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ゴーレムの正しい作り方 〜俺のゴーレム、絶対おかしいと言われるんですが、なにか?〜  作者: 水無月 五色
奈落の森編

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第3話:違う異世界に行くところだったわ!

自称神から色々情報を聞き出す永灯。しかし、詫びスキル以外に図々しくも【転生特典】を要求し始める。果たして要求は通るのか?そして、獲得するスキルと魔法は?

「俺が異世界に行くのはある意味救済措置だよね?」


「はい」


「だから俺は異世界で幸せになった方がいいよね?」


「え? あ? はい」


「例えば言葉が分からなくてとても苦労して、みんなからなぜか嫌われて、その上病気になって、そんな状態ならいくら強いスキルを持ったって、不幸だよね?」


「んん〜?」


「精神的に死んじゃうよね? そんな俺の姿みると気分悪いよね? ね?」


「……あ」


「だから、読み書き等が可能、病気や怪我に強い身体、年齢16くらいのちょっとだけイケメンで転生させるのが妥当だよね!? 【特典】として!」


「……なんで私にわからせる的な言い方をして、あなたが土下座してるんですか?」


「打算と誠意です!」


自称神は呆れた顔をしながらも


「……ふふふっ! あなたは本当に面白い人ですね。わかりました、叶えましょう」


「ありがとうございます! さすが神様!」


「ほんと調子のいい……」


確約頂きました! これで3枠好きなスキルを選べるぜ!


「ん〜、でもそこまですんなり受け入れるのも癪ですねぇ」


「え?」


「そうだ、私からも条件をいいでしょうか? 特典とは何かをした時に得られるものですものね!」


やばい! 転生特典とかわざわざ言わなきゃ良かった!


「その特典は転生をするという特典という事で……」


「それは好きなスキルを3つ、という事で補填済みです。もし条件を飲めないなら、ちょうど3つですし、詫び交換という形にしますけど?」


それはまずい!でも 絶対面倒くさい条件をつけられるに決まってる。魔王を倒せとか世界の文明を押し上げてくれとか。結果そうなるなら仕方ないけど、使命なんてまっぴらごめんだ! 何か、何か突破口を! 考えろ! 考えろ!


「飲みます」


「諦め早いですね……」


全く思いつかないし、神様の思惑に勝てるようなロジカル脳なんて持ってないよ。


「では、私からの条件は、【選んだスキルは変更不可】です。いいですね?」


「……はい?」


「本当は心ゆくまでスキルを選んでもらえればと思っていたのですが、それを引き換えにする事で希望の特典を付与する、という形でどうでしょう?」


え!? 元々変更できないと思ってたんだけど!?


「本当にそれでいいの!?」


「不満ですか? だったら違う条件を…」


「それがいいです!」


「ではそれで」


自称神はにっこりと微笑んだ。


「……好き」


「なんですか急に……ちょ、ちょっと、それ以上近寄らないで下さい」


感謝のハグはお預けか。しかしこの条件は本当に破格だ。冗談抜きで自称神に感謝。


「それでは、スキルと魔法を選んで下さい。でも、一回選んだら変更不可、ですからね」


ふふ。もう大体決まってるのさ。


「まず魔法は全属性。スキル1つ目は【解析・鑑定】、2つ目は【インベントリ】」


特典のお陰で【言語理解】とか【病気耐性】とかその辺りのスキルを選ばなくてもオッケーになったのはでかい。おかげで定番の欲しかった2つのスキルは取れた。ここまでは完璧だ。後1つだが……。


「流石に決めかねてますね〜」


あ、ニヤニヤしてる。俺が悩んでるので楽しんでるな。まあ、これを見るために条件をつけたんだろうけど。たっぷりと俺の悩み時間を堪能してくれ。


「魔法に必要な【魔力操作】、【魔力回復】とかがいいかな〜。【錬金術】もいいね! 色々作って売れそうだし。あそこにもいいスキルあるな。これは迷う! ……時間制限とかある?」


「心置きなく、と言いたい所ですがあなたの世界でいうと1時間くらいでこの狭間の世界の維持が限界になります」


「そうなると?」


「強制転生します」


「だと思った」


ゲームや異世界転生ものの話からいくつか候補はある。でもこれから行く世界で通用するかわからないから即決はしづらい。できる限りスキルを観察しよう。


それから俺は色々なスキルに目をやったが、どうしてもピンとくるものがなかった。


「後10分くらいです」


くうっ! 迷うぜ。魔法優位の世界なら魔法系補助スキルが一番いいはず。生産系の錬金術でもいい。でもしっくりこない……なんでだ?


「ん?」


「どうかしましたか?」


「【ゴーレムマスター】?」


「……!」


ゴーレムなんて土魔法領域じゃないのかな?


「【ゴーレムマスター】ってどんなスキルか教えてもらえる?」


「……名前の通り、ゴーレムを作る事に特化したスキルです。あらゆる物質からゴーレムを作り出す事ができます」


「!」


おお!? それって凄くない? アイアンゴーレムとかミスリルゴーレムとか作れるって事だよね!?


