↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴーレムの正しい作り方 〜俺のゴーレム、絶対おかしいと言われるんですが、なにか?〜  作者: 水無月 五色
ベルシア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/114

第58話:逆襲のテレスタリア

とうとうギルド内に入れる事になったたきびを待っていたのは、想像以上の敵意だった。


いつ殺されてもいいような状態で、始まったたきびへの質問。


たきびはこの状態を打破する事はできるのか?

「これを利用して、強いゴーレムを作り出す事は可能か?」


俺は数秒、考える素振りを見せた後、はっきりと答えた。


「できます」


俺の一言が落ちた瞬間――


ギルド内が一気にヒートアップした。


火付け役は、やはりあのガボンという大男だった。


「嘘をつけ!!スパウンごときに、できるわけねぇだろ!!」


「そうだ!適当なこと言って、俺たちをハメる気だろ!」


「てめぇみたいな不吉な奴がいるから、スタンピードなんて起きるんだよ!」


渦を巻くような罵声と怒号が、四方八方から俺へ叩きつけられる。


『マスター。全員、爆破しますか?』


ダメだよ、アカシャくん。


知り合いが三人も巻き込まれちゃうでしょ。


そんな喧騒を切り裂くように、凛とした声が飛んだ。


「じゃあ、証明しなさいよ」


赤毛の魔導士。


名前は確か、プーパッポン……。


「ぷっ」


「あぁ!?なんかおかしい事あるわけ!?」


室内の温度が二度くらい上がったような気がした。


「いえ、すみません。なんでもないです」


『今のは完全にマスターがいけませんね』


確かに。ごめんなさい。


俺を胡乱な目で睨みつけながら、キーニルさんは傍らのテレスタリアさんへ向き直った。


「お嬢様。あなた、確か【真偽眼】というユニークスキルを持っていらしたわよね?」


「……はい」


「それで、そのスパウンが答えることの『真偽』を測ってくださらないかしら?」


おおーっ!と、ギルド内に期待のどよめきが上がる。


「キーニルの言う通りだ!それなら一発で嘘が分かるな!」


「あのご令嬢、真偽眼の持ち主だったのか!」


「知らなかったのかよ。結構有名だぜ」


「よく見ると、すっげー美人だよな……」


脱線気味な感想も飛び交う中、冒険者たちは一様にキーニルの提案に賛成の意思を示した。


「たきびさん。構いませんか?」


テレスタリアさんが、申し訳なさそうに俺へ尋ねる。


「はい。大丈夫ですよ」


テレスタリアさんは一瞬目を閉じ、そして――静かにまぶたを開いた。


おぉ……なんて…


俺は思わず息を呑んだ。


本来の鮮やかなエメラルドグリーンの瞳が、より一層深みを増し、まるで湖の底へ引き込まれるような幻想的な光を放っていた。


見つめられるだけで、心の奥底まで全て見透かされてしまうような錯覚に陥る。


「では、尋ねます。あなたは、強いゴーレムを作れますか?」


「はい」


俺が答えた瞬間――。


テレスタリアさんの瞳が、深い青色に輝いた。


「うおおっ!?」


ギルドがどよめく。


「青は確か、『真実』を示す色だよな!?」


「嘘だろ……本当にあの残骸を利用して、強力なゴーレムを作れるのかよ……」


「信じられねぇ……」


「あの真偽眼、百パーセント当たるって話だぞ……」


確固たる事実を突きつけられ、冒険者たちの間に困惑が広がる。


だが、一人だけ、それを認めようとしない男がいた。


「嘘だ!!お前ら、最初から手を組んでるんだろ!!」


またもガボンが立ち上がり、喚き散らす。


「その眼の色も、自分で都合よく変えられるんだろ!魔力もねぇスパウンに、そんな事ができるわけねぇ!ハッタリだ!」


あいつ、誰かをディスらないと死ぬ病気かなんかなのかな?


