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ゴーレムの正しい作り方 〜俺のゴーレム、絶対おかしいと言われるんですが、なにか?〜  作者: 水無月 五色
スタンピード編

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第113話:一進一退の攻防

俺の視界の左右から、二体のマッド・ゴーレムが地響きを立ててアズールへ向かって突き進む。


足元を狙い、鋭い蹴りを放つ右側のゴーレム。


左側のゴーレムは、空撃ちの打撃音を唸らせて、アズールの顔面へ巨大な拳を叩きつけた。


だが、俺の目の前で展開されたのは、嘘のような回避劇だった。


アズールは顔面へ迫る拳を最小限の動きでかわした。


そして、そのままゴーレムの頭部を巨大な掌で鷲掴みにする。


掌から流し込まれた高熱の火力が、ゴーレムの頭部をドロドロに溶かし始めていくのが俺の目にも見えた。


続けざま、足元へ迫るもう一体の蹴りを跳躍して軽々と躱す。


そのまま掴んでいたゴーレムの頭部を軸にして身体を激しく旋回させた。


遠心力を乗せた凄まじい蹴りが、もう一体のゴーレムの胸板を粉砕し、遥か後方へ蹴り飛ばす。


アズールの巨体が、ふわりと空中へ浮いた。


「そこだっ……!」


俺はその一瞬の隙を逃さず、砲身を水平に固定した。


音速のゴーレム弾が、爆風とともに射出される。


タイミングは完璧だった。


しかし、アズールは溶けかけたゴーレムの頭部を鷲掴みにしたまま、力任せに射線上へ引きずり出した。


そして、俺が放った音速弾の弾道へ向かって蹴り飛ばしたのだ。


激しい破裂音が響き、ゴーレムの背中が砕けると同時に、俺の弾丸はあらぬ方向へ逸らされた。


アズールは蹴りの反動を利用して後方へバク宙する。


同時に、空中に眩い熱量を秘めた巨大な火球が練り上げられていくのが視界に映った。


着地と同時に俺へ放ち、射線上のゴーレムもろとも消し飛ばす気だ。


だが……すでに俺の身体は、地上にはない。


バク宙をしている間に、その上空の空間へエア・ゴーレムを配置しておいたのだ。


シフトチェンジでエア・ゴーレムの座標へと空間を跳ぶ。


そして、無防備なアズールの脳天へ向けて、砲身を垂直固定していた。


「喰らいやがれ!」


勝利を確信して叫んだ瞬間、俺の眼下でアズールが跳ね上がった。


「!?」


死角である真上からの奇襲は完璧なタイミングだったはず。しかし——。


これにも反応するのかよ!?


アズールは一瞬で全身の火力を爆発させた。


「うっ……!?」


眼の前の全てが凄まじい蒼い豪火に染まり、敵の急所が一瞬で覆い隠された。


タクティカル・シェルの土の装甲が一気に高温の熱を帯びる。


俺の皮膚まで焼き尽くさんとする勢いで、熱が伝わってきた。


同時に、アズールが練り上げた巨大な火球が、上空にいる俺へ向けて一気に解放された。


「ちぃっ!」


迫り来る熱の塊を前に、俺は即座に初期位置の地上へ緊急退避した。


直後、上空で巨大な爆発が弾け、俺がいたエア・ゴーレムが一瞬で蒸発する感覚が伝わってきた。


まだだ!


地上に着地した俺は、間髪入れずにアズールの顔面へ向けてナイトロ・ゴーレムを展開した。


一呼吸で意識を刈り取る俺の必殺パターン。


だが、奴は首を強引に捻り、紙一重のところで無酸素の気体領域から脱出してみせる。


俺の身に纏う土の装甲からは、熱で限界を迎えた白い煙が立ち上っていた。


「しんど……っ!」


俺は上空を見上げ、熱がこもる鎧の中で荒い息を吐き出した。


「瞬間移動での攻撃を躱すなんて、普通できないだろうに!」


しかも超高温の火力を合わせてくるとか……。


本当に理不尽過ぎる!


『体毛を燃やすことが、攻防一体として機能しているので、非常に厄介です』


脳内のアカシャの冷静な声が、俺の焦りを代弁した。


脇腹に穴が空いているのに、動きのキレも落ちない。


「本当、タフなやつだな……」


俺は破壊された二体のゴーレムを再構築し、自身の熱を帯びた装甲も修復。


ふたたび腰を落として戦闘態勢を整える。


しかし、俺が完全に体勢を立て直す前に、今度は奴が牙を剥いてきた。


アズールの足元を中心に、荒れ果てた地面が灼熱の溶岩のような色へと変色していく。


奴は全身の筋肉を限界まで収縮させ、野獣そのものの低姿勢をとった。


「来るぞ……っ!アカシャ!」


『了解しました』


俺は間髪入れずに二体のマッド・ゴーレムを新たに錬成した。


合計四体。


ステータス倍率を最大値まで強化して維持できる、現在の俺の限界数だ。


限界まで引き上げた並列思考の凄まじい負荷。


頭蓋が割れるような激痛が走る。


「ぐぅっ……!だが、準備は整ったぞ!いつでも来やがれ!」


俺自身も身体を深く沈め、両肩の砲身を真っ直ぐアズールへ据え付けた。


だがその瞬間、奴の正面の空間に太陽の如き眩い熱量を持った四つの火球が、同時に浮かび上がった。


「あいつ……っ!」


四体のゴーレムを魔法で粉砕しながら、本体で突っ込んでくる気か!


「ガアアアアッ!」


咆哮とともに、四発の火球が連続して解き放たれた。


一発目の火球が先頭のマッド・ゴーレムに着弾した。


全身を灼熱色に染め上げながらも、強化された土の巨躯はなんとか耐え忍ぶ。


しかし、間髪入れずに叩きつけられた二発目の火球により、ゴーレムは蒸発するように一瞬で消滅した。


続けて三発目と四発目の火球が、二体目のゴーレムを襲う。


それと完全に同調するタイミングで、アズールが大地を爆発的な力で蹴り上げた。


重音波のような踏み込み音を置き去りにする超音速の突進。


二体目のゴーレムが火球とともに爆破・消滅した瞬間、アズールの巨体が弾丸と化して俺の目の前へ迫ってきた。


俺は残された二体のゴーレムと自らの身体を重ね合わせ、その突撃を正面から受け止めた。


衝撃波と熱波が俺の全身を激震させる。


「ガアアアアッ!」


「うぉぉぉぉっ!」


力任せに押し込まれる。


見る見るうちに二体のゴーレムの表面が灼熱色に変色し、崩壊を始めていくのが伝わってきた。


俺は頭痛に耐えながら限界まで精神のリソースを注ぎ込み、リアルタイムで土を修復・補強し続けることで、泥沼の力比べへと持ち込んだ。


俺のタクティカル・シェルも限界に達し、皮膚が直接焦げる感覚が襲いかかる。


『マスター!』


アカシャの声が頭の中に響いた。


それと同時に、俺は砲身と右手をアズールの顔に向けて掲げる。


それを見た瞬間、俺の目と鼻の先で、ヤツの顔面が嘲笑するようにニヤリと歪んだ。

ご一読いただきありがとうございます。


面白い、続きが気になる!と思っていただけましたら、気軽にブックマークや評価、応援していただけると継続の励みになります!


次回、第114話は【勝利の行方】(※次の話の予定タイトル)を更新予定です。

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