第5話:理解者と誘拐
【お前がそうなんだな?】
「なんだこれ、」
口から思考の切れ端が漏れた。
Zmailにメッセージが送られてきた。
差出人は『スズキ』。
詳しく、内容を話さず、匂わせだけ送って終わりなのは相当小説に影響されていそうだ。
イタイやつだな。
【なんのことだかわからないが、もう少し細かく内容を書いたらどうだ?】
送信した。
これでもう少し細かくメールを書いてくれたら助かるのだが、
ピロン♪
通知音がなった。
返信が来たのだろう。
メールを開くと、そこには驚愕の内容が書かれていた。
【お前が世界渡りだな?】
額に銃口を向けられてような感覚だ。
体が固まり、心臓が煩いくらいに鳴り響く。
こいつは異世界のことを知っている。
【お前は知っているんだな?】
メールを送信すると、
【さあな、細かくなんのことか書いたらどうだ?】
下唇を噛み、もう一同送信する。
【お前は異世界を知っているんだな?】
こいつは、何かを知っている。
⇔
気がつくと、俺は硬い床で寝転んでた。
さっきまでメールで会話していたはずだ。
なぜ...
こちらの世界に来るトリガーは眠ることではないのだろうか、
今後のためにも知っておきたいが、今の状況を把握しないことには何もできない。
ガタ、ガタ、
地面が揺れている。
馬車だろうか、馬車なのになぜ俺は寝転んでいるのだろうか
とりあえず起き上がろうとしたが、起き上がれない。
手が動かない。足も動かない。
縛られていた。
自分の体を見てみると、光の粒子が自分の体を囲うように魔法陣を描いていた。
この魔法陣が動きを封じているのだろうか、
『魔力は、我が自由を、侵さず』
『魔力分散』
魔法陣が弾け、崩壊する。
...動く。本当にこの魔法陣が動きを阻害していたらしい。
もし、この魔法を好みの異性につかったら......
けしからんやつだ。
「よいしょっと」
立ち上がる。
馬車の揺れで少しくらっときたが、問題なく立ち上がれた。
「いやー、まさか貴族のガキをひったくれるとは思ってもいませんでしたよ。」
「そうだろうそうだろう。学校に通ってるガキは大体貴族だからな、今回のガキは銀髪だ。このあたりでの銀髪の貴族と言えば、あのジャペル家だ。」
「あのジャペル家ですか?あの侯爵の家ですか?」
「ああ、何ペリス出せるのか、楽しみだぜ...」
「それに一緒の女もなかなか上玉出しよぉ....」
「涎が垂れているぞ。このロリコン野郎。お前の趣味嗜好のために命をかけた俺の身にもなれ。」
「あざーっす。」
「こいつ.....」
前の壁に耳を押し当てると、御者台での会話が聞こえた。
どうやら誘拐されたらしい。
うーん、この小物感。
「ン゙〜、ングー...」
後ろから声が漏れた。
女性の声だ。
あの賊が言っていた女かな?上玉と言っていたが...
さて、どんな女の子も攫われているのかな?
顔を赤らめ、目を潤み細めている。
銀髪ロングスレンダーか、顔は可愛い妹系、年齢は大体こっちの俺と同じくらい、オタク大好き要素詰め合わせセットだな。
口には布を詰められていて、声をまともに発する事ができていない。
グヘヘ、ロリの泣きg―――邪念退散。
とりあえず動けるようにはしてあげよう。
『我が魔力は、彼の者の、自由を、妨げず』
『第二者魔力分散』
目を見開いた。
だが声は出ない。
そう言えば俺は布を詰められてなかったな。
なんでだろう。
とりあえず、ロリの口の中に指をねじ込み、布を取り出す。
「あ、ありがとうございましゅ、まふ...」
声は引っ込み思案系カワボか...
やっぱりオタクを萌え殺すために生まれてきただろ。
「とりあえず、俺は死にたくないから逃げる。ついでに君も助ける。だからとりあえず俺から離れるな。」
勢いよくその子は頷いた。
可愛い。
『魔力よ、壁を、穿て』
『壁精密破壊』
壁を破壊するための魔法。静かに穴を開けるだけだが、今の状況にピッタシな魔法だ。
穴から御者台を覗く。2人。逆に2人だけか。
他に待ち合わせ場所とかに人がいたりするのかな?
まあ、知らない。どうでもいい。
俺は逃げる。
息を静かに吸い、詠唱する。
『魔力よ、精密な、雷鳴の糸を、織り、敵の時を、二刻、奪え』
『精密紫電砲二重』
二重の麻痺魔法。
穴から2人を攻撃。麻痺の魔法で痺れさせる。
そして、再び詠唱する。
『機械よ、我が魔力にて、狂え』
『機械即時破損』
ガチャリと金属が動く音がする。
解錠した。
ドアを蹴り、開け、ロリっ子を抱えて飛び出す。
俺の勝ちだ。誘拐犯ども。
今後修正します。