『己の矮小な脳で理解できない事象を、ただ受け入れられないだけでしょう。愚かです』


アカシャの言葉の温度が、絶対零度だ。


「――いい加減にしてください!」


「……!!」


一瞬で、ギルド内の空気が凍りついた。


なんと、今まで控えめにしていたテレスタリアさんが、冷徹な声を響かせたのだ。


その声は可憐でありながら、確実に相手の喉元へ氷の刃を突き刺すような、圧倒的な迫力を持っていた。


いや、俺が一番びっくりしたんだけど!


「こんな異常事態です。私やドーザに対しての粗野な振る舞いは、あえて不問に付してきました。その方が、話が早く進むと思ったからです」


美しく、そして冷酷な瞳が、ガボンを射抜く。


「しかし、あなたは、レーヴァ様に対しても、たきびさんに対してもその無礼な態度を変えず、文句ばかり。まるで、自分に注目がいかないと駄々をこねて泣き叫ぶ子供のように」


ガボンの顔がみるみる紅潮し、こめかみに太い血管が浮き出た。


「なんだと……この、メスガキが……っ!」


「弁えなさい!!」


テレスタリアさんが、これまでで一番大きな声を張り上げた。


それは単なる大声ではない。


長年、上に立つ者として磨き上げられた、本物の『覇気』。


歴戦の冒険者であるガボンでさえ、その気迫に気圧され、ビクッと肩を震わせた。


「これ以上、くだらない邪魔をするというのであれば――ロンブリッツ家三女として、あなたを処します!」


そこにいたのは、少し前まで怯えてもじもじしていた少女ではない。


誇り高き貴族たらんとする、凛とした支配者の姿だった。


「この……舐めるなァッ!!」


完全に頭に血が上ったガボンが、背中の大斧へ手を伸ばした。


その瞬間――。


ドンッ!


レーヴァさんの手が、ガボンの太い腕を完全に押さえ込んでいた。


同時に、ドーザさんの抜き身の剣が、ガボンの首筋へピタリと突きつけられる。


「そこまでだ、ガボン。これ以上動くなら、この腕をへし折る。……まあ、その前にこっちの騎士殿に首を飛ばされるだろうがな」


レーヴァさんが、凄絶な笑みを浮かべて囁く。


ガボンの額を、滝のような冷や汗が伝い落ちた。


「わ……わかった……」


ガボンはゆっくりと斧から手を離し、ドスンと椅子へ腰を下ろして黙り込んだ。


「……は、速すぎる……」


「あの騎士、抜刀の初動動作が全く見えなかったぞ。何者だよ……」


「聖女様の腕力も異常だろ……」


「……言葉遣い、マジで気をつけようぜ」


冒険者たちが青ざめながら囁き合う。


うおおお!かっこいいな!さすがレーヴァさんとドーザさんだ!


しかし、テレスタリアさんも凄いな。


あの若さで、いざという時はあんなに腹が据わってるなんて。


『マスターも、少しはあの威厳を見習ってほしいものです』


……アカシャも、俺をディスらないと死ぬ病気なの?


「とりあえず、これで話を進められるな」


レーヴァさんがドーザさんを見て、小さく頷く。


「質問、いいかしら」


沈黙を破ったのは、キーニルさんだった。


さっきまでガボンを見て、いい気味!的な笑みを浮かべてたの、俺は見てたからね。


「はい」


「ゴーレムを強化できるって言うけど、具体的にどれくらいの戦力になるの?」


「質を重視するなら、かなり強いゴーレムを十体くらいは出せます」


「『かなり』って、どれくらい?」


「んー、難しいですが……そうですね、レーヴァさんと同じくらい強いかと」


「Aランク相当って事!?冗談でしょ!?」


キーニルさんが、弾かれたようにテレスタリアさんを見る。


「たきびさん。あなたは、ゴーレムをレーヴァ様くらい強くできますか?」


「多分、できます」


テレスタリアさんの瞳が、再び光を帯びる。


ギルド内にいた全員の視線が、その色の変化に釘付けになった。

ご一読いただきありがとうございます。


面白い、続きが気になる! と思っていただけましたらブックマークや評価応援していただけると嬉しいです。


次回、第59話は【瞳の色はどんな色】(※次の話の予定タイトル)を更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。