「魔力無しでゴーレムが作れるんだよね?」


「はい」


魔力無しなら、大量にゴーレム作ってビジネスでも起こせば不労所得も夢じゃないんじゃないか!? 当初の目的とも合致するし、選んでもいいと思う! ただ……。


「なんか、このスキルの説明だけテンション低くない?」


自称神の表情が曇る。


「……本来はスキルの能力を詳しくは伝えてはいけない領域なのですが、このスキルだけは例外で正直おすすめできないのです」


おすすめ出来ないスキル? そんなものあるのか?


「何かあるの?」


自称神の顔が更に険しくなる。


「ゴーレムマスターになると他の魔法は一切使えなくなり、職業も変更不可。今から行く世界ではほとんど使い物にならないゴミスキルと言われ、蔑まれているのです」


「魔法が使えなくなる!?」


「……はい」


おいおい、魔法主義の世界なのに魔法が使えないってなんの地雷だよ。奴隷ルートまっしぐらな感じしかしないぞ。


「ですので、このスキルを選ぶとこれから行く世界は生き辛くなるかと……」


凄い険しい顔してる……なんか本当に辛そうだな。


「他にもなにか? 呪われるとか? 使ったら絶対に死ぬとか?」


「そんな事はありません! 間違いなくゴーレムは作れます!」


何? 急に語気が荒くなったけど。


「何か気に障ったら、ごめん」


「こちらこそ、すいません……」


語気強めの否定の後のこの残念そうなトーン……俺は知っている。間違いなく「また駄目になる」って諦めている者の雰囲気だ。


「1つ教えてくれ。これはあなたが作ったスキルなのか?」


「……違います。これは……」


一瞬時間が止まる。


「……このスキルはある神が作った弱者の……スキルなのです」


「弱者の……スキル?」


なんだ? 言い回しが少しひっかかるな。


「なにか訳ありのスキルなのか?」


「……」


返事を返してくれない。これ以上は話せないのか。表情からしてもこれ以上は難しそうだな。


しばらくの沈黙が続く。


「……やっぱり……これにするよ」


「……そうですよね、では違うスキルを決めて……え!?」


「え?」


「私の話、聞いてました!?」


「はい。一言一句漏らさず」


「魔法も使えなくなるんですよ!? のんびり過ごしたいんですよね!?」


「もちろん! だからこそかな」


「どうして……」


相当気が動転してるのか、俺の心も読めないみたいだな。


「もしかしたら扱いが難しいとかあるかもしれない。でも、ゴーレム自体は珍しくもなく、転生先の世界にいるんでしょ?」


自称神は頷く。


「だったら俺がぐうたらするために働いてもらえるじゃん! 俺、働かずして儲かる、人助かる、win-win!」


スキル選びで最後しっくりこなかったのは、結局俺が働かなきゃいけないってのがあったんだよな。このスキル見て気づいたわ。


「本当にいいのですか?変更不可ですよ?」


「よろしく」


「……」


自称神は黙って上を見上げた。


「?」


そして、今までに見た事の無い満面の笑みを向け、


「どれだけ働きたくないんですか。わかりました。では3つ目はゴーレムマスターで!」


「ぐはぁ!」


あかん! 人外超絶美形の無自覚無邪気笑顔なんて惚れてまう! 耐えろ! 耐えろ!


「どうしたんですか? 目をそらして?」


あっぶな! でも耐えてやったぞ! 危うく違う異世界に行くところだったわ!! こんなの耐性無い童貞滅するぞ。


「……この童貞ジェノサイド神が」


「な、なに理由のわからない事いってるんですか! とにかく、本当に変更は受け付けませんよ!」


今までの陰鬱な表情が消え、今にもスキップしそうな雰囲気じゃない。色々引っかかる所はあるけど、本当はこのスキルを選んで欲しかったのかな。


「時間です」


「間に合って良かった」


自称神が急に荘厳な雰囲気になった。


「スキルも魔法もまだまだ進化する可能性はあります。そしてあなたが転生する事により、更なる発展につながる事を自分を含め、他の神々も期待しております」


「期待しないで。適当にやるから」


自称神は少し困ったような笑顔を見せたが


「期待していますよ。そして、そのスキルを選んだあなたに感謝も込めて、私からもささやかな加護を」


おお、なんか体が更に光ってる。


「俺からも」


「今まで生意気な口調で対応して申し訳ありませんでした。そして、魂を助けてくれて本当にありがとうございました。心から感謝しております。私を転生させてくれる神様があなたで本当に良かったです。」


本音だ。


自称神は本当に優しく微笑み、


「同じ因果律の中で再び会える事を願って」


ああ、なんかすごい気持ちがいい。意識が薄れていくのがわかる……。


「あなたに幸多からん事を。 ... して願わくば私の大事な……て下さい」


「え?」


その瞬間、俺は意識を失った。でも最後にみた自称神の顔は、本当に嬉しそうで優しい顔をしていたのを覚えている。

ご一読いただきありがとうございます。

面白い、続きが気になる! と思っていただけましたらブックマークや評価応援していただけると嬉しいです。


次回、第4話は【なんでゴーレム作れないの?!】(※次の話の予定タイトル)を更新予定です。

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