↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴーレムの正しい作り方 〜俺のゴーレム、絶対おかしいと言われるんですが、なにか?〜  作者: 水無月 五色
ベルシア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/113

第82話:予期せぬ邂逅

レーヴァの力により、レギオンを消滅させる事に成功。


聖女の力の凄まじさを改めて感じるたきびだった。


ようやく戦闘が終わったのも束の間、男の声がホールに響き渡る。

俺は手の中にある黒い石──アテル・キャパシタを握りしめたまま、声のした方向へ視線を向けた。


二階の瓦礫の山を踏み越えて、一人の男が姿を現した。


上品な執事服はボロボロに引き裂かれ、あちこちに血が滲んでいる。


だが、その足取りは恐ろしいほどに静かで、一切のブレがない。


右手には重そうな胴体を引き摺り、左手には白目を剥いた人間の頭部を無造作にぶら下げていた。


その顔を見て、俺は思わず声を上げた。


「クロードさん……!?」


「おや、たきび様もいらしていたのですか。気が付きませんでした」


わざと!?


『恐らく魔力感知を行ったのかと』


ああ、なる程。


そりゃあ、俺は魔力0ですからね。


「そんな事より、手にぶら下げてるのって…」


「ああ、これですか。テキゼン・サーベツェリ侯爵様だ(・)っ(・)た(・)も(・)の(・)の頭と体です」


ズルズルと音をたてて、クロードさんがゆっくりと階段を降りてくる。


……俺は一体何を見せられているんだ……。


「ん……うぅ……」


レーヴァさんの回復魔法を受けていた騎士たちが、うめき声を上げながら次々と目を覚ました。


彼らが身を起こした次の瞬間──顔を青ざめさせた。


「あ、あの執事殿……また死体を引き摺って現れたぞ……」


「ネクロマンサーの時とまったく同じ構図じゃないか……」


「なんなんだ、あの人……」


騎士たちが悪魔でも見るように囁き合う。


またって何!?前にも同じ事してんの!?


本当、ヤバイだろ、あの人……


ドーザさんが静かに立ち上がる。


口元にかすかな笑みを浮かべながら、穏やかな口調で話しかけた。


「クロード殿。上の階の敵を片付けてくれたのだな。感謝する」


「いえいえ。それにしても、お互い随分と派手にやられましたね」


クロードさんは事も無げに笑う。


しかし、その身体から発せられる覇気は、以前会った時とはまるで違っていた。


研ぎ澄まされた刃のような、隠しきれない強者の気配。


服の切れ目から見える、彫刻のような体。


その圧倒的な存在感を肌で感じて、俺は背中に変な汗をかいた。


本当に俺、あの人に勝ったんだよな……


脳内にすかさず冷ややかな声が響いた。


『はい。間違いなく。ただ、本人が全力だったとは限りませんが』


……うん。絶対に何か隠してそう……。


その時、俺の隣にいたレーヴァさんが目を見開いて、硬直していることに気づいた。


「レーヴァさん?」


彼女の口から、信じられないものを見るような声が漏れる。


「……クロード、さん?」


クロードさんが足を止め、レーヴァさんを見て目を細めた。


「おやおや。これは……レーヴァ様ではありませんか」


生首と体を無造作に捨て、綺麗な一礼をする。


「お噂はかねがね。ますますご健勝のようで何よりです。」


「やっぱり……昔、俺たち勇者パーティの戦術指南だったあんたが、なんでここに…」


「「「えっ!?」」」


全員が声を上げる。


勇者パーティの戦術指南役だったの!?


「昔の話ですよ。今の私は、ただのしがない執事に過ぎません」


「王命で俺達の前から姿を消したのはわかるが、本当に執事をやってるのか!?」


レーヴァさんの動揺が止まらない。


「色々ありまして。その話はまた機会がございましたら」


クロードさんはふわりと笑って、その話を強引に打ち切った。


そして、打ち捨てた肉塊に視線を落とす。


「さて。このテキゼン侯爵様の死体ですが、レヴナントとして蘇った明確な証拠です。ギルドへ持ち帰り、報告せねばなりませんな」


また頭と体を拾おうとする。


「「「引き摺って帰る気かよ!!」」」


俺と騎士たちが、全く同じタイミングでツッコミを入れた。


「さすがに夜の町でそれをやってたら、ヤバい殺人鬼ですよ!」


俺が慌てて止めに入ると、レーヴァさんが深くため息をついた。


「おい、たきび。転移か何か知らないが、今すぐ全員まとめてギルドの前まで飛ばせるか?」


「はい。問題ないです」


「なら、頼む。こんな悪趣味なもん、一秒でも早くギルドマスターに押し付けたい」


レーヴァさんはそう言って、クロードさんの背中を複雑な視線で見つめていた。


「今から、皆さんを転移させます」


「転移?」


「あれ?そう言えば、あいつ誰だ?馴染みすぎてて、全然わからなかった」


「レーヴァさんもいるよな!何がどうなってるんだ!?」


ようやく周りが見え始めたような騎士三人。


うんうん。起きた瞬間、クロードさんの死体引き摺りシーンだったし、仕方ないよね。


「たきび様。この死体も一緒に転移させて頂けますでしょうか?」


クロードさんは、丁寧な言葉遣いと頼む内容のギャップが凄いな!


「多分いけますよ。とりあえず今回はそのまま置いといてください」


「かしこまりました」


「動いたら死ぬかも知れないので、絶対動かないでくださいね」


「死ぬ!?」


騎士達は自分の体に力を入れる。


それよりも、ドーザさんの方が必要以上に固くなるのを俺は見逃さなかった。


まあ、死なないけどね。


アカシャ、準備はいい?


『問題なく』


「行きますよ。シフトチェンジ!」


次の瞬間──俺たちは冒険者ギルドの巨大な扉の前に立っていた。

ご一読いただきありがとうございます。


面白い、続きが気になる!と思っていただけましたら、気軽にブックマークや評価、応援していただけると継続の励みになります!


次回、第83話は【職業が2つ?】(※次の話の予定タイトル)を更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。