古代竜って案外良い奴?
「今までは奴らとは一対一で戦って来たけど、今後は警戒されるだろうから一度に多数を相手にしないといけない状況が出て来ると思ったんだ」
『我に協力をせよとでも言うのか?』
「いや、その状況を避ける方法が無いかと考えたから、奴らの情報を教えて貰いに来た」
『お前のスキルでは、対処出来ないと判断したか?』
「あれだけの魔法を使われると、対処するだけで俺の魔力を使い切ってしまうんだよ!」
そう、『時元牢獄』はかなりの魔力を使うことになるので、複数との戦闘中では使い処が難しくなるのだ。
更に、奴らのとんでもない魔法に対処した時に使う魔力も考えないといけない……
『【大賢者】、スキルの名前と違いお前はアホなのだな』
なんだと!
この大トカゲは失礼な奴だな!!
『お前自身の魔力で全てを補おうとしているから、そんな些細なことで悩むのではないか……』
「俺の魔力以外で『時元牢獄』をどう使えと言うんだ?」
『はぁ、ここまでアホだとは……』
心底、呆れ返ったとでも言わんばかりのため息をつきながら古代竜が続ける。
『ドゥニームと云ったか?……あのエルフはどのような方法で次元を切り裂く魔法を使ったのだ?』
「あっ……」
『【大賢者】と【神仙術】のスキルを持つお前が、その程度のことが出来ぬと思うか?……それと、我のことを『大トカゲ』と呼ぶことは許さん!!」
口に出してはいなかった筈!?
俺の考えていることまで解るのか!?
『本当にアホなのだな……我は幻想種にして、【調停者】の任を受ける存在だぞ』
「凄いな、デカいトカゲじゃなかったんだ!?」
『このアホがあぁぁぁっっっ!!』
俺としては素直に感心しただけなのに、何故か古代竜が激怒している……
それはともかく……人のことを何度も『アホ』呼ばわりしてんじゃねぇ!
「そこまで万能なら、エルフの居場所も知ってるんじゃないのか?」
『奴らは、あの時から魔力を人間並みに偽装して潜伏を続けているのだ。そう簡単にはいかん』
古代竜が言う『あの時』とは、ローレンスと出会った襲撃時のことだ。
それは、ヴェレダを首領としたエルフの一派が世界樹を護るエルフの一族を襲撃しようとした直前のことらしい。
「そこまでして世界樹に固執している理由は?」
『……』
いきなり沈黙した古代竜……
こいつは隠し事が多いんだよな……
『隠している訳ではないっ!!』
そうだっ、こいつは俺が考えてることが解るんだった!
『これは、この世界の根幹にすら繋がる問題なのだ。我の判断だけで語ることは出来ん!』
うおっ、かなり重そうな話だな……
面倒事に捲き込まれたくないから、このまま聞かずに帰ろうか……
でも、ヴェレダ達の目的が解らない状態では闇雲に探すことしか出来ないよな……
そうなると、ヴェレダ達に先手を取られるし……
『「面倒」という言葉は引っ掛かるが、少しはマトモな理由で問うてきたのだな』
こいつは、俺のことをどれだけアホだと思ってるんだ?
俺達が想像出来る範囲を超えて生きてるからって、自分以外の存在を見下し過ぎだ!
『本当に必要ならば、グラディアス様より話があるだろう……』
「前は『神』って呼んでなかったか?」
『……』
また、だんまりかよ!
こいつが『神』って呼ぶ存在とグラディアス様は別ってことなのか?
『こういうところだけは鋭いのだな……アホのクセに』
「アホって言うなあぁぁぁっっっ!!」
『その辺りの話もグラディアス様に聞け……』
こいつ、あっさりと流しやがったよ!
それよりも、様付けしてるってことは、古代竜よりもグラディアス様の方が上位の存在なのは確実だな。
古代竜が答えることが出来ない話も、グラディアス様なら話して貰える可能性があるってことか。
「どうやったらグラディアス様に聞けるんだ?」
『その内……あの方の気が向いたら機会を授けてくれるのではないか?」
期待せずに待てってことか……
「わかった。それともう一つ、また相談に来ても良いか?」
『フッ、ハハハハハハハハッ』
「何が可笑しいんだよ!?」
『許可なく、我の領域に踏み込んできた不遜な輩が、今更そんなことを気にするとはな。ハハハハハハハハッ』
領域?
ここはダンジョン【竜の巣】の再深部じゃないのか!?
『そうであり、そうではないとも言える!』
「どういうことなんだ?」
『再深部にたどり着いた者の中から、我が認めた者しか踏み込めないのがこの領域なのだ』
「転移だから踏み込めたってことか……」
『転移であろうが、我が承認しない者がこの領域に踏み込むことなど不可能だ』
ってことは、俺のことを認めてくれてたのか!?
俺のことをアホ呼ばわりしてたけど……こいつは案外ツンデレな性格なのか?
『本当に失礼なアホだな……用は済んだならさっさと帰るがいい』
古代竜がそう言うと同時に、俺の身体を古代竜の魔力が包み込む。
そのまま俺は、拠点の俺の部屋に転移させられていた。
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