第3話:日本の魔術師
授業が終了し、校舎から出ると、馬車が待機していた。
確か、俺は貴族ということになっていたはずだ。
使用人とか雇ったのだろう。
「リュイ様、お疲れ様です。お送りします。」
「ああ、頼むよ。」
馬車に乗ると、すぐに出発した。
ガタガタと馬車に揺られていると眠気が襲ってきた。
「ちょっと寝る。」
俺は寝た。
⇔
目が覚めた瞬間、カビのような匂いが鼻をついた。
しっかり掃除している気だったが、案外自然の匂いと比べたら臭いものだ。
「異世界の言語が魔術の詠唱言語か、我ながら面白い設定の夢を見たものだ。」
そうやって笑う。だが変だ。脳内に、あの体の持ち主の記憶がまだ残っている。
あの世界の言語もだ。
そこで夢の授業内容を思いだす。
『異世界の言語が最も世界の魔力に効率的に干渉できる』
ゴクリとつばを飲み込む音が部屋に響く。
人差し指を上に向け、唱える。
『火よ』
あの世界の、夢の世界の単語を唱えただけだ。それなのに、なぜか人差し指には火が灯っていた。
「は?」
ゆっくりと火に向かって左人差し指を近づける。
......熱くない。
壁紙に近づけると、黒色の煙が出た。
壁紙が焦げた。
俺は日本の魔術師になった。
「嘘だろ?」
あれは夢ではなかった。
衝撃の次に来たのは承認欲求だ。
『誰かに見せたい。誰かに認められたい。』
衝動的に1階においてあるノートパソコンをとってくると
動画投稿サイト、『Mytube』を開いた。
自分のアカウントページを押し、迷いもなく配信を開始のボタンにマウスカーソルを動かし、
クリックした。




