表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不死身の賢者  作者: @Tomo
82/251

捕獲準備


『小柄な女性が好み』というマークの性癖が暴露された翌日、俺達はラスガカーン帝国軍の物資集積所に来た。


「ウォルフ……治癒魔法で治してくれよ」


「ユリアが余計に怒るぞ、作戦直前までは無理だ」


自業自得としか表現出来ない『自爆』で腫れ上がった顔のマークが泣きついて来る。

ここで治癒魔法を使って治してやると、ユリアの怒りの矛先が俺にも向く可能性が高い。

ユリアは普段、淑女と表現しても差し障りないくらい落ち着いた性格だけど……嫉妬心は恐ろしく強い。

女性からも羨まれるスタイルが裏目に出たのだ……

この怒りは少々じゃ収まらないだろう。


「マーク、男前が上がりましたわね」


「ホリーさん、笑っちゃ駄目ですよ」


「ウォルフ、甘い顔しちゃ駄目よ……」


誰も同情すらしてない……

うちの女性陣を敵に回すことは避けなければ……




『集積所で待ち受けてエルフを捕獲する』という作戦ではあるが、魔力探索の精度が高いエルフを相手にすることになるので罠等を見破られて避けられるという事態を避けるため、余り仕掛けはしないでおくことをグリッドに提案した。


「エルフの魔力探索はそれほど違うものですか……」


「普通のエルフを前提に考えてもそうですが、今回のエルフは千年以上も他のエルフからの追跡を逃れているエルフの可能性が高いですから、警戒心はかなり高いかと」


「その情報は何処から?」


「バルガナーン大森林で接触に成功したエルフからです」


「ウォルフさんは、今回のエルフを含めたラスガカーン帝国の動きに心当たりが?」


「ほんの少し前にレイスル王国内……具体的にはトガチ村近辺で商隊を襲ったエルフを討伐しました。その目的は不明ですが、今回のエルフも商隊を襲うって共通点がありますので、一味ではないかと予測しました」


「我が国で!?」


「ハルムントの冒険者ギルドからの依頼で商隊護衛をした時に遭遇しましたので、ギルドには詳細を報告していますが、王国上層部までは情報が上がってなかったみたいですね」


「お恥ずかしい限りです。本当に重要な情報を見落としていたかもしれないなんて……」


ギルドからレイスル王国への報告がなかっただけで、グリッド達諜報員の失態ではないと思うが……

ギルドとしても国家規模の事態と判断しなかっただけで、情報の隠蔽なんて意図はなかっただろうし。


「今回のことがなければ、繋がりがあるかもなんてことも考えなかったんだ。仕方ないんじゃないか?」


「情報を扱う人間は、全ての情報を精査して判断する必要があります。最初に情報が足りてないってことを『仕方ない』で済ませる人間は諜報員にはいません」


グリッドは自分の仕事に対し妥協出来ないタイプの人間なんだろう。

そういう不器用な真面目さを持った男は嫌いではない。

普段はふざけているが、俺達【黒狼】もそういった部分は大いにあるからだ。


「あのアルフレッド殿下が暴走しないで英雄扱いされてるのは、グリッドさんが情報って力で手綱を絞っているからでしょう。殿下本人も自覚されてるから、グリッドさんの部隊に今回の件を任せたんだと思いますよ」


「さすがにスヴェイン伯爵家の人には、アルの性格を隠し通すことは不可能みたいですね……」


グリッドが苦笑いしながら答える。


「あれでも他の国の王公貴族と比べると、かなり優秀な人間なんですよ、アルは。世間知らずなところはありますが、王族としての義務から逃げることは決してありません」


「それは、父や兄を含めて……存じてますよ」


「エリー様から聞いていた通りの人ですね。ウォルフさんは、自分を飾ることはないけれど『高貴なる者達の責任ノブレス・オブリージュ』の精神は誰よりも強いと聞いていますよ」


エリー様が?

俺は自分の価値観で生きてるだけなんだけど……


「それを自覚してないから、可愛いと仰ってました」


「可愛いって……」


話が違う方向にいってしまってたので、目の前の問題であるエルフの捕獲に話を戻そう。


「協力してくれる帝国兵の方達は集積所の見張りと、天幕周辺の警戒をそれまで通りの方法で行って貰いましょう。俺は物資用の天幕の中、他のメンバーは目の前の天幕で待機ってことでよろしいですか?」


「主力であり、トガチ村で実際にエルフを討伐されたウォルフさんの指示に従いますよ」


「もしかすると、かなり危険な魔法を使って来るかもしれませんので、戦闘は俺達に一任して頂けると助かります」


「解りました。では、宜しくお願いします」


グリッド達は離れた天幕で待機して貰うことにして、俺はマークの治療に向かう。


「今回は『時元牢獄(ロック)』を使うことが出来ない。諜報員達の前で使ったら真っ先に報告されるからな」


「そりゃそうだ。で、……勝てるか?」


「ドゥニームみたいに、とんでもない魔法を使って来なければ問題ないが……」


自分の手の内を隠した状態で、未知の魔法を使うかもしれないエルフと戦うってことだ。

楽観は出来ない状況ではある……

拙作をお読み頂きありがとうございます。


拙い表情力に悩みながらも更新を続けていけるのは、一重に皆様から頂けるPV、評価、ブックマークのおかげと感謝しています。


よろしければ、評価、ブックマーク、感想等をお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