気を揺るがす赫怒の花よ。臨界を越え、全てを飲み込む赤き顎となれ!)」


彼女の杖の先端に、周囲の魔力が凄まじい勢いで収束していく。


空気が熱を帯び、チリチリと静電気が弾けるような音が鳴る。


そして、彼女は鋭い視線を敵の密集地帯へと向けた。


「――咲け、クリムゾン(紅蓮の)・デトネーション(爆散華)!!」


放たれた魔力が、クレバスの左右に二箇所、地上を走る魔物たちの眼前に着弾する。


次の瞬間——


土煙を突き破るようにして、巨大な深紅の魔法陣が展開された。


地面がグツグツと沸騰し、そこから巨大な炎の塊が、いくつもせり出してくる。


それは高さ5メートルにも達した。


禍々しくも美しい、炎の植物の立像。


その先端には巨大な炎の蕾が頭を垂れている。


魔物たちがその異常な熱量に気づき、足を止めようとした時には、もう遅かった。


一斉に、美しい巨大な炎の花が開花する。


同時に、目を開けていられない程の熱波が周囲を襲う。


そして、炎で作られた分厚い花びらが散り、地面に触れた瞬間――。


ドッゴォォォォォンッ!!!


鼓膜を破るような轟音とともに、凄まじい連鎖爆発が巻き起こった。


周囲の酸素を一気に奪い尽くすほどの、爆発的な燃焼。


急激な熱膨張による、物理的な破壊力を伴う衝撃波。


炎の暴風が、素早いコボルトや重戦車のようなライノやオークの群れを、まとめて空高く跳ね飛ばす。


炭化した肉片と鎧の残骸が宙を舞う。


その間にも、炎の植物は再び蕾を作り出し、爆発の花びらを撒き散らし続けた。


「す、すげえ……!炎の第三階梯魔法か!?さすがはキーニルだ!」


「なんてえげつない魔法を使いやがる!でもそのおかげで、しばらく足止めができるぞ!」


「俺たちも負けてられないな!一発デカい魔法をぶち込んでやる!」


触発された他のスペルキャスターたちも、我先にと大魔法の詠唱を始めようとする。


「待って!!」


あまりに強い語気に、魔導士たちの動きがピタリと止まる。


「どうしたんだ、キーニル?今が畳み掛けるチャンスだろ!」


士気の高さは喜ぶべき事だが、キーニルは初めから違和感を感じていた。


「……来るはずの魔物が、まだ来ていないのよ」


「……来ていない魔物?」


周囲の冒険者たちが、怪訝な顔を見合わせる。


キーニルが杖で空を指した。


「飛行系の魔物よ」


キーニルの指摘に、彼らの熱狂は急激に冷めていった。


「通常、機動力のある飛行系の魔物が偵察を兼ねて、一番最初に突っ込んでくるのが定石でしょう?」


「言われてみれば…」


「空の魔物にはラマ・アガールの影響が無かった、とか?」


「それは無い。範囲は立体的なはずだ。しかもあの森には飛行系の魔物は結構な数がいる」


どう問答しても、キーニルの反対意見を出せる者はいなかった。


「でも、さっきから地上を這いずり回る連中しか見ていないわ!」


彼女の言う通りだった。


空を見上げても、黒い雲と土煙が渦巻いているだけだ。


羽音の一つも確認できない。


その場にいた全員の顔が、みるみる引きつり始める。


あれだけ大規模な群れなのに、飛行系がいない……どうして?


キーニルは思考をフル回転させる。


魔法の連打で一網打尽にされるのを防ぐため、あえて後方に待機させている?


乱戦に突入してからしかけてくるため?


もしそうなら、防衛側にとっては致命的な打撃になりかねない!


だが、知能の低い魔物同士で、そんな高度な戦術が取れるはずは……。


「……統率している『誰か』がいる?」


背筋が凍ったかのように強張る。


まるで、見えない巨大な迷路に足を踏み入れてしまったかのような、薄気味悪い感覚。


キーニルは強く首を振り、凝り固まりそうな疑念を振り払った。


決めつけると、足元を掬われる。


今は、目の前の防衛に集中すべきだ。


彼女は自分にも言い聞かせるように、指示を出した。


「いいこと! 飛行系の魔物は必ず来るわ! だから防壁の上の私たちは、絶対に空への警戒を解かないで!」


キーニルの鋭い声が、焦る魔法使いたちの意識を引き戻す。


「地上の残党は下の前衛に任せなさい! 上空からの奇襲に備えて、魔力はできるだけ温存しておくのよ!」


「わ、わかった!」


「……そういうことなら、下手に無駄撃ちはできねぇな」


スペルキャスターやレンジャー達が次々と杖や武器を下ろしていく。


眼下では、キーニルが作り出した炎の地獄から、全身を焼かれた魔物たちが次々と這い出してくる。


彼らは空への警戒を保ちつつ、防壁に近づかせないよう、最低限の魔力や矢で攻撃をし続けた。


だが、やはりそれだけでは、数の暴力の前には焼け石に水だった。


生き残った魔物たちが、焦げた大地を踏み越える。


爆発の合間を縫って、次々に防壁の足元へと肉薄し始めていた。


「来るぞ!俺たちで食い止める!」


「構えろォ!!」


防壁の下、門の前に陣取った近接部隊の怒号が響く。


その最前列には、目を血走らせたガボンの姿があった。


「開門!」


ギギギギギギギギッ……!!


金属をこすり合わせるような、腹の底に響く轟音が鳴り響く。


土煙の向こうから迫り来る魔物たちを迎え撃つべく、西の重厚な門が、ゆっくりと開かれ始めた。

ご一読いただきありがとうございます。


面白い、続きが気になる!と思っていただけましたら、気軽にブックマークや評価、応援していただけると継続の励みになります!


次回、第91話は【激突 その1】(※次の話の予定タイトル)を更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。