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不死身の賢者  作者: @Tomo
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紛糾する会議室


「まずは、クラウディア嬢の言っていた『次元ごと切り裂く魔法』とやらの説明をしろ、ウォルフ」


軍事顧問が興味を持つのはそこですよね……


「異空間収納の魔法を使うエルフでなくとも収納袋等で、自分達がいる世界以外の空間が存在することは御理解されていると思います。この世界と収納先の世界、これをそれぞれの次元と定義します」


「我々の世界以外にも別世界があると言うのか?」


「アルフレッド殿下は収納袋の収納先がどの様な世界だと思われてましたか?」


「考えたことすらない!」


そこでドヤ顔って……

本当にクソボンボンの神経は、俺には理解出来ない。


「そこを考えて、追及していくのが魔導師です」


流石、エリー様が言うと説得力あるなぁ……


「アル兄様、『邪魔』ですので黙ってて貰えますか?」


いくら妹扱いされててもそれは不味いぞ、ホリー!!


「……その、次元を引き裂く魔法、当のエルフは『次元断』と詠唱してましたが、名前通りに空間を引き裂く魔法ですので対象の大きさ、硬さ等は意味を為しません」


「その様な魔法を使うエルフを、どの様にすれば討伐出来たというのだ?」


「首を斬り落としたら死にました」


「「「「「当たり前だああぁぁっっ!!」」」」」


うぉっ、国王陛下を含む総突っ込みなんて豪華だな!


「どの様にして首を斬ることが出来たのかを聞かれているのだ、陛下は!」


「ウォルフ、貴様は私を馬鹿にしてるのか!?」


「これ以上ふざけるなら勘当では済まさん。不敬罪で私がこの手で成敗してくれるぞ!!」


「ウォルフ君、ちょっとおふざけが過ぎてますよ?」


「落ち着け、皆の者!」


ビックリした!

陛下が止めてくれなかったら本気でヤバかった……

物静で無言を貫いてる宰相様も眼が血走っているし……


「以前、バルガナーン大森林から帰った時に俺のスキル【ゾーン】についてお話させて頂きましたが、覚えていらっしゃいますか?」


「うむ、覚えておるぞ!」


「エルフが『次元断』を使い、ホリーの腕を斬り飛ばした時に創造神グラディアス様の『祝福』を受けて、【ゾーン】の最上位スキルである【大賢者】のスキルを獲得しました」


「グラディアス様の祝福だと!?」


「どういうことだ!?」


「スキルの上位昇華だと!?」


「【大賢者】?」


「……」


予想通りの反応ですね……


『ウォルフ様、スキルのことを教えても良かったんですの……?』


『あくまでもスキルのことだけだ。魔術については伏せさせて貰う』


ホリーが心配そうな表情で聞いてくるけど、全てを隠して通用する面子じゃないんだよな……


「その、新しいスキル【大賢者】は【ゾーン】を上回る効果を自分の意志で発動出来るスキルです。そのスキルの効果で討伐と治療を行いました」


「表に出て……見せて貰えるか?」


国王陛下がそう言われた瞬間に、俺は【大賢者】を発動させて身体強化をする。

次の瞬間、テーブルの反対側に座っていたアルフレッド殿下の背後に立つ俺の姿があった……


「きっ、消えただと!?」


「アル兄様……う・し・ろ」


ホリーが俺を指差したことでみんなが俺に気付く。


「瞬間移動だとー!?」


「いや、ただの身体強化です」


「そんな身体強化を使える人間がどこにいる!?」


「ここ?」


お茶目な感じで答えてみたが、


「「「「「…………」」」」」


反応が冷たいな……


「既に初代剣聖ガーランド卿に並んでいるのではないのか!?」


陛下、とんでもないことを言わないでくれー!


「速さだけです!」


「「「「「…………」」」」」


なんで……みんな呆れた顔をしているんだ?


「……身体強化でその速さが可能なら、剣を振る力も強化出来ることは馬鹿でも解るだろう?」


この中で一番の馬鹿……いや、アルフレッド殿下の一言が全てを表していた。


「この出鱈目ぶりを見れば、クラウディアがとんでもない魔法を使ったのも納得だ」


王太子殿下が平静を取り戻した表情で続ける……


「ウォルフ、君はスヴェイン伯爵家を勘当されたと聞いている。その立場で我がレイスル王国に忠誠を誓うことは出来るのか?」


王太子殿下はアルフレッド殿下と違ってマトモな方だと思ってたんだけど、何の寝言だ?


「エリアス兄様、その御心配は無用ですわ!」


「ほお、どういう理由かな?」


「私の夫となる方が他国に出られる訳ありませんわ!」


なっなななななな、何てことを!!


「ほお、クラウディアとそういう関係だったとは……」


陛下、簡単に信用し過ぎじゃないですか!?


「ホリー、何時そんな約束をしたんだよ!」


「私の腕を治療してくださった時、あんなに熱い包容をされたじゃありませんか!」


あれは、時間停止結界の中で……

治療することしか頭になかったから……

俺のせいで怪我したホリーが心配で……


直ぐに反論出来ない俺の様子を見て、周囲の視線が俺に突き刺さった……

拙作をお読み頂きありがとうございます。


頭の中の構想を文章にする難しさを改めて思い知っている中、皆様から頂けるPV、評価、ブックマークが心の支えとなっております。


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