第4話:配信する魔術師
【魔術・初配信】魔法の使い方
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「誰も来ねえ...」
「アーカイブで見てくれたらいいけど...」
初配信ということがあって、だれも来なかった。
画面に映るのは俺のクマだらけの醜い顔。
それと画面下部にある魔術詠唱言語の発音
と書かれたテキストだけ。
配信のサムネも黒背景赤文字という適当なものだからだろうか...
まあ、それ以外考えられないのだが、
「まあ、アーカイブでだれかが見てくれることを願って実践するぞ。」
「CGだと思うなら画面下部にカタカナのテキストはるから、俺の真似をして発音してみろ。」
「行くぞ?」
独り言をPCに向かってごちる。
異世界語の発音をカタカナに変換して、画面下部に打つ。
『火よ』
なるべく聞き取りやすいようにゆっくり発音する。
すると、やはり右人差し指に光がともった。
「これが着火の魔法だ。魔力を消費して人差し指に炎を灯す魔法だ。魔力は筋肉みたいなものだ。使えば使うほど成長するから、1日1回は唱えてみろ。少しずつ唱えられる回数が増えるはずだ。」
ため息をつく。
目頭をほぐす。
「これで配信を終わる」
短いが、これでも十分俺のことを信じる人が増えるはずだ。
チャンネル登録者が1000人を突破したら次の配信をしよう。
配信終了のボタンへカーソルを持っていき、
クリックをしようとすると、数字が目に入る。
同時視聴数:1
「おい、見てたか?」
画面に向かって話しかける。
すると、一つのコメントが流れる。
【ああ、見たよ。】
ドキドキと心臓が脈打つ。
【お前が本物なのはわかった。でも、その言語はどこで知った?俺は言語学者だ。そんな言葉を聞いたことがない。】
俺はもう少し話すことにした。
「夢で、知ったんだよ。この言語を聞いて、試しに現実で発音して見たら魔法が発生した。」
【夢で言語は習得できないはずだ。】
「でも現にできた。」
【それはおかしいことだ。お前は何かを隠している。それにそんな発音の言葉を聞いたことがない。】
コメントに探られる。
直感で察した。
「お前、何か知ってるだろ。」
コメントが止まる。
だが、視聴数は1のまま、
「また配信する。次の配信で会おうぜ。」
配信終了をクリックした。
さっきの言葉に返事をするように登録者が1になっていた。
___この配信は終了しました。___
数時間後。
動画は切り抜かれ、
「CG乙」「ライター仕込んでて草」とコメントが並んだ。
ある日Zmailにて、とあるメッセージが来た。
【お前がそうなんだな?】
現代の魔術師CH 登録:1321




