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ゴーレムの正しい作り方 〜俺のゴーレム、絶対おかしいと言われるんですが、なにか?〜  作者: 水無月 五色
スタンピード編

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第89話:防壁の上からの戦い その1

スタンピードの最前線で進行を止める戦いを開始した、たきびのゴーレム群。


そのすさまじい戦いを防壁の上で見て、驚愕する冒険者たち。


しかし、着事に魔物達は自分たちの足元に近づいてきていた。

——防壁の上から見下ろす大地には、濛々と立ち込める土煙と熱気に覆われていた。


風が砂塵を払うたび、そこには常軌を逸した光景が広がっている。


地平線を黒く染め上げ、うねりながら押し寄せる魔物の大群。


それらを真正面から受け止め、圧倒的な質量と暴力で押し止めている巨大な土塊の兵団。


たきびが錬成した、マッド・ゴーレムたちだった。


「す、すげえ……!本当に、あの無数の魔物の群れを抑え込んでやがるぞ!」


「あんなバカでかいゴーレムの軍勢なんて、長年冒険者をやってる俺だって初めて見た……!」


「おいおい、あいつ、本当にスパウンなのかよ!?」


防壁の上に陣取る冒険者たちの口から、次々と驚嘆の声が漏れる。


眼下で繰り広げられる一方的な防衛劇は、彼らの常識を根底から粉砕していた。


「……ちっ」


興奮と恐怖が入り交じった声が飛び交う中、防壁の隅でギリッと歯を食いしばる男がいた。


冒険者のガボンである。


「あんなの、呪物の力じゃねぇか。運よくそんな物を使えただけだろうが」


忌々しげに吐き捨てる。


「そ、そうだな。あいつの力じゃないよな!」


「俺だって、そんな力があればスタンピードの二つや三つ!」


「……おまえがそれをしても、結局認められないって事になるんだが…」


ガボンは冒険者たちの雑談に再度舌打ちをする。


そして、防壁から地上へと続く石造りの階段へ、乱暴に足を向けた。


あの忌々しいガキが!


こんなことが、あいつの力であってたまるか!


ガボンの胸中には、苛立ちが渦巻いていた。


町が守られ、自分たちの命が繋がるのはいい。


だが、それを成し遂げているのが、自分が見下し、踏みつけにしていた最底辺の少年であるという事実。


それが、彼の高いプライドをズタズタに引き裂いていた。


安堵と不愉快。


相反するドロドロとした感情が、ガボンの足取りを重く、そして乱暴なものにしていた。


ガボンが向かっている先は、西側の防壁の門の前だ。


まだ最前線の防衛ラインを完全に突破されたわけではない。


だが、事態が起きた時、いち早く動き功績を上げるためだ。


その時、防壁の上から緊張をはらんだ声が聞こえてきた。


「ギルドマスターより伝令!ラーヴァ・トードを確認!赤い斑点を持つ巨大なカエルの魔物には、強力な自爆特性あり!防壁に張り付かれる前に、最優先で排除すべし!」


兵士の切羽詰まった声が、周囲の空気を引き締める。


伝令は更に続く。


「また、魔物同士の『連携』が確認されている!個々の戦闘力も異常に高まっているため、十分に警戒せよ!」


ざわめく声が聞こえる。


「……魔物の連携だぁ?」


ガボンの喉から、唸るような怒気が漏れた。


魔物は本来、本能のままに襲いかかってくるものだ。


種族を超えて連携するなど、通常ではあり得ない。


「どいつもこいつも……!鬱陶しいったらありゃしねえ!」


ボキボキと太い指の関節を鳴らしながら、ガボンは足早に西の門へと踵を返した。


まるで、やり場のない苛立ちをぶつける相手を探すかのように。


一方、戦場の状況は、少しずつ変化を見せ始めていた。


次から次へと波のように押し寄せる大群。


たきびのゴーレムたちが強固な壁を築いているとはいえ、そのすべてを完全にせき止めることは、物理的に不可能だった。


ゴーレム同士の僅かな隙間や攻撃を縫うようにして、数十、数百という魔物が防衛線をすり抜ける。


しかし、先に巨大な『クレバス』が立ちはだかっていた。


ゴーレムを錬成した際に出来た地割れだ。


たきびの予想通り、魔物たちの進軍速度を著しく削ぎ落としている。


その間に、近接職の冒険者や騎士たちが、続々と西の門へと集結していく。


「地上戦の準備だ!門の前の陣形を確認!」


「盾持ちは前に出ろ!隙間から漏れた魔物を一匹たりとも町に入れるな!」


剣を抜き、槍を構え、迫り来る敵を迎え撃つべく士気を上げていく。


それと同時に、防壁の上に残った遠距離部隊も、いよいよ行動を開始していた。


弓使いが弦を引き絞り、スペルキャスターたちが杖を掲げる。


「ようやく私たちの出番ね!さあ、やるわよ!」


部隊を指揮するのは、冷静沈着な魔導士、キーニルだ。


彼女の鋭い声が、風を切り裂いて響き渡る。


「まずは伝令にあったカエルを優先的に狙って!絶対に壁に近づかせるな!」


「「「おおおおっ!!」」」


数十人の弓兵と魔法使いたちが、クレバスを迂回しようとする魔物の群れに向かって、一斉に攻撃を放つ。


放たれた無数の矢と魔法攻撃が、敵陣へ降り注いだ。


ズドドドッ!という着弾音とともに、数体の魔物が悲鳴を上げて倒れ込む。


だが、後続の魔物たちは歩みを止めない。


死体を乗り越え、クレバスの左右から波状攻撃を仕掛けてくる。


「なら、まとめて吹き飛ばす!」


キーニルは大きく息を吸い込むと、自身の杖を高く掲げ、詠唱を開始した。

ご一読いただきありがとうございます。


面白い、続きが気になる!と思っていただけましたら、気軽にブックマークや評価、応援していただけると継続の励みになります!


次回、第90話は【防壁の上からの戦い その2】(※次の話の予定タイトル)を更新予定です。

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