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ゴーレムの正しい作り方 〜俺のゴーレム、絶対おかしいと言われるんですが、なにか?〜  作者: 水無月 五色
スタンピード編

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第107話:地上戦の攻防 その2

落下時の衝撃か、片足を引きずっている。


しかし、その巨体から発せられる威圧感は凄まじいものがあった。


さらにその後方からは、丸太のような腕を持つトロルが、よだれを垂らしながら追従してきている。


「俺が引きつけて攻撃を受け止める!貴殿は隙をついて攻撃してくれ!」


ドーザは言い終わると同時に、己の二倍はあろうかというギガントロプスの懐へ向けて、一直線に突っ込んでいった。


ギガントロプスは向かってくるドーザを視界に捉える。


一つ目を見開き、血走らせ、胸の前で両腕を交差させた。


そして、その巨大な喉の袋を異常なほどに膨らませる。


「がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


空気をビリビリと震わせる、強烈な咆哮。


鼓膜を突き破り、脳を直接揺さぶるような音の波が、戦場に響き渡った。


直後、ギガントロプスは手にしていた巨大な棍棒を高く振りかぶった。


ドーザを地面ごと叩き潰す勢いで振り下ろす。


風を切り裂く重低音。


だが、ドーザは歩みを止めない。


「おおおおっ!」


衝突の瞬間、ドーザは左手に構えた盾を斜めに傾けた。


棍棒の軌道に対して絶妙な角度。


まともに受け止めれば腕の骨ごと砕かれかねない攻撃を、技術でいなす。


摩擦音を響かせながら、棍棒が地面を激しく叩き割る。


その隙を突き、ドーザはギガントロプスの懐へと深く潜り込んだ。


すかさず右手の長剣を翻す。


狙いは体重を支えている軸足の膝。


魔力で強化した剣を一閃する。


しかし、ギガントロプスはその巨体からは想像もつかないほどの俊敏さを見せた。


強靭な筋力で無理やり跳躍し、ドーザの剣を間一髪で躱したのだ。


さらに、跳躍しながら空中で身をよじり、持っていた棍棒をドーザに向かって投げつけてきた。


「むっ!?」


予想外のカウンター攻撃。


回避は間に合わないと判断したドーザは、盾を両手で支えて防御姿勢を取った。


「ぐぉぉぉっ!!」


凄まじい衝撃が盾を通して全身を突き抜ける。


ドーザの体が数メートル後ろへ滑らされたが、なんとか倒れずに防ぎきった。


棍棒を失い、着地のために足から落ちてくるギガントロプス。


「お返しだ!」


ドーザは防ぎきった勢いのまま、自らの長剣を渾身の力で投げつけた。


回転しながら飛んだ剣は、着地しようとしていたギガントロプスの軸足に、深々と突き刺さった。


「ギャァァッ!」


激痛に叫び声を上げ、着地に失敗したギガントロプスが、バランスを崩してドスンと地面に倒れ込む。


「今だ!ガボン殿!」


決定的な隙を作ったドーザが、後方へ向けて叫んだ。


とどめを刺す絶好の機会。


ところが、ガボンの攻撃が飛んでこない。


こんなチャンスを見逃すガボンでは無い事はドーザもわかっていた。


「!?」


不審に思ったドーザが後ろを振り返る。


そこには、バトルアックスを握りしめたまま、小刻みに体を震わせているガボンの姿があった。


顔面は蒼白になり、焦点の合わない目でギガントロプスを見つめている。


先ほどの咆哮。


あれはただの咆哮ではなく、精神に直接作用する特殊スキル【威圧】だったのだ。


魔力を乗せた振動が本能的な恐怖を呼び起こし、耐性の低い者を強制的に恐慌状態へと陥れる。


「ガボン殿!しっかりしろ!」


ドーザが再度、鋭く叫ぶ。


だが、ガボンの耳には、その声が水の中にいるようにくぐもり、異常に遅く聞こえていた。


なんだ……?あの騎士のおっさん、何を言ってるんだ?


ガボンの心臓が、早鐘のように打ち鳴らされている。


呼吸がうまくできない。


逃げろって……言ってるのか?


そうだよな……。あんな化物に、俺みたいなCランクが敵うわけねえだろ……


足の震えが止まらない。


武器を持つ手の感覚が消え失せていく。


しかも、俺は脇腹を怪我してるんだ。


俺がここにいたって、足手まといになるだけだ。


そうだ、逃げよう……。


俺は今日、十分すぎるほどよくやった。


他の冒険者どもより、ずっと多く敵を倒したんだ。


誰も俺に文句は言わせねえ……!


自分を正当化する言い訳が、頭の中をぐるぐると駆け巡る。


ガボンの右足が、無意識のうちに後方へと半歩下がった。


戦意を喪失し、完全に背を向けようとした、まさにその瞬間だった。


「さっきの威勢はどうした!!」


野太い一喝が、引き伸ばされていた時間を一瞬で元に戻した。


ウルノラの声だった。


「ランクアップするのだろう!?だったら、さっさとその化物を倒せ!!」


その激しい怒声が、ガボンの脳内にこびりついていた恐怖の靄を、強引に吹き飛ばした。


ハッと我に返り、大きく息を吸い込む。


震えは止まっていた。


逃げようとしていた自分への羞恥と、ランクアップへの執着が、再び恐怖を塗り潰す。


「……誰が逃げるかよ!」


ガボンは体勢を極端に低くすると、地面を力強く蹴り上げた。


ポーションのおかげで、脇腹の痛みは耐えられるレベルまで引いている。


一瞬でドーザの横をすり抜け、倒れ込んでいるギガントロプスとの距離を詰めた。


強靭なバネで跳躍する。


「このクソ猿がぁぁっ!!」


空中で体を捻り、遠心力を乗せてバトルアックスをギガントロプスの頭部めがけて振り下ろす。


頭蓋骨を叩き割る、完璧な軌道。


だが、その斧が届く直前、正面から、巨大な棍棒が飛んできた。


「!!」

ご一読いただきありがとうございます。


面白い、続きが気になる!と思っていただけましたら、気軽にブックマークや評価、応援していただけると継続の励みになります!


次回、第108話は【地上戦の攻防 その3】(※次の話の予定タイトル)を更新予定です。

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